9.減塩運動
1954年にダールが疫学調査の結果を発表し、食塩摂取量が高血圧の原因になるのではないかとの食塩仮説を立てて食塩摂取量と高血圧発症との関係について様々な研究が行われてきた。しかし、現在に至っても仮説は証明されていない。
アメリカでは高血圧を予防するためにともかく多い食塩摂取量を下げようと1977年に目標摂取量を4 - 6 g/日にすることを勧告して以来、減塩政策が始まった。しかし、現在に至るも政策の効果は上がっていない。日本でも1979年に減塩政策として目標摂取量10 g/dが設定されていらい減塩運動が始まった。
高血圧の予防から始まった減塩であるが、減塩の効果と危険性については減塩がどれだけ守られるか、減塩には効果があるのか、危険性はないか、危険性についてはさらに減塩で血圧が上昇する場合があるとか、心筋梗塞の危険率が高くなることがある。減塩教育の一例と実態、本当に減塩の効果があるのか?といった疑問まで出ている。減塩の介入試験を高血圧者、正常血圧者、集団社会で行っている。日本の統計データを整理すると減塩で高血圧や脳血管疾患死亡率は低下したとは思えない。
減塩運動に疑問を持つ人々もいる。例えば、日本では町の開業医、栄養学者、味噌汁の悪者説に反論する学者などである。海外では全てに減塩を勧める条件が整っていないとか大規模疫学調査の結果を知って減塩政策を疑問視している。
減塩については昔から危険との見方もあったようだ。減塩推進についても反対者の意見や賛成者の意見、第三者の意見と様々で論争が続いている。しかし、減塩政策は市のレベル、国のレベル、広域経済圏のレベルで続いているが、食生活を脅かすとか実際には進んでいないといった論文もある。
日本では少し前から減塩運動の見直し意見も出始めた。しかし、さらに減塩を進めるようにと食塩摂取量の目標値が下げられた。
減塩政策について海外のマスメディアでは消費者に誤った判断を与えるとか、なぜ危険なのか?とか、厳しい減塩には利益がないと報じられ、減塩政策に異議や論争や警告も発せられている。アメリカ医学研究所が過度な減塩は危険でありかもしれないと発表してから減塩推進政策者との論戦があり、減塩による血圧低下は限定的、減塩に関する正しい情報を提供すべきとしているが、アメリカ人の減塩への意識は低くい。
専門誌で減塩政策の実態と問題点や減塩は進展していないと発表される一方、現状の塩摂取量が適正ではないかとまで発表されだした。
イギリス塩協会が支援しているサイトでは減塩の危険性を訴える情報を提供している。