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スノーファイターズ・ハンドブック

氷雪制御の実用的なガイド

The Snowfighter’s Handbook 40th Year Edition 2007

A Practical Guide for Snow and Ice Control

Salt Institute

 

まえがき

 塩協会が用意したこの手順書は、冬の嵐の中で安全な街路や高速道路を提供することを仕事としている全ての公共機関で働いている何千人もの男女に捧げる。最も経済的な方法で、出来るだけ安全第一に道路を維持し、環境を保護しながら融氷雪塩の適用毎に最高の効果を得られるように雪や氷を制御する上手な塩散布法を実行している全ての機関に推奨する。

 冬の道路で交通事故を効果的に防止するための近代的な戦略は、道路気象情報システムを含む最新の予想される気象情報の把握、氷と舗装道路の結合を阻止するためにタイムリーな凍結防止剤の散布、正確に計算された道路用塩の散布、改良された装置、自動散布機の制御、濡れないように十分に覆われた倉庫や貯蔵所の配置、最も効果的な道路の塩散布、雪道や氷道を乗りこなすための一番安全な自動車運転法である。

 個別の運転手、商業車、特に救急車、消防車、他の緊急車両にとって安全性と移動性を確保するために冬期の環境を整えるのが塩である。被害者のところへ行き、彼等を病院に連れて行くことに遅れが出ることは、しばしば生死の決定的な分かれ目となる。

安全性と最も重要な移動性を提供する他に、現在のスノーファイターは環境保護と同時に社会のニーズに応える責任がある。

バランスの取れた方法で氷雪制御に塩を使えば、例えば、人々のために安全性と移動性を確保しながら環境が保護されれば、塩の使用と貯蔵に関する環境問題はなくなる。

冬期の保守管理法は絶えず変化している。現在行っている方法は改善され、新しい技術が完成した。しかし、冬期の道路から氷雪を除くために安くて効率よく安全で大量にある塩化ナトリウム、すなわち塩ほど適した物質はないように思われる。

スノーファイターズ・ハンドブック』は1967年に最初に発行された。それは適正な塩散布方法と技術のための権威ある案内書として使われてきた。本書はこの平易な訓練書の第五版である。この手順書の目的は、冬期の嵐と戦うために最新の方法と技術を含めた情報をスノーファイターに提供することである。

この手順書にある上手な塩散布法は効果的な冬期道路の保守管理法の基礎であり、環境への影響を最低にしながら、最低の総合コストで最も効果的な融氷雪管理を行えるように、スノーファイターに役立つ情報を提供している。

別の2つの非常に実用的なガイドブックである「高速道路塩散布と環境」と「塩貯蔵ハンドブック」も塩協会で入手できる。

 

1.       冬期の維持管理機能がどうして重要か?

 氷雪制御は街路や高速道路の保守管理予算でしばしば単一最大の費用項目となる。近年では33の降雪帯諸州で除雪費用は全保守管理費の2025%、全高速道路支出のほぼ5%を占める。

 この理由のために、また公共の安全性と基本的な移動性に及ぼす氷雪の影響のために、氷雪制御はあらゆるレベルの保守管理における費用と同様に、最も重要な高速道路の保守管理から特に注目に値する。

 アメリカで登録されているほぼ3億台の自動車や400万マイル以上の道路や街路と合わせると、氷雪上の移動を単に提供する以上に冬期の保守管理費が必要となる。

 ほとんどのカナダ道路局はアメリカの道路局よりも困難な仕事をしている。カナダの商業や産業は広大な国土中の安全な輸送と交通に依存している。それだけでなくカナダの冬はアメリカよりも寒冷な温度や度々の雪で毎年6ヶ月間を脅かす。

 何マイルにもわたる街路や高速道路上の氷雪制御のための一般的な基準は、上手な塩散布法によって安全な舗装道路を提供するために、出来るだけ早くこれらの氷雪を除くことである。ほとんどどの州、群、市、降雪帯の有料道路は氷雪のない舗装道路計画によって恩恵を被っている。車社会の経済については以下のような事実がある:

       今や運転者は毎年3兆台マイル以上を運転している。

       労働者の75%以上が車で通勤している。

       都市間交通の80%以上が自動車である。

       郊外への拡大により街路や高速道路網で交通密度が急激に増加してきた。

       小売人へのアクセス、作業施設、他の業務は全体的に自動車、トラック輸送機関に依存している。

       降雪地帯で経済的な効率や競争のために信頼性をもって高速道路を利用できるには、ジャストインタイムの作業行動が要求される。

       インターネット販売は信じられないほどの小口配送を伸ばしている。

       交通量の増加に伴って、日常の移動に関する社会の信頼性を維持し、遅滞なく救急車を緊急に移動させるために、効率的に氷雪除去が必要で、年間を通して交通を確保しなければならない。

 上手な塩散布法は環境的に神経を使った方法で安全な舗道を提供している。氷雪が舗道と結合するのを避け、出来るだけ速やかに舗道から全ての氷雪を除くことについて、融氷雪剤は環境への流出を最低にしながら最も効果的に使われる。この高度な保守管理基準の利益は次のように明らかである:

       交通機関は何時も移動できる。

       ほぼ正常な速度で通商や産業が保守される。

       事故、傷害、死亡はほとんどない。

       環境への影響は最低。

       緊急車両は通行できる。

 他の高速道路または街路の機能障害で通行できない場合よりも、融氷雪制御が上手く行かなくて通行できない場合には、社会はあまり耐えられない。雪嵐は社会全体、否しばしば全諸州に影響を及ぼす。嵐が保守管理隊によって上手く処理されなければ、人々の日常行動を著しく混乱させ、業務や交易に悪影響を及ぼし、社会の安全性を危うくする。

 

2.       共同作業訓練

 保守管理に携わる人々は交通社会に対して一般的に強烈な義務を感じている。彼等は訓練と経験から身に付ける一種の団結心を持っている。保守管理職員に対しての適正な訓練は必須である。訓練により作業をやり遂げるノウハウを学び、組織に対して不名誉ならないように、むしろ賞賛を得られるように遂行するための刺激を得る。多くの保守管理機関は以下のことを確認するために初秋に訓練課程を実施する:

       器機操縦者は除雪機、散布車、積込み機、その他冬期の保守管理に使われる器機の操作や管理の仕方を十分に理解する。

       全ての作業員は自分の責務を徹底的に熟知する。

       全ての作業員は除雪スケジュール、除雪道路網と人材、器機割当について十分な再検討を行う。

       実際の除雪作業を行う地域にある道路を予行演習で走っておく。

       全ての作業員は融氷雪でどのように塩散布をするかを理解しているので、何時、どのように、どれくらいの量を散布すべきかを知っている。

全ての訓練課程に共通する課題は上手な塩散布法の概念で、それには下記の事項が含まれる:

       適正な貯蔵量

       貯蔵地域の適正な保守管理

       良い器機保守管理と器機に関する知識

       適正な散布車の較正

       適正な塩散布

       社会の安全性と同時に環境への関心

 全ての機関が秋期会合を持つべきである。冬に先立って十分な除氷雪に関する訓練で作業を行う人々に計画について議論する機会をつくる。この会議は、経験のある作業員が除氷雪作戦を再検討する機会であり、新人に冬期保守管理法を伝達する場である。

 この会議は、作業者や監督者が行ってきたこれまでの冬期保守管理作業を正式に見直す機会となる。会議では前年冬期作業の何が悪かったのか、次期にはどう正すかを決めることにもなる。秋期会議では自由な意見交換を促進させる。全ての参加者に発言を促す。新しい考え方やより良い作戦がこの会議で浮かんでくる。

秋期訓練課程で示唆される計画の概要

T.共同作業の重要性

       除氷雪と散布道路を知る

       効果的な無線対話

       大雪警報システム

       警察、他の公共機関やメディアとの共同作業

U.器機−その操作法と保守管理法

       除氷雪機

       散布機、噴霧機、それらの制御器

       積載機

       緊急修理場と給油所

       予防的な保守管理の重要性

V.融氷雪方法

       塩の作用機構

       塩散布の方法と時期

       凍結防止と融氷雪

       散布量

       特別な豪雪条件

       特別な融氷雪問題(橋梁、曲線登坂、駐車場、交差点)

       再度の塩散布の時期

W.冬期保守管理政策の見直し

       緊急除雪ルート

       駐車場の配置

       運転者の救助法

       保守管理者による広報活動の重要性

X.安全確保の実践

       安全装置

       安全確保手段の実践

Y.議論、疑問、回答

 冬に向けて用意が出来ていることを確認するためには、冬が来る前の準備で管理者や現場監督者に検討結果を完全な示すチェックリスト持たせる。多くの市や州が使用している物と同様のチェックリストを22, 23ページに示す(省略)

 

3. 器機の点検整備

 器機は保守管理組織の生死を決する。作業のためには揃っていなければならず、強力な作業遂行ができる前提である。冬期作業は最高度の保守管理を要求する。機器を再点検することは良い考えで、記憶が消えないうちに毎冬の季節後に直ぐにやっておかなければならない。新しい器機が必要であれば、次期シーズン前に配送されることを確認して発注する。

上出来な冬期道路の保守管理に対する秘密は既に手持ちの器機で大雪と戦う能力である。その鍵は適正な器機の保守管理である。氷雪制御器機は整備されないで決して置いておかないこと。修理可能かどうか、器機を点検すべきで、必要であれば修理する。

秋期訓練課程では作業員が操作する器機の各機種を検討しておくこと。それぞれの長所と短所を吟味しておく。作業能力、積載制限重量、仕様書、安全性の考え方、付属品、改良品を記述すること。

出来れば特別な散布機、除氷雪機、積載機にそれぞれ操作員を割り当てる。人間と機械が共にいつも通り働けば、良いチームを作れる。作業員専属の器機であれば、作業員は機器の保守に対して一層の責任を持てる。

いくつかの組織では作業員を一つの器機から他の器機へ振り替えることが必要となる。その時には、器機が適当に操作され、保守されることを確実にするためにチェック・システムに依存せざるを得ない。

晩夏または初秋に全ての器機を徹底的に点検する。全ての器機を修理し、現地で調達できない予備部品を発注しておく。下記の部品に特に注意を払っておく:

       除雪版の状態と全ての雪かきの切削刃を点検する。全ての種類の除雪機について十分な予備部品を発注しておく。

       雪かきホイストと車体下の雪かき板を点検する。

       空気管や水管、他の重要な動力伝達装置を点検し、十分な交換部品を用意しておく。

       全ての撒布機、噴霧機を据付、装填し、テストする。必要に応じて修理し、重要な部品を発注する。全ての撒布機を較正し、車の窓ガラスまたはグローブボックスに較正カードを置いておく。監督者は全ての較正カードの写しをファイルして持っておく。

       全ての車両の照明を点検しておく。配線、前照灯、尾灯、制動灯、方向指示灯のソケットも含める。(車体が高かろうと低かろうと、警報灯は全ての方向から見えなければならない。)

       タイヤチェーン、タイヤ、撒布機補修部品の十分な予備を持ち、その他様々な予備品を手元に持っておく。

       手動、自動にかかわらず、全ての人が撒布機/噴霧機の操縦に慣れていることを確認しておくこと。

 器機を最適状態に保守するために、定期的な保守管理手法を定め、全冬期間にわたって続ける。器機操縦者は除氷雪出動後に車両を点検し、車庫または整備士に必要な修理を報告する。撒布機は修理後に水圧系の較正をする必要がある。

 車両保守管理の第一段階はすべての操縦者にそれぞれの器機に何を求められるかを十分に知らせることである。操縦者はこれらの項目を注意深くチェックする。

 撒布機/噴霧機−ポンプ、ホース、コントロール系の接続部を点検する。回転部分、螺旋部分、補助エンジンをチェックする。

 制御機器−手動、自動にかかわらず、どの水圧システムでも2つの主要部分はポンプとコントロール系である。全ての操縦者は撒布機操縦に徹底的に慣れていなければならない。2つの水圧システムは必ずしも正確に同じではない。したがって、コントロール系は車両毎に違うかもしれない。器機を知り、いろいろな設定で螺旋またはコンベアーや回転部分がどのように反応するか知ること。

 除雪機−使用後毎に除雪板を注意深く点検する。除雪板取付部にまで除雪板が磨り減り始めると、交換費用が非常に高くなる。除雪板は均等に取り付けられていないことを覚えておく。どの箇所でも除雪板が悪くなれば、取り替える。除雪中に操縦者に除雪板をチェックさせる。(右側の除雪板は左側よりずっと急速に磨り減る、一方、左側除雪板については反対となる。それぞれの位置で運転時間に応じて各反対側の除雪板の磨り減りを見て、除雪板を入れ替える。)

 全ての電気機器−配線やソケットを含めて定期的に全ての照明と電気機器を点検し、作動させる。レンズやランプを含めて回転点滅装置について十分な予備部品を積んでおくこと。欠陥のある配線や交流電源、発電機、バッテリーの不備は冬期道路の保守管理車両で一番の休止時間の原因となる。冬期の嵐で立往生して照明の消えた車両ほど怖くて危険なことはない。

 安全器機−車両運転台に点滅灯、照明灯、旗、安全ベストがあることを確認する。緊急救助キッドも良い考えである。常にヘルメットをかぶり、安全ベルトをしないで発進させないことが好ましい。

 全ての車両操縦者は緊急修理場と燃料補給場の位置と電話番号を知っておかなければならない。資格取得者は軽度の修理はすぐ出来るように、あるいは大きな修理を始められるように嵐中でも車庫に控えているべきである。次の嵐に備えて直ちに予備部品目録を作っておく

器機の要求は著しく変わる。舗道1マイルにつきどれくらい多くの除雪機、撒布機、噴霧機が必要であるかは降雪量、嵐の頻度、交通量、地形に応じて変わる。機関がどれくらい多くの器機を提供できるかも同様に重要な用件である。直接塩散布計画は摩擦剤または代替の融氷剤を使うよりも器機を必要としない。

注意深く計画していても手持ちの器機はいくつかの状況下では不十分であるかもしれない。不意を突かれて品切れにしてはいけない!

降雪緊急事態に請負者または運送業者から利用できる全てのレンタル器機のリストを作っておく。仕様書、レンタル料、所有者の名前、住所、電話番号の一覧表を作る。

この器機を契約するための基本原則を設定しておく。監督者は誰がレンタル器機を借りる時の責任者であるかを理解しておくことは重要である。

冬になる前に器機を借用し、現地の軍事基地から緊急に操縦者の応援を仰ぐよう準備し、設備または近隣の保守管理当局を確保しておく。必要であれば、誰が特殊な器機の責任者であり、使用に当たって詳細を交渉できるかを決めておく。何時吹雪が襲ってきて無限軌道車あるいは他の重機が必要となるかを知ることは難しい。契約操縦者や器機であろうとなかろうと訓練課程は緊急時に連れてくる操縦者も含めておくべきである。訓練はまた下水や給水のような他の部門または駐車場も含めておく。事実、除雪機や撒布機を操縦できる者は誰でも可能なときは訓練に参加すべきである。

警告!操縦する器機の借用を許可する前に、事故で借用物の損壊、損傷について部署は負担から保護されており、保険範囲が十分であり、全ての州や現地の法律、条令に従うことを確認しておく。

予防的な保守管理が重要である!嵐があった後では、全ての器機を清掃し、洗浄して乾燥させておく。乾燥後、チェイン、スプロケット、ヒンジ、回転部、他の可動部分をモーター油、ディーゼル燃料、ケロシンで拭いておく。全てのベアリングにグリスを注しておく。漏れ防止のために水圧系統とワンタッチ接続部をチェックする。全ての洗浄やメンテナンスは器機を保護し、洗浄水を集めて処理回収するために特別な場所で行われなければならない。

多機能な車体下の除雪板は除雪で非常に有用である。降雪が少ないときには、かなりの高速で安全に走られる。通常、安く購入できる。車体下の除雪板も新人操縦者にとって良い訓練用具である。

 

4. その他冬期前の計画

州間道路、主幹道路、補助道路を含めて全ての主要幹線と支線を当局の上手な塩散布計画に組み込んでおく。補助道路よりも主幹道路を優先する。

特定の場所として良く知られた所だけは最適状態になるように保守管理とスケジュール実行のレベルを割り当てる。現場の交通パターン、交通量、現地の産業ビジネスの必要性、地形または気象によって作り出される特殊な問題を考慮しなければならない。

しかし、保守管理に要求される水準を決めるための2,3のガイドラインがある:

       多くの当局が平均一日交通量に基づいて保守管理水準を決めている。

       学校通学道路、工業団地または主要工場へのアクセス道路、郵便配達道路、病院への道路、消防署、保守管理車庫を含む重要な現地幹線道路に重点をおく。

       市周辺または特定の場所に通ずる重量車両を通す全ての道路に安全な舗道を提供する。これらの道路には経時的な注意を払わなければならないことを忘れてはいけない。

       交通信号、交差点、減速地帯のような必ず止まらなければならない所の保守管理水準を記憶しておく。この記憶で運転者は保守管理水準を変えるに要する調整時間を計算できる。

       保守管理部門の連携を確認しておく。高速道路に関する部門間のギャップを放置しておくことは潜在的な危機状態をもたらす。

 都市近郷や都市を通り抜ける州間道路や高速道路は都市への幹線道路の交通量を増加させる。立体交差や大都市道路への他の補助道路には特別な注意を要する。交通が確保されなくても舗装されてない通りや道路は塩散布の必要はない。主幹道路の立体交差部分は降雪の早い段階で除雪や塩を撒く。

 完全な計画が立てられた後、道路を示す主要地図、除雪機と塩散布機のスケジュール、器機や操縦者の割当を掲示する。追加された作業のために各操縦者にそれぞれの道路と地域の地図を渡す。新しい道路、インターチェンジ、街路、橋、行政境界線を示すために毎年地図が最新になっていることを確かめる。

 作用計画を最高の効率で行うために、最高の器機と人力利用を目指す。散布機が空になった時、貯塩場に散布機を運転してくる塩散布道路を確保しておく。いくつかの場所に貯塩場を配置し、塩散布機が空で走る無駄な時間を少なくすることが望ましい。

 散布量は嵐のタイプ、気象条件、操作法によって異なる。散布量は一般的に2車線マイル当
たり
300800ポンドの範囲である。シーズン中の必要量を推定するのに便利なように、下記の表は1嵐当たり4回の500ポンド散布に基づいている。

1シーズン当たりに必要な塩のトン数 (大吹雪1回当たり2車線マイル当たり500ポンドを4回散布することに基づく)
大吹雪の回数 舗装道路基準で2車線の高速道路マイル数
100 200 300 400 500 600 700
4 400 800 1200 1600 2000 2400 2800
6 600 1200 1800 2400 3000 3600 4200
8 800 1600 2400 3200 4000 4800 5600
10 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000
12 1200 2400 3600 4800 6000 7200 8400
14 1400 2800 4200 5600 7000 8400 9200
16 1600 3200 4800 6400 8000 9600 10,200
18 1800 3600 5400 7200 9000 10,800 11,600
20 2000 4000 6000 8000 10,000 12,000 14,000
注:最低必要貯蔵量は通常年間塩使用量の半分。
本表は大吹雪2車線当たり塩1トンまたは大吹雪当たり500ポンド4回散布を基準に計算されている。
注:これらは平均の数値である。ある地域の条件は他の地域で必要とする塩の数倍を必要とする。

散布しない場所に印を付けておく。冬になる前に、排水溝入口、集水溝、縁石やガードレールの末端、消火栓のような全ての構造物に印を付ける。一度雪で覆われると、それらは除雪車または噴霧車から見ることは難しいか不可能である。大吹雪後に開けなければならない排水溝や水路の位置には特別な目印を設ける。

防雪柵をどこえ置くか? 実際の経験と解析によって防雪柵をどこへ立てるかを決める。それが置かれるところは、風が強くて作物が植えられているといった全く地形に依存する。柵は中央線から75100フィート以内に立てるべきではない。柵は常に冬の風を避ける道路脇に置かれ、必ずしも道路と平行である必要はなく、風の方向と垂直であるべきである。防雪柵の位置は毎年変えられるかもわからない。勾配、整地、木の成長がしばしば場所を変える。

土地所有者に通告する。通行権外に防雪柵を立てる前に土地所有者に申し出ることを忘れないように。長い柵のある部分では、家畜が通り抜けられるように随時隙間を設ける。そうすることで良い親睦関係となり、柵への損害も上手く避けられる。

 

5.色々な雪の種類を知る

 異常な吹溜りが予測される所には柵を二重に置き、2番目の柵は最初の柵と平行にして50フィート離す。

 自助樽についてはどうか? 多くの公共事業体は、運転者が強引に通りたいと思う危険な場所に自助の塩樽を置く。

 貯蔵している塩の流出を排除する。不適切な塩の貯蔵は塩使用に関係した環境問題の80%もの原因となっている。雨と溶けた雪が覆いのない塩堆から塩を地面や水溜りに流し出し、塩化物集積の原因となる可能性がある。

 塩堆は水を通さない覆いで覆われなければならない。塩の使用者は適当な排水溝を持ったアスファルト防水布の恒久構造物を通常選ぶ。注意深く扱えば、一時的な防水カバーも有効である。塩を覆うことは溶出や固結による塩の損失を避けるのにも役立つ。また、固結や塊がない塩は問題なく分散される。

 空気中の水蒸気が氷点以下に冷却されると雪になる。雪の密度は大きく変化する。嵐によっては濡れた砂のような湿った雪になり、おが屑のような乾いた雪になる。湿ったまたは重い雪はしばしば掻き分けられる。時間が最も重要である。信頼できる気象予報サービスの利用によって作業員は嵐に先立って用意できる。雪や氷が積もり始めたら直ぐに塩を散布すべきである。

 冬の嵐は雪の他に多くの危険な状態を作り出す。雨が降らなくても、湿った空気が冷たい表面、特に橋の道路面に触れると氷ができる。雨が舗装道路に降ると凍ることもある。凍った雨が霰や雹となって降ると、舗装道路にくっつく。

 “スノーファイティング・ガイドライン”に示されているように、大体5種類の嵐がある。それぞれ幾分違った対応を要求する。保守管理部隊の誰もがこれらの基本的な嵐の種類とそれらとの戦い方を知っていなければならない。

 ほとんどの嵐は状態1、2、または3である。しかし、温度、降雪、舗装道路の状態または

融氷雪剤散布のガイドライン
下表はいろいろな状態の豪雪と戦うためのガイドラインである。現場の状態と政策が最終的な決定要因となる。
状態1 温度  30?付近 雪や霰であれば、2車線マイル当たり500ポンドの塩を散布する。雪や霰が降り続いて積もれば、除雪と塩散布を同時に行う。みぞれであれば、2車線マイル当たり200ポンドの塩を散布する。雨が降り続いて凍れば、再度2車線マイル当たり200ポンドの塩を散布する。凍結防止処理を考慮する。
降雪 雪、霰、みぞれ
道路表面 濡れている
状態2 温度  30?以下 積雪量に応じて2車線マイル当たり300-800ポンドの塩を散布する。降雪が続き積もれば、除雪と塩散布を繰り返す。みぞれであれば、2車線マイル当たり200-400ポンドの塩を散布する。念のため凍結防止と融氷処理を考慮する。
降雪 雪、霰、みぞれ
道路表面 濡れて滑り易い
状態3 温度  20?以下 出来るだけ早く除雪する。塩散布はしない。除雪し続け、湿っていたり、固まっていたり、氷で覆われた所をチェックするためにパトロールし、その場所に重点的に塩を撒く。
降雪 乾いた雪
道路表面 乾燥している
状態4 温度  20?以下 必要であれば2車線マイル当たり600-800ポンドの塩を散布する。雪や霰が降り続いて積もれば、除雪と塩散布を同時に行う。温度が上昇し始めれば、2車線マイル当たり500-600ポンドの塩を散布し、除雪する前に塩が効くのを待つ。安全な舗装道路が確保されるまで続ける。
降雪 雪、霰、みぞれ
道路表面 湿っている
状態5 温度  10?以下 2車線マイル当たり800ポンドの割合で塩を散布するか、2車線マイル当たり1500-2000ポンドの割合で砂と塩を混ぜて散布する。雪や氷が砂とまじってどろどろになったら、除雪する。必要に応じて塩散布と除雪を繰り返す。
降雪 雪、みぞれ
道路表面 圧縮雪、氷
注:状態1と2では軽く200ポンドの散布を状態が続く限り反復する。
訳者注1:30?は-1℃、20?は-7℃、10?は-12℃に相当する。
訳者注2:マイル当たりのポンドをkm当たりのkgに換算するには係数0.282を掛ける。


他の要因が変化するのが普通である。保守管理は予期しない問題を上手く対処するために主導権と想像力を発揮できる十分に訓練された職員に任せなければならない。

 最後の塩散布が適正に好時期に行われれば、嵐の後で舗装道路はしばしば凍結乾燥する。しばしば舗装道路上の水分は凍結しながら蒸気となって消えていき、完全に清澄で乾いた表面が残る。

 気象を監視する。何時嵐が来て、どれくらい長く続き、その特性を保守管理者は予測しなければ、嵐に対して適正な準備はできない。冬期に完全で詳細な報告を得るためにアメリカ気象庁、地方空港気象台、民間の気象予測サービスと連携しておく。いくつかの保守管理部は均衡の取れたより局地的な気象図を確保するために民間の気象予測会社と契約している。いくつかの先進的な機関はより正確な氷雪制御操作のために道路と気象状態を同時に得るために舗装道路センサーと局所気象観測器機を使用している。

 道路状態の情報を得るために511に電話することも役立つ。いくつかの州も道路や交通状態を提供しているミネソタ(www.511MN.org)、ウィスコンシン(www.511Wl.org)のような優れた511ウエッブサイトがある。さらに、米国気象課は地方と周辺の状態の両方について総合的な報告を提供しているウエッブサイト(http://www.nws.noaa.gov/)を持っている。

 気象状態は一般的に地上30フィートで測定されている一方、タイヤが道路と接触している所で何が起きているかを知ることは氷雪被害防止で重要である。舗装道路温度は作業の決定を評価する時期を決める。これにはいくつかの種類の道路表面センサーまたは道路気象情報システムにアクセスすることが必要である。

 表面温度を測定するために使われるいろいろな電子センサーがある。携帯型または車上移動型赤外線レーザー・センサーは舗装道路温度を素早く得られ、処理量を確定するために非常に有用である。

 道路気象情報システムは、冬嵐の最中にアメリカ運輸局の情報に基づいて決定できるように高速道路沿いに戦略的に配置されているいくつかの気象観測場からなる優れたシステムである。特殊な機器やコンピューター・プログラムは、冬の嵐が高速道路にどのように影響を及ぼすかに関して予測できるように大気や舗装道路温度をモニターしている。これにより資材、機器、人員を最適に使用でき、数年の経験を通して完成された防氷、融氷雪技術を実行できる。

 気象状態の変化は全ての人員に伝えられるべきである。午後遅くの報告が夜間降雪の可能性を示しておれば、その日の作業を終えるまでに除雪板や散布装置を着けて機器を用意できる。気象予報が示しておれば、嵐が来た時に、嵐と戦い始める職務のためにある程度の作業要員を残しておくべきである。夜間に降雪が予報されれば、作業要員は休息のために家に帰させ、夜間に呼び出されるかもしれないと警戒態勢を取らせるべきである。夜間遅くに発達する嵐を監視するキーパーソンに気付かせるために、高速道路の巡回、地方警察、郡保安官部門、気象サービスと連携する。必要性が生じれば、生じた時、全保守管理力に警戒態勢を誰が伝える責任を持っているかを確実にしておく。

塩ポンド当たり溶解できる氷ポンド
温度 ? 塩化ナトリウム(塩)1ポンド 塩の撒布量
30 46.3 2車線マイル当たりの量
ポンド
2車線マイル当たり塩の立方ヤード当たり適用範囲
25 14.4 800 2 1/2
20 8.6 700 2 3/4
15 6.3 600 3
10 4.9 500 4
5 4.1 400 5
0 3.7 300 6
-6 3.2 200 10

 
6. 較正

 異なった物質を同じ設定で異なった量を散布するには撒布機は使われる物質で較正されなければならない。

散布機較正法

 散布機の較正は色々な散布機制御設定と車両の速度で実際に散布するマイル当たりのポンド数を簡単に計算できる。それは毎分のコンベアーシャフトの回転数をまず数えることによって行われる。1回転当たりに散布される塩を測定し、その後2倍し、最後に1マイル走行するに必要な分数に散布量を掛ける。散布量フォーマットの較正表の優れた事例は塩協会のウエッブサイトhttp://www.saltinstitute.org/images/calibrationchart.xls.にある。作業散布シートは同じページにある。較正表の1事例をこのページに示す。(省略)

 ホッパータイプの散布機では特別なバルブの開閉を較正しなければならない。コンベアーの床からバルブの底端までを測定する。各散布機は個別に較正されなければならない。同じモデルでも同じ設定で大きく変わることがある。

機器に必要な事項:

1.計重機

2.キャンバスまたはバスケット/収集装置

3.チョーク、クレオンまたは他のマーカー

4.秒針付きの時計

較正手順

1.散布系の運転状態で正常な操作温度まで車両の水圧油を温める。

2.車両上で部分的に塩負荷をかける。

3.コンベアーのシャフト末端に印を付ける

4.コンベアー上に塩を落とす。

5.RPMを操作する(少なくとも2000 RPM)ために車両のエンジンを回す。

6.各散布機の制御設定で1分間当たりのシャフト回転数を数えて記録する。

7.1回転の塩を集めて計重し、コンテナーの重さを差引く。(精度を上げるために、数回転の塩を集め、回転数で割り、1回転当たりの重さを得る。) このことはアイドリングまたは非常に低いエンジン回転数で行われる。

 1回転当たりの排出量に回転数を掛けて毎分のポンドで排出量を出し、その後、色々な車両速度で1マイル走行に対して分数に排出量を掛けてマイル当りの排出量ポンドを得る。

自動制御による較正

 自動制御は各設定で適正な散布量を示す工場での較正カードによっている。しかし、較正をする必要があるときには次の手順をとる。
    1.    スピンナーを外す。

2.    オーガーを与えられた数に設定する。

3.    排出シュート下部のサックまたはキャンバスを結び付ける。

4.    100または1,000フィートのように特別な距離に印を付ける。

5.    散布機を操縦しながらその距離を走行する。

6.    サックまたはキャンバスに集められた塩を計重する。

7.    塩の重量に5.3(1,000フィートの場合)または52.8(100フィートの場合)を掛ける。

 これはマイル当り排出される塩の量であり、速度に関係なく一定であるが、各制御設定について較正を行わなければならない。

 

7. 塩散布のガイドライン

 塩散布でタイミングは非常に重要である。理想的には嵐が来る前に融氷雪処理としてかん水を撒く。それが出来なければ、雪や氷が舗装道路と結び付くのを避けるために嵐が始まると直ぐに塩を散布するべきである。塩は素早くかん水を作り出し、または雪をベチャベチャにし、効果的に除雪できるようにする。

 嵐の早い段階で散布された塩の溶解は舗装道路表面に作用して氷雪が硬く固められないようにする。塩だけで舗装道路をきれいに保守しようとするには、時間と嵐の条件が必要である。例えば、みぞれは除雪できなくて、塩は道路をきれいにしておくだけである。

 凍結防止は氷と舗装道路の結合を妨げる一番良くて最も一般的な方法になってきた。一番良いアドバイスは冬の嵐が近付いてくると、直ぐに全ての機器を動員できるように準備することである。

 あまりにも多くの変動要因があるので、氷雪制御で容易な答えとか解決策はない。66,666以上の異なった嵐の状態があると推定されてきた。すなわち、舗装道路の温度、周囲の温度、舗装のタイプ、日照、交通量、車両速度、風向と風速、降雪のタイプ、地形状態、湖海の影響、日陰になった場所(山、樹木、建物による)、風による冷却効果、と言ったことである。

 氷雪制御は非常に複雑な問題で、現場でこの仕事に携わっている人々は出来るだけ最高の情報を必要としている。

 塩は通常、2車線マイル当たり300800ポンドの割合で散布される。温度が低下するにつれて、塩の量か散布回数のどちらかを増加させなければならない。

 嵐が来る前に舗装道路上にかん水を散布して凍結を防止するにはどこでも1/3から1/4の融氷雪剤を必要とし、それは冬期交通の安全性を改善するための最もコスト効果のあるオプションである。

 理想的には何らかの融氷雪剤で嵐が終わるまでに全ての資材を完全に使いきるべきである。嵐の予報が正確ではないので、嵐の後で表面に残物が残るかもしれない。吹き飛ばされたり、洗い流されなければ、残物は次の嵐で雪や氷が固まるのを防ぐのに役立つ上で効果的となる。嵐の状態によってあまりにも多く散布され過ぎれば、融氷雪剤は残留効果を発揮するだけである。

 予めかん水で湿らせた塩は塩の反応時間を早め、道路からの跳ね返りで飛び散るのを避け、一層作用しやすくする。この融氷雪法に関する詳細については10章を参照。

 前述の方法のどれかと組合せた処理法もある。早期に融氷雪剤を散布することが最も効果的であり、予め湿らせた塩はどの温度水準でも作用が早く効果が高いことをほとんどの機関は認識している。

 道路幅一杯または道路端の吹溜に塩を散布する。両方とも条件に応じて効果を発揮する。回転翼の速度には特別の注意を払う。早過ぎる回転翼は広い範囲に塩を散布できるが、塩を損失する可能性がある。指向性の板を用いるか回転翼の速度を落として回転翼の散布位置を調整して散布距離を修正できる。交通量と高速道路の設計で要求される散布パターンは決まる。

 センターラインに沿って48フィートの位置にある溝に散布された塩の溜りは交通量が少ない道路から中間の2車線道路に対して有効である。このパターンでは塩の損失が少なく、2輪車にも素早くきれいな道路を提供できる。交通によりセンターラインから塩は端に寄せられ、全道路幅の氷雪を溶かすように塩水は両肩に向かって移動する。

 全道路幅散布パターンは中間から多い交通量の他車線道路で最も頻繁に行われる。溶解作用は舗装道路の全幅で観察される。車両は車線の車輪が通る所をきれいにするために車線内に留まる傾向がある。

 嵐の最中に塩散布を減らそうとしてしばしば全道路幅散布パターンが使われる。しかし、このパターンを使うときには塩を損失させないように気を付ける。

 塩散布中に風を利用する。街路や高速道路を横切って吹く強い風は、塩が散布機から出るとそれを吹き飛ばし、路肩や溝に押しやってしまう。これは風よけのない田舎地域では特にひどい。風が散布にどのように影響するかは風速と舗装道路の状態に依存する。散布機の操縦者は散布が最も上手く行くように塩を散布させるために風を利用すべきである。

 散布工程に固有の制御を一層上手くするために、すべりを減らすよう少しの幅でも露出した道路を保守するために凍結防止剤散布では全幅にわたる直線ノズル・システムで行うのが一番良い。扇形の散布は勧められず、風が吹いている状態では注意しなければならない。

 塩が作用する時間を与える。塩の融氷雪を最高にさせるために除雪作業と時間を合わせる。舗装道路から塩を掻き分けてしまえば、融氷雪剤の損失となり、除雪コストの上昇となる。

 除雪する時期と再度塩散布する時期を知る。さらに塩散布する必要性は車両のタイヤで跳ね飛ばされた雪の溶ける様子を観察することによって決められる。半分溶けた雪が柔らかく水のように広がれば、塩はまだ効いている。半分溶けた柔らかい雪が固まり始め車両タイヤの後ろに直接撥ねられ出したら、除雪しさらに塩散布する時期である。

 天気が変わってきたか?日が照らず温度が急速に低下した時は、夜間の塩散布量は増加させなければならないことを忘れてはいけない。太陽が出なければ、日照と暖気の効果はない。夜間には通常、交通量は減り、融氷雪に役立つ熱源は最低になる。舗装道路温度は大気温度とはめったに同じにならない 融氷雪制御についてさらに行うかどうかを選択するときの重要な考え方 ことは重要であり、舗装道路は処理される。

 塩の滑り止め力を見落としてはいけない。何年間もの間、融氷雪剤として散布された塩は滑り止め効果も与えることを多くの保守管理者は観察してきた。国家安全委員会と共同で行われたテストは、通常の量で散布された塩は研磨剤として滑り止め効果を与えることを示している。塩の滑り止め効果は、塩が氷雪を溶かし始めると直ぐに現れる。

 環境を保護する。塩が散布される方法は、社会がスノーファイターの努力に感謝するか、非難するかによって異なってくる。過剰使用や間違った使用は環境についての関心を無視している。散布機の適正な較正と良好な貯蔵でほとんどの問題を避けられる。

 年間の降雪量と使われる塩の総量との間には相関はない。塩散布の頻度と必要な塩の総量は嵐のタイプで決まる。みぞれまたはあられの嵐は多分、雪嵐が延長された場合よりも大量の塩を必要とするかもしれない。塩の使用以外にみぞれと戦う方法はない。

 
8.  特別な塩散布や除雪問題

 まず橋に塩を散布する。冷たい大気が橋の道路面の上下両方を冷やし、暖かい温度を保持できないため橋は道路表面よりずっと前に凍っている。橋には早期に注意を向け、塩散布すべきである。湿度が高く温度が低いので、降雪がない時でも橋の道路表面は氷に覆われているかもしれない。(または他のいくつかの条件下では、橋は降雪がなくても霜で覆われ、塩散布しなければならない。)

 曲道の高くなった側に塩を散布する。塩水は勾配のある曲道を横切って流れ去る。塩が中央線に向って散布されると、中央線より上の所では氷が多いままである。曲道の高い側に塩を散布し、重力で低い側に作用させる。

 隙間を作ってはいけない。必要であれば、何らかの理由で処理されなかった隙間を除雪し、塩を散布し、操縦者は割当てられた地域以上に作業しなければならない。短くても除雪されない道路は疑うことを知らない運転者にとって非常に危険となる。

 吹き飛ばしに注意する。早い風速の風が続けば、舗装道路がきれいになった後でも吹き飛ばしや滑り易い場所を見付けるために巡回を続ける。塩散布で出来た氷の多い所を処理する。高速道路がアスファルト道路であるか、路肩が安定しておれば、溶解バリアーを形成するように路肩に塩を散布して吹き飛ばしをコントロールできるかもしれない。

 非常に低温度で乾燥した吹雪の時には塩の使用は適当ではない。塩を使わなくても、乾燥した雪は舗装道路から吹き飛ばされるかもしれない。

 再凍結を防ぐために十分な塩散布によって出来た氷の蓄積や押し固められた雪による滑り易い状態を避ける。

 道路の氷結は非常に危険である。舗装道路がきれいに見えても、いくつかの気象条件下では時々紙のように薄い氷の膜が裸の舗装道路の車輪が通る所にできる。この黒い氷形成は致命的になる。保守管理者はこの状態を見つけ、見つければ直ちに塩を散布するように教育を受けさせるべきである。

 道路上に機器を置いておく。嵐が接近しているという情報を聞いたら、除雪板を取付け、荷台に塩を積み、車庫から車両を出し、出来るだけ早く除雪場所や塩散布場所に行く。その場所に着くことが遅れれば、ひどい交通渋滞を引起すことになるかもしれない。

 嵐の時に最初に塩散布するトラブルの多い場所のリストを作っておく。橋、交差点、駐車場、坂道、曲道を最初にするように全ての従業員にしっかりと理解させる。指示のために事務所に待機するよりも操縦者に高速道路を巡回させる。

 雪が降り始めると、機器は車庫に置いておくよりも道路に出ている方がずっと良い。嵐の前に融氷雪剤噴霧機または塩を積んだ散布機や、嵐の前に巡回している除雪機を見ることほど運転者をより安心させることはない。

 インターチェンジには特別な注意を払う。出来るだけ素早く駐車場の出入り口に塩を散布する。安全な出入り口がなければ、安全な道路や街路を作れない。

 道からトラックをどけることができるか?まさにそれをするために利口な輸送システムが開発されてきた。トラック運行、交通信号制御、コンテナー管理システム、安全CCTVシステムのような塩散布をモニターすると同様に、いろいろなメッセージ信号またはスピード・カメラのような基本的な管理制御機器がある。CCTVシステムはトラック輸送の兵站を管理できるように設計されてきた。さらに、予報技術が開発されつつあり、より進化したモデルと歴史的なベースライン・データと比較できるようになる。

 

9. 凍結防止

 北アメリカにおけるスノーファイターの機器庫で比較的新しい道具は凍結防止である。しかし、それはヨーロッパの道路を安全に通行できるように保守してきたという長い歴史を持っている。

 凍結防止は融氷雪とは異なる意味がある。道路表面と氷雪が結合することを防ぐために降雪前にかん水を散布するからである。それはスノーファイティングに対する前向きな方法で、冬の嵐のために採用される一連の戦略でしばしば第一候補となる。嵐の前に氷点降下物質の散布によって舗装道路と氷雪との結合を防ぐことができる。凍結防止剤のタイムリーな散布によって伝統的な融氷雪と比較して安全な道路表面を保守する費用を90%節減できることが研究によって示された。液体塩化ナトリウム(NaCl)15 ? 以上の凍結防止では最も効果的な選択である。

凍結防止には多くの利点がある。

       凍結防止剤は道路表面を早急に正常化し、その結果、事故や渋滞が少なくなる。

       凍結防止剤は大気中の埃や塩粒子を減らせる。

       塩は効果を発揮するには水分を必要とする。かん水散布は溶解工程を促進させる。

       かん水は道路表面に張り付く。風や車両によって道路から容易に吹き飛ばされない。したがって、資材はより有効に使われる。

       嵐が遅れても、降雪が始まった時、道路に残っている塩がすぐさま作用し始める。

       嵐に先立って乗務員は処理を始められる。凍結防止剤は氷雪と舗装道路の結合を妨げるので、嵐の進行にともなって安全な道路を保守するためにスノーファイターの作業を軽減できる。

       効率の上昇は融氷雪剤の使用量と人員を少なくできる結果となり、安全な道路状態を保守する費用の削減になる。融氷雪剤の使用量減少も環境問題を軽減できる。

 凍結防止計画で使える物質は塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウムマグネシウムである。

 それぞれの物質には物質特有の長短がある。使用されている最も一般的な物質は岩塩と水の混合物から作られたかん水の形をした塩化ナトリウム()である。塩かん水は‐6 ? まで有効で、降雪帯を通して使われている証明された凍結防止剤である。

 いくつかの機関は‐6 ? 以下で有効な塩化カルシウムや塩化マグネシウムのかん水を使うが、塩よりも6倍以上も高く、取り扱いは一層難しい。また、道路表面に残った塩化カルシウムや塩化マグネシウムは塩よりも低い相対湿度で吸湿し、いくつかの状況下では危険で滑り易い状態となる。

塩かん水の製造

 塩かん水は岩塩または天日塩と水を混合して作られる。工程は簡単で、得られたかん水は約23%である。

 水に対する塩の割合はかん水の有効性にとって重要である。塩が濃かったり、薄かったりすれば、かん水の氷点降下度に影響する。適当なかん水混合物は重量で23.3%塩濃度である。これは塩かん水が最低の氷点‐6 ? を示す濃度である。氷点がさらにもっと低下するまで水に塩を加え続けることができるか?できない。水に対する塩の溶解度は温度低下に伴って下がる。結局、いわゆる共晶点に達する。これは溶液が最高の塩濃度に達する点である。より冷たくなれば塩は溶液中に残り始め、氷点を上げる。共晶点温度で氷、塩水、塩結晶は平衡状態で存在する。水については、共晶点温度は‐6 ? である。塩のパーセントは塩分計で88.3%の測定値が得られるまで、塩分計すなわち、特別な比重計で測定される。これは23.3%の塩含有量に相当する。

 商業用かん水製造機は約5,000ドルの費用で入手できる。多くの機関が水槽とPVC管を使って独自のかん水製造機を作って実質的にコストを下げている。かん水は通常、現地の管理施設で作られ、Vボックスまたは凍結防止装置のある所で荷台のタンクに積込むのに便利な場所の大きなタンクに貯蔵される。腐食を減らすために、かん水が調整された後でかん水製造機を清掃することが重要である。

散布装置

 かん水散布機は約1,500ドルで市場から入手できる。いくつかの機関は大きなタンクとPVC配管を使って独自の散布機を製造してきた。ある装置は散布トラックの床に積込まれ、管理装置の後ろで牽引され、または永久的にトラックの床に乗せられるように設計されている。操縦者が遮断バルブを操作して、あるいはもっと複雑な(そしてもっと制御し易い)ポンプ駆動散布システムを用いて重力で供給される簡単な散布システムである。ファン・スプレーは勧められない。制御は車線マイル当たり2560ガロンの散布量で変動できるようにすべきである。 

塩かん水用の比重計/塩分計の関係表
塩% 比重計の比重 0-100%で使用する塩分計 塩% 比重計の比重 0-100%で使用する塩分計
0 1.000 0 14 1.104 52
1 1.007 4 15 1.112 56
2 1.014 7 16 1.119 59
3 1.021 11 17 1.127 63
4 1.028 15 18 1.135 67
5 1.036 19 19 1.143 70
6 1.043 22 20 1.152 74
7 1.051 26 21 1.159 78
8 1.059 30 22 1.168 81
9 1.067 33 23 1.176 85
10 1.074 37 24 1.184 89
11 1.082 41 25 1.193 93
12 1.089 44 26 1.201 96
13 1.097 48 27 - 100

設計で大きな水平タンクが使われれば、液がタンク内で突然移動するのを避けるためにタンク内に邪魔板を設置し、操縦者にとって危険な制御状況を引起すことを考慮する。

散布

 正確な気象と道路表面情報が凍結防止剤の効果的な使用に重要である。道路表面温度、降雪量と形態、風の条件、道路環境(日照、表面状態、橋、等)は全て凍結防止剤の使用と散布に影響を及ぼす。

 かん水の氷点降下度を理解することは凍結防止剤として使用、散布する上で重要である。(下図参照)。図から分かるように、塩かん水の最低氷点は濃度23.3%で‐6 ? である。道路表面温度は図の右側に、溶液濃度は下に示してある。線は与えられた温度における溶液の氷点を表している。図中央の色付部分はかん水溶液の溶解範囲を示す。左側部分は塩分濃度が低い溶液の結果を示しており、さらに塩かん水または塩を加えなければ、道路表面は再凍結する。右側部分は塩分濃度が高い時の結果を示しており、さらに水分がなければ表面は再び凍る。見れば分るように、追加の降雨量や激しい交通量はかん水溶液を薄め、道路を再び凍らせる。

 降雨量の追加は必ず道路表面のかん水を薄める結果となる。

 気象情報が大気温度、露点、目視気象鑑定者から舗装道路温度、表面状態、入手できる薬品情報からのあらゆることで次第に良くなっていく。いくつかの機関は交通状況や橋の状況をモニターするために遠隔操作テレビカメラを利用している。この情報は機関に凍結防止剤の適正な散布を正確に決定させるのに役立つ。

 風が強い状態では凍結防止剤を散布してはいけない。特に吹き飛ばされがちな地域や塩で問題を起こしそうな場所、例えば、風の問題がありそうな全ての地域では散布しない。

 多く散布し過ぎない。さもないと道路が滑りやすくなる。常に推奨散布量に従う。

暖かい道路(28 ? 以上の舗装道路温度)に対してCaCl2MgCl2を散布しない。非常に滑りやすくし暴走の原因となる。

要約

 凍結防止処置はスノーファイターの兵器庫の中で重要な武器である。凍結防止技術の適正な使用は以下の結果をもたらす:

● より素早く裸の舗装道路状態に戻し、命を救い、事故を少なくすることにより資産の損傷を減らす。同時に交通遅延を減らし、地方経済に対して損失を減らす結果となる。

塩の相平衡図

       融氷雪剤の使用量を減らし、費用節約と環境問題を減らす。

       安全な道路状態を保守するために必要な人員を減らし、超過時間コストを減らし、従事者の疲労を減らし、安全な作業状態とする結果となる。

 

10.融氷雪剤の事前加湿

 一度雪が積もり道路と結合する、あるいは雪嵐が道路表面を滑り易くすると、安全な走行状態に戻すために融氷雪作業を始めなければならない。氷雪と道路表面との結合は薬剤または物理的方法またはその両方の組合せで壊されなければならない。

 1ダース以上の薬剤が融氷雪のためにテストされてきた。使用される最も一般的な物質は塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムである。岩塩またはかん水の形の塩化ナトリウムは、その安さと証明されている効果のために、融氷雪作業で使われる一般的に断然人気のある薬剤である。したがって、融氷雪解析1992で輸送研究委員会の言葉の中に塩は選択すべき融氷雪剤とされている。

 研磨剤は融氷雪作業では融氷雪効果を持っていない。事実、戦略的高速道路研究計画とウィスコンシン大学による研究は、砂が融氷雪剤の溶解工程を妨げていることを示唆している。

適当な散布の選択

 塩は固体、予め湿らせた固体、液体の形で使われる。使用方法は利用できる機器と同時に気象や道路状態によって決められる。塩が溶解作用を発揮するには水を必要とする。融氷雪用岩塩または天日塩は道路表面の水に溶けてかん水を作り、それが雪や氷を溶かしてさらにかん水を作り、作用が継続される。いったん塩が固められた氷雪を貫通して道路表面でかん水を作ると、氷雪盤は壊されて、除去作業は上手く行き、裸の道路状態に復帰できる。

 予報される状態と処理時の道路表面温度で処理剤を固形、予め湿らせた固体、または液体にするかどうかを決定する。降雪の状況、すなわち、乾燥雪、湿った雪、あられ、みぞれ、着氷性の雨、なども考慮されなければならない。状況変化も作業に影響を与えることを念頭においておくこと。温度低下は再凍結を引起す。追加の降雨は融氷雪剤を薄め、効果をなくする。適当な作業法を決定するための援助として前章の相変化図を参照する。

 道路表面が湿っており、再凍結を起こさない温度であれば、乾燥した塩の散布が適している。必要な水分はすでにあり、直ぐにかん水が出来て溶解作用が始まる。散布量は積もっている氷雪量で決められる。融氷雪用塩が薄くなると溶解効果が小さくなることに注意する。

 踏み固められた雪や氷が固体であり、温度が再凍結を起こすほどに下がれば、その時には予め湿らせた融氷雪用塩の散布でより素早い結果をもたらす。積込む時または散布する時に回転翼のいずれかで塩に水を加えることは溶解作用を始める水分を提供することによって融氷雪作用を促進させる。

 踏み固められた雪に液体散布をすることは勧められない。液体が表面摩擦を小さくし、かん水は薄められて、溶解作用がなくなり、再凍結が起こるかもしれないからである。かん水散布は固い透明な薄氷状態には有効な処理法である。塩は‐6 ? までの温度で氷を溶かすことはできるが、連邦高速道路局が考えているかん水散布の実際的な限界は約15 ?である。その温度以下では塩化ナトリウムと混ぜた塩化カルシウムまたは塩化マグネシウムを予め湿らせて使う。

 融氷雪剤は道路の一番高い部分に近いところに散布されるべきである。その結果できるかん水は頂上から表面の残った部分に流れ下る。回転翼の速度は、融氷雪剤が道路表面に残るように十分遅くすべきである。回転翼速度と散布量は交差点や他の交通量の多い所ではより高くすべきで、融氷雪剤を広い範囲に散布し、状況が要求する高い濃度で散布する。しかし、停車信号で止まっている時に自動制御を切り離すBLASTの使用は適当ではない。

 道路状態、温度、嵐の進行具合、交通状態は全て融氷雪剤散布量に影響を及ぼす。5章の表は適正な散布量を決定する時に役立つであろう。

資材の選択

 一般的に全ての融氷雪剤は同様の方法で作用する。それらは水の氷点を降下させ、氷雪を液体または半液体の状態にする。固体の融氷雪剤は氷雪を貫通して、溶けて出来た濃いかん水は氷雪下で広がり、道路表面との結合を壊す。いったん結合が壊れると、氷雪はすき除かれ、または他の方法で除かれる。嵐の前に融氷雪剤を散布することによって、道路表面への結合を防止し、氷雪とかん水が接触するとそれらを溶かす。

 農業副産物も同様に作用する。その結果できた溶液は氷雪の氷点を降下させることで作用する。これらの産物は通常他の物質との組合せで使用される。

 すべてこれらの物質は同様に作用するが、作用の仕方は幅広く異なっている。作用の仕方を決める上で効果的な温度範囲、作用速度、必要量、溶解作用期間といったいくつかの要因が考慮される。

 物質評価で他の重要な基準は:有効性、費用、インフラストラクチャー、環境への影響である。各社会は各自の特別な要求に適したそれぞれの基準に特別な重点を置く。同時に、その要求は政策的な優先順位の変動に応じて変化することがある。必要性を満たすのに密接に適合しているように、物質選択で合理的な決定ができる能力は冬期の保守管理計画者にとって非常に重要である。

 この問題と取組むために、資材選択にあたって事実に基づいて決定をする手段を開発するために州の交通局組合は研究を依頼した。これは20075月に国立科学アカデミーの輸送研究委員会によって出版された。完全な報告書はhttp://onlinepubs.trb.org/onlinepubs/

nchrp/nchrp_rpt_577.pdfでダウンロードできる。今や使用する薬剤を各機関が置く重点に関して合目的に比較できる。コンピューター・プログラム(物質選択ウィザードと呼ばれる)は機関が設定した優先事項に基づいたデータを探し出す。

 このコンピューター・プログラムは塩協会のウェブサイト:http://www.saltinstitute.org/

snowfighting/index.htmlからダウンロードできる。TRBのウェブサイト:http://www.trb.org/news/blurb_detail.asp?id=7739も利用できる。

 ここに新しい物質選択ウィザードがとのように働くかの事例がある。

融氷雪剤として塩が選択される理由

各種融氷雪剤が発揮する温度特性

 冬期の保守管理機関は予算削減を行い、次の優先事項が彼等の特別な必要事項を反映していることを決めている−図1参照。

 価格が一番の関心事(45)で、氷雪の溶け方はそれほど重要ではなく(35)、一方、環境(11)とインフラストラクチャー(9)は全体の中では幾分低くなっている。

物質選択ウィザードを使ってデータをインプットして次のような結果が得られ、どの温度で使うかで資材が機関の必要性に合っているかを示している−図2参照。

ウィザードは特別な優先事項に基づいた情報に基づく選択をする。市議会に直面して守られる選択をする。市民は骨折って稼いだドルを大切にし、環境を保護しながら道路の安全と開通を保守するためにそれらの費用を賢く使うことを期待する。市議会と市民は政策を決定する。この手段は政策に反映され実際的で機能的な選択に生かされる。

 他の例として、ここに極端な環境/インフラストラクチャー優先モデルがある。それは融氷雪剤の費用を無視し、溶け方に重点を置かない(25%、資材は生命を救助する融氷雪課題を遂行しなければならないので、比較的低い重み付けは無責任なことになる)。環境とインフラストラクチャーは一緒にして全体の3/4を占める(それぞれ等分に37.5%に分かれる)

 ここに色々な物質がこの優先事項の設定と合わせられることを示す−図3参照。

環境重視した時の各種融氷雪剤の温度特性

 したがって、どのような温度であろうとも社会の特別な優先事項に従う物質を機関が選べるようにする。

使われる機器

 固形の融氷雪剤または湿った塩は散布車で散布される。積荷が湿っておれば、追加の機器は必要ない。道路に散布するときに、塩にかん水を加える場合には取り外しタンクと回転翼付きの散布機は必要である。かん水はタンク車または9章で考察された同じ装置を使った牽引車で散布される。

要約

 塩の使用は多くの利点を持った証明された除雪技術である:

       道路表面をより迅速に裸の道路状態に返す、それによって多くの事故、資産損傷を減らし、命を救う。融氷雪剤としての塩の使用は塩自身の支払以上に価値があることを研究は示してきた。

       乾燥した舗装道路状態に復帰させるために必要な時間を減らすことによって人件費を下げる。

       清掃費をなくするか大幅に下げる。

       代替品と比較して塩は取り扱いに安全で、適正に使えば環境によりやさしい。

あらかじめ湿らすことは塩の使用効果を高める:

       湿った塩は舗装道路に付着するので、路肩や溝に散らばって損失する量を減らしてより均一に散布される。

       加えたかん水の二重作用とより多くの塩が道路上に残るので、使用する乾物量は20 ? 30%減らせる。

       かん水が多くあるのでより早く作用する。

       塩が道路上に留まるので、走行/散布速度を増加できる。

 

11. 嵐の後

 ほとんどの吹雪は20 ? 以上で起こり、吹雪が止むと急激に温度が低下する。嵐の後で舗装道路はきれいになって乾燥し、路肩に吹き寄せられ、構造物をきれいにし、危険な場所から雪を引き剥がし、将来の雪溜めまたは雪除去のために空間を作る。

 除雪でしばしば橋の両端に雪の畝が残される。これらの畝は橋上の道路通行幅を狭める。さらに、残したままにしておくと、後で溶けて氷を作る。出来るだけ早くこの雪を除く。

 注意。橋の上から下の道路や鉄道線路に資材をどさっと落とさない。必要であれば、橋上の水を排出できるようにスコップで雪をのける。

 横滑りを防ぐために高くなった中央部から雪を除く。後で溶けて再凍結しないように、また運転者の視程を改善するために防壁や交通分離帯から雪を除く。

 水を排除する!道路から排水し、集水溝は溶けた氷雪が流れ込めるように空けておくことが重要である。水がせき止められ水がかき混ぜられる時、温度低下で再凍結が起こる可能性がある。凍った水、集水溝、暗渠に塩を散布して氷雪を溶かす。

 使用した資材を正確に記録しておく。高くした施設、低く垂れ下がった枝、雪が溜まる特別な場所で起こる問題などの障害物も記録しておく。

 作業を改善する機会を持つ。機器を清掃し保守する契約を実行する。

 シーズンの終わりには全ての機器を十分に清掃・保守し、残った資材に水を通さない覆いを掛けておく。

 

12. 安全性について

 氷雪除去の目的は、もちろん運転者が安全に走行できるようにすることである。これを行うに当たって、保守管理に当たる運転者は自分自身の安全性を見落としてはいけない。また、安全な道路を確保しようとして別の安全性を損なう障害物を作ることがある可能性を見落としてはいけない。

 作業をさらに安全にするために、していことと、してはいけないことに精通する:

       使用する前に全ての機器をチェックする。照明、ブレーキ、ウインドワイパー、排気管、タイヤ、チェーン、操縦が安全であるか確認する。

       全ての機械的なトラブルを素早く報告する。

       特に吹雪や夜間には速度を落とすことを忘れないように。

       急いで仕事を済ませてしまおうという衝動を抑える。

       他人の権利を尊重する。雪中の運転で困っている運転者を思いやること;できれば立往生している運転者を報告する。

       絶えず救急救援道具を完全に備えておく。消火器や発炎筒も時々チェックする。

       道路交通法を守る。

       機器操縦者の疲労兆候を観察する。降雪帯の公共作業機関では12時間連続作業に限定していることはかなり一般的なように思えるが、いくつかの機関ではもっと長い時間の作業を許している。しかし、通常、日常業務は12時間作業、12時間休息である。

 

13. 社会知識の遵守

 降雪緊急手順や規制を公表する。放送局や新聞は定期的に除雪進行状況や特別問題地域を知らせる。これにより運転者はどの道を通れば良いかを判断できる。除雪優先順位に関する事前公表は、何時道路が除雪されるかを知りたい人々からの問合せ時間を節減する。

 嵐が来る前に、吹雪の接近に関する情報を伝えて、学校、会社、行政機関が早期に閉鎖するかどうかを判断するのに間に合わせる。

 他の機関と情報交換する。冬が来る前に、氷雪除去について協力体制を協議するために他の公共機関の代表と会う。他の機関に計画を知らせ、機関の協力を得るために主導権を持つ。

 これらの人々を冬になる前の会議に招待することを考える。例えば、地域の役人代表、民間防衛対策長、学校関係のバス輸送を請負っている人々、警察署と消防署、アメリカ自動車協会の近隣クラブの緊急道路サービス・マネージャー、地方軍隊からの役人、ニュース・メディア代表である。

 スノーファイターは奇跡の労働者ではない。彼等は献身的で勤勉な人間で、彼等の意志で自然の力と戦い、通常、勝つ!

 彼等が成遂げた業績の本当の記録は除いた雪のトン数でも、きれいにした舗装道路のマイル数でも、除雪した街路の数でもない。商売ができ、工場が動き、政府が機能し、人々が安全に旅行でき、甚だしい遅れがでないように高速道路の開通を確保することが良い除雪作業の証拠である。

 公共事業や高速道路機関の努力を通して救われる命の数を持続させる包括的なデータはない。しかし、それでも命は救われ、彼等の一人を救えるかもしれない。

 一つの優れた研究の結果を下に示す。融氷雪の利益について疑いはない。自動車や橋の腐食、環境破壊といった良く知られている融氷雪コストを全て計算しても、融氷雪用塩使用の利益はこの本質的な公共の安全性サービスを提供する費用の18倍以上である。

塩散布前後の交通事故量

秋期訓練に提案されている計画概要

T.調整の重要性

       除雪散布道路を知っておく

       効果的なラジオ放送

       嵐の警報システム

       警察、他の公共機関やメディアとの連携作業

U.機器−その操作と保守

       除雪機

       散布機、噴霧機とそれらの操作

       ローダー

       緊急修理場と燃料補給場

       予防的な保守の重要性

V.散布法

       塩の作用の仕方

       塩の積込みと時期

       凍結防止剤対融氷雪剤

       散布量

       特別な嵐の状態

       特別な融氷雪剤問題(橋、曲がった登坂、駐車場、交差点)

       塩再散布の時期

W.冬期保守管理政策のレビュー

       除雪緊急道路

       駐車場の配置

       運転者救助法

       保守管理者による個人的な広報活動の重要性

X.実地安全性

       安全装置

       安全実践

Y.議論、質疑応答

● 冬に対して既に用意ができていることを確認するために、現場監督者に冬期前の準備状況を示すチェックリストを完成させる。多くの市や州で使われるものと同じ提出されたチェックリストを以下に示す(省略)