融氷雪用

 冬期の交通量を確保するために塩で雪や氷を溶かす。塩の飽和溶液は
-21.3℃で凍るこのように凍る温度が下がる現象を氷点降下と言う。塩の氷点降下作用を利用して雪や氷を溶かすが、溶かすためには溶かす熱量が必要で、その熱量は大気から得るので、塩が融氷雪剤として有効な気温は温度差の取れる-10℃程度までである。それ以下の温度になると、溶けるスピードが遅くなったり、溶けなくなる。その場合には塩化カルシウム等のもっと低い温度まで凍らない薬剤を使う。道路に融氷雪用の塩を散布して冬期の交通を確保するための道路管理について議論する国際会議もある。

 この用途の使用量はその年の気象条件によって大きく異なる。日本では年々の増加して平成22年度現在では年間約65万トンであるが、欧米では1,000万トン以上も使うことがある。自動車や橋梁が錆びるとか、沿道の植物を枯らすといった環境問題もあるので、出来るだけ少ない量で効果を上げるように使い方を工夫している。 塩散布による冬期道路管理については融氷雪剤の散布効果をはじめアメリカ塩協会は融氷雪に関する資料として「高速道路用塩と環境」、「安全で持続的な融氷雪」、「塩貯蔵ハンドブック」、「安全で持続的な塩貯蔵」、「スノーファイター・ハンドブック」といった冊子を発行して塩と融氷雪に関する技術情報を提供している。

近年、続く豪雪で孤立を含めさまざまな被害が起こっている。それに対する対策として予防融氷雪用塩の備蓄貯蔵大災害に対する備蓄を考えておく必要がある。

北アメリカではどのように冬期における高速道路の融氷雪を管理しているか、どのように交通障害を予防しているか、環境対策はどうか塩散布による費用対効果といったことについても紹介する。