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高速道路用塩と環境

Highway Salt and Our Environment

Salt Institute

 

1.高速道路に塩を使う理由

 環境保護は多分、高い社会的な優先事項である。道路の安全性や移動性もそうである。我々の複雑な社会では、政府がスムーズな交通の流れを維持し、悲惨な自動車の衝突事故を最少にすることを社会は要求している。これは、道路保守管理機関にとって良い顧客サービスについて言うまでもなく、経済的な必要性でもある。冬期の気象状態が悪い中でも、道路や高速道路は安全に使用できなければならない。心臓発作のような医療の緊急事態や、家庭の火事や自動車衝突を含む事故は年中起こっている。緊急事態では、対応時間の2,3分がしばしば生死を分けることになる。

 冬の氷や雪に対処する最速、低コスト、最も効果的な方法は高速道路の塩散布である。当面、塩に代わる信頼性があって経済的な物はないと、早くも1970年に高速道路研究委員会は結論を出した。環境的な関心事は現場の特性で、適正な貯蔵、取扱い、使用、排水、景観によって解決されることを委員会の研究は確定した。それ以来、高速道路局はこれらの地域に注意を向け、環境に及ぼす融氷雪用塩の有害な効果をかなり減らしてきた。

 今日、数千の地方自治体、州、地方の輸送機関は冬期の移動性と安全性を確保するために融氷雪用塩に頼っている。彼等は氷や雪を取除く安全で、信頼できる、経済的な手段を持たなければならない。したがって、特別な保護法がなければ、街や道路を安全な状態に維持するために、彼等は自分達の失敗に責任を持たなければならないかもしれない。安全性と通行できる道路を提供できなかったと主張しているカナダにおける一つの請求はオンタリオ地方で450万ドルの費用であった。

 塩協会の重要な役割はカナダとアメリカ合衆国において州、地方、郡、地方自治体を援助することで、しばしばそれらの機関が雇用する契約者を最高技術水準の雪と氷の制御計画で援助することである。私道、例えば、大学のキャンパス、ショッピング・モール、工場、会社の駐車場を除雪する責任を持っている民間契約者による適正な融氷雪管理にも塩協会は援助している。

 本書は、どうしてスノーファイターが高速道路に塩を使うか、塩はどのように作用するか、環境、インフラストラクチャー、自動車に及ぼす高速道路用塩の影響、環境への悪影響を最小限にするための応用技術について説明する。

 塩協会は本冊子に引用されている調査、論文、研究のコピーまたは抄録を喜んで提供し、塩協会のウエッブサイト:http//www.saltinstitute.orgで追加の情報を提供する。

1.1.                      優しい塩散布法は人命を救う

 街路や高速道路にある雪氷は人間の生活や手足に対して大きな脅威である。雪氷による交通事故や死者の増加は道路の輸送業務を滞らせる。特に心臓発作、火傷、出産、中毒の場合、緊急対応時間の遅れは緊急治療を必要とする人々にとって危険率の増加となる。

 1990年代初頭に、降雪帯の4州でマルケット大学高速道路交通技術センターによる研究は、塩を基本とした冬期保守管理の安全性への影響を調べた。研究は85%の総合的な事故減少と88.3%という傷害事故の大きな低下を記録した。

1.2.吹雪は経済活動を混乱させる

冬期保守管理と交通安全性を関係させて、研究は氷雪を除いた道路の極めて重要な経済的役割を記録している。氷雪はまた燃費高騰の原因となる。自動車は牽引力を失い、所要の距離を走るために車輪を空回りさせるからである。通常ガロン当り25マイル走る車は滑りやすい道路ではわずか15マイルしか走らない。吹雪や着氷性暴風雨は重要な社会的・経済的結果に影響を及ぼすので、道路を通行できるように設計された冬期計画によって軽減しなければならない。一日中吹雪で道路上の除雪や塩散布が出来ないと、徒費された給料は年間の総除雪費のほぼ3倍にもなる。

 12州だけでも、通行不良で地域を麻痺させれば、連邦、州、地方の税収で1日当たり52,640万ドルが失われることをこの研究は明らかにした。道路交通を安全に維持するには、全冬期シーズンの雪氷制御のために、これら12州で使われる費用は51,870万ドル以上になる。研究によると、失われた税金はこれらの州に対して最大の経済的な打撃とはならない。さらに、吹雪の影響をなくせれば、労せずして1日当たり14億ドルの報酬を得て、小売販売で1日当たり6億ドルを稼げる。シカゴ地区で、吹雪の度にこれらの損失がどれくらい素早く増加していくかを示すと、通常の冬では冬期の保守管理を必要とする吹雪は平均20 – 30回あり、ニューヨーク州では州全体で平均40回ある。

 これらの驚くほどの回数でも控えめである。スタンダード・アンド・プアーズDRI研究がカバーしてない要因は自動車事故死亡数、傷害と資産損壊、生命保険費用の増加であった。不十分な冬期保守管理によるこれらの非常に実質的な費用は本研究の領域外であった。

 新しい解析は経済的混乱について別に行われた前の研究を確認している。1996年に、スタンダード・アンド・プアーズDRIは、1996年の東部諸州における4日間の暴風雪で人々は店に行けなかったり、働きに行けなかったために、損害は生産停止で100億ドル、閉店による販売停止で70億ドルにもなったと、計算した。同じ暴風雪による損失についてファースト・ユニオン社の推定では、ヴァージニア州からマサチューセッツ州までの北東地帯で、工場、事務所、店、その他の企業によって生ずる商品やサービスの損失でみて1日当たり約48億ドルとなった。

 雪氷は防げないが、それによって生ずる経済的災難の多くを防げる。冬の嵐は予測できないユニークなものであるが、専門的な除氷雪に費用を掛ければ、地方経済を無効にする雪や氷の嵐から守られ、学校から家に帰る子供を守られ、人命救助の救急車を妨げることから守られる。冬期保守管理を良くすれば交通を確保し、人命を救える。それが高速道路税の最も有効な唯一の投資であり、費やされた1ドル当りについて少なくとも60ドルの利益が返ってくる。

1.3.塩が一番作用する理由

 ほとんどの着氷性悪天候と吹雪は20℉から32℉の間で生ずる。しばしば嵐で破壊された後で、高気圧が移動してきて、温度が急に下がり、しばしば氷点以下になる。したがって、嵐が始まった頃、早くに塩を散布することが重要で、その時には塩が融雪剤として最も有効で、氷や固まった雪が舗装道路と結び付くことを妨げる。

 塩の融雪作用は氷と舗装道路との接触面でかん水を生じさせる。かん水は水が凍って氷となり、舗装道路と結び付くことを妨げ、氷と舗装道路との間の結合を破壊する。一度、舗装道路と結合すると、道路表面を傷つけないで掻き落したり、あるいは鋤起機によって氷を取除くことは出来ない。塩は水の氷点を下げるために使われる。氷と舗装道路との間の結合を妨げるための防氷処理として嵐の前に塩が使われなければ、掻き取りと組合せて融雪剤として通常塩が使われる。塩は雪や氷を貫いて舗装道路の上に達するからである。掻き取りするまでもなく積雪量が少ないときには、しばしば塩だけを使う。しばしば塩は液体の塩かん水または他の融雪剤と一緒に予め湿らせて使われる。両方とも道路表面で塩が跳ね返らないようにし、塩の融雪効果を促進させるためである。自動車タイヤの作用は塩と併用すると固い雪や氷を砕き、砕かれた物を次第に道路脇に移動させる。

 融氷雪用塩は12(-11)以上で最も効果的であるが、温度が共晶温度-6 (-21)に近付くにつれて速度は遅くなるが、氷雪を解かし続ける。本当に温度が下がると、より急速に効果的に解かすために、もっと低い温度で氷をよく解かす塩化カルシウムや塩化マグネシウムを融氷雪用塩に加える。どうして何時も塩化カルシウムや塩化マグネシウムを使わないのか?それらは塩化ナトリウムよりもずっと高いからである。
道路表面における塩/かん水の作用

1.4.他の材料には使用に限界がある

摩擦剤

 塩の認められている環境への影響を避けるために砂や他の摩擦剤が試しに使われてきた。しかし、摩擦剤は限られた牽引力しか与えられない不活性な物質である。摩擦剤は溶融剤ではない。しばしば大量に使わなければならないし、材料費と人件費の面で塩よりもずっと高い。塩は凍結を防ぐためにしばしば摩擦剤に加えられる。例えば、数年の経験後にウィスコンシン州のミルウォーキー市は次のように結論を下した:

  …塩の代わりに砂のような摩擦剤の使用は田舎の地区や比較的小さな社会では有

  効であるが、都会地区の激しい交通量では瞬く間に叩き壊されてしまい、未処理

の雪を硬く固まらせて、ほとんど取除けなくする。トラック1台分の塩で同じ車

線マイル数を処理するために摩擦剤では4から7台分必要とし、摩擦剤は頻繁に

散布しなければならない。砂は集水溝や排水溝に蓄積し、費用の掛かる清掃を必

要とする。

 自然に解けた後では、摩擦剤は嵐の後の障害物となる。乾燥した表面では摩擦剤は、それを道路整備員が除くまでは回転滑りや横滑りの障害となる。大気中の粒子による風防ガラスの損傷は塩の代わりに砂や摩擦剤を使っている地域では365%高い。コロラド州デンバーでは、年間の請求は2,710万ドルになり、全州になると5,960万ドルに達した。摩擦剤の堆積は健康に良くない埃、道路脇の埋もれた植物、沈降泥で埋まった水路、雨水管の詰り、費用の掛かる春の清掃費のような問題を生ずる。これは環境保護グループに次のような結論に至らせた:

  “摩擦剤に関係する主要な不都合は効果を保持し続けられないことである。交通

  量の激しい地域に使用すると、砂は道路から弾き飛ばされる傾向がある。したがっ

て、塩よりも頻繁に再散布しなければならない。湖、川床、道路脇の排水溝に砂

が弾き飛ばされて出来た堆積は、ときどきの浚渫を必要とする環境問題を引起す…”

 マルケット大学研究グループによる別の研究は安全性の利益を明らかにした:冬期の高速道路保守管理のために塩/摩擦剤混合物を使うよりも塩を使ったとき、コスト比は15倍大きい。安全な運転状態に復帰させるために塩を使うことは塩/摩擦剤混合物を使うよりも少なくとも10倍早くそのような状態にする。2車線道路では、露出した道路に散布後、塩は最初の25分で効果を表すが、一方、塩/摩擦剤混合物を使うことは調査期間後12時間で効果をなくした;フリーウェイについては、塩/摩擦剤混合物の6時間と比較して塩についてはわずか35分しか回収に要しなかった。

他の塩化物融氷雪剤

 通常の塩(塩化ナトリウム)に対する最も一般的な"代替物"は他の塩化物塩類である。塩化カルシウムと塩化マグネシウムは低い温度でより素早く雪や氷を解かすために使われる。それらはしばしば塩と組合せてより有効な融氷雪混合物を作る。それらは費用が高く、環境に対して塩化物イオンの一因ともなるが、次表に見られるような幾つかの嵐の条件ではそれらは作業上の利点を持っている。

 表1が示すように、いくつかの有機化合物も雪や氷を解かすために使われてきた。有機物はよりゆっくりと、比較的高い作用温度範囲で氷を解かす。それらは塩化物イオンを使うことを避けるために選ばれるが、多くの"代替物"は塩化物と混ぜるように設計して、それらの融氷雪効果を強化する。有機物は(別の)環境ストレスも与え、塩よりもかなり高い費用となる。

表1 融氷雪剤
化合物 共晶温度(℉) 共晶点濃度(%) 費用比較
塩化カルシウム -67 29.8 7X
ギ酸カルシウムナトリウム 11 32.6 17X
酢酸カルシウムマグネシウム 5/-22 44/31 35X
エチレングリコール -60 60 28X
塩化マグネシウム -28 21.6 7X
メタノール -144 100 10X
塩化カリウム 13 19.5 4X以上
プロピレングリコール -71 60 28X
塩化ナトリウム -6 23.3 1
尿素 11 32.5 7X

 肥料である尿素は表面水に栄養素を加え、富栄養化を促進させ利用できる酸素も減る。酢酸カルシウムマグネシウム(CMA)は利用できる酸素も減らせる。液体CMAと2,3の他の液体融氷雪剤を含む最近の研究は高い生化学的酸素消耗を示し、これらの代替物は魚に対して塩かん水よりもずっと有害であることを意味している。塩に対して環境的にやさしい代替物について研究が続けられているけれども、これらの提案された代替物とよく理解されている高速道路用塩の影響と比較するためには注意深い研究が要求される。

1.5.塩は環境にやさしい融氷雪剤である

 塩に対する代替物がテストされてきたが、完全に満足できる物はないことが分かってきた。冬期の交通と安全性についての要求を満足させる最高の方法は、現場の特殊な環境状況と関連させて塩使用を決定することである。塩協会は高速道路関係者について訓練を奨励し、最新の研究と情報を広めることによって1972年以来、環境にやさしい塩使用を達成させるために仕事を続けてきた。

 

2.道路、橋梁、自動車の腐食

 全ての環境的な影響の中で一番費用の掛かることは、人間が作った構造物や自動車の塩化物で促進される腐食と関係している。比較的してみると、水、草木、野生生物への影響は比較的小さい。

2.1.道路

 道路や高速道路は融氷雪用塩の使用に耐えられるように建設される。防食強化鉄筋を使った高品質の発泡コンクリートは高速道路構造物について設計寿命を長期にできる。道路表面も塩化物イオンの滲入を阻止するために処理される。

 一般的に信じられていることに反して、初春に運転者を苦しめるくぼみは、融氷雪用塩が原因ではない。くぼみはコンクリートまたはアスファルト舗装道路の表面下の道路基盤に入る水が原因である。これらの弱い箇所は冬/春の凍結‐融解サイクル中に交通量を支えきれなくて、構造的な欠陥をもたらす。

 不十分な排水は水を基盤または路床に水を浸透させることになり、舗装道路の支持構造を弱める。重いトラックや車のタイヤによる繰返しの打ち付けで局部的に液化が起こり、 水で微粒子(細かい物質)が分散され、その結果、次第に崩壊し空間が残る。これらの空間で水が凍ると膨張し、舗装道路を上に押し上げ、ひび割れを起こし、ますます水が入るようになる。氷が解けるにつれて、弱くなった舗装道路の上を通り過ぎる自動車でたわみ、終には崩壊する。出来たくぼみの作用によって壊れた舗装道路の破片が弱いところを押し出す。
道路表面に窪みが形成される工程
2.2.橋梁

 橋床中の強化鉄筋の腐食は重大な心配事であった。新しい技術と設計はこの問題を最小限にしてきている。それでも塩化物は湿気と酸素が裸の鉄筋と接触することによって生ずる鋼の腐食を促進させる。ほとんどの橋梁の露出した支持鉄筋は被覆装置で保護されており、上手に維持すれば、重大な腐食から露出した鉄筋を保護できる。最も重大な心配事は海岸に近い、特に湾岸のような湿度の高い地域の橋梁についてである。

 比較的大きな問題は表面以下にあり、コンクリート橋床中の鉄筋腐食である。床の舗装道路表面のひび割れや他の開口部は水分、酸素、塩化物イオンを鉄筋に届かせる。今日ではほとんどの新しい橋は水分、酸素、塩化物イオンを鉄筋から遠ざけられるように腐食防止鉄筋で作られている。今日の橋床設計は鉄筋の上を十分 (2インチ以上) に覆った高い品質の空気を含有している高密度コンクリートを要求している。空気含有が意味していることは、多くの微細な気泡を故意にコンクリート内に閉じ込め、凍結・融解サイクル中にひび割れしないようにコンクリートを膨張・収縮させている。

 古い橋の腐食損傷は陰極保護装置で止められる。塩水のような電解質が鉄筋と接触すると、電流が流れて腐食が起こる。陰極保護装置は橋床を通して弱い逆電流を流し、電子の流れに逆らわせる。腐食がしばしば起こっていても、陰極保護はそれを止める。陰極保護装置は塩化物の滲入を防止するために新しい橋の建設で使われる。塩化物の影響を受けた橋から塩化物を除くための処理法も発明されてきた。

 腐食から守るために、適正な橋のメンテナンスや使い方が必要である。上下の両方を氷点温度に曝される橋の表面は隣接した舗装道路よりも早く凍結する。比較的新しい橋は、センサーが氷点温度の水分を検出すると、橋床上に融氷雪液を散布するために自動装置をしばしば組み込んでいる。これは、橋の排水装置が詰まらないで機能しているかどうかを確かめるためにチェックし、融氷雪作業が完了し、かん水が橋床上に残っていないことを確認するためにも重要である。

2.3.車両

 過去10年前までは、車両腐食は高速道路に塩を使うことについて最も大きな費用的影響であった。車両製造者は、改善された車両設計やプラスチック、亜鉛メッキ鋼、改良塗料、防錆コーティングのような新しい否腐食材料を使って車やトラックの腐食抵抗技術を開発してきた。これらは全て自動車の寿命を大きく増加させるのに役立ってきた。“割れ目の表面を防錆剤、粘着剤をしみ込ませて覆う注意深い施工と共に良い組立と材料の組合せで、いくつかのモデルはほぼ完全に腐食を避けられる。”30年前のオイルショックで刺激され、プラスチックは車を軽くし、エネルギー効率を良くすることを自動車製造者は知ったので、プラスチックを自動車の部品、例えば、バンパー、フェンダー、扉、後部窓、ヘッドライトやサイド・ミラー・ケース、トランクの蓋、フード、グリルや車輪カバーに使い始めた。プラスチックは1988年までに製造された乗用車の重量を145ポンド軽くし、毎年、数百万ガロンのガソリンとそれらの車の平均寿命では油2,100万バレルのエネルギー相当量を節約した。1993年モデルまでに、250ポンド以上のプラスチックが平均的な車に使われた。通常の車はシャーシー/動力伝達経路/エンジンと車体/乗客室の2部分からなるモジュラー設計になると未来予測者は予言している。プラスチック製の通常の車は21世紀の中頃までに20年間の耐用年数で作られるようになる。現在5年間または100,000マイル、無制限のマイル数、いくつかの場合には12年間を保証している防食保証期間は毎年長くなっている。表2参照。

表2 アメリカ合衆国で販売されている2000年モデル自動車に関する貫通腐食保証期間
車 種 保証期間 車  種 保証期間
マイル マイル
アキュラ 5 無制限 リンカーン 5 無制限
アウディ 12 無制限 マツダ 5 無制限
BMW 6 無制限 メルセデスベンツ 4 50,000
ビューイック 6 100,000 マーキュリー 6 無制限
キャでラック 6 100,000 三菱 7 100,000
シボレー 6 100,000 ニッサン 5 無制限
ディウー 5 無制限 オーズモビール 6 100,000
ダッジ 5 100,000 プリムス 5 100,000
フォード 5 無制限 ポンティアック 6 100,000
GMC 6 100,000 ポルシェ 10 無制限
ホンダ 5 無制限 サーブ 6 無制限
ヒュンダイ 5 無制限 サターン 6 100,000
インフィニティ 7 無制限 スバル 5 無制限
イスズ 6 100,000 スズキ 3 100,000
ジャガー 6 100,000 トヨタ 5 無制限
カイア 5 100,000 フルクスワーゲン 6 無制限
ランドローバー 6 100,000 ボルボ 8 無制限
レキサス 6 無制限

この組立ライン保護のない古いモデルの車も腐食に対する抵抗性を増加している。冬期に車を毎週1回洗うことも錆の問題を防ぐ方向に進んでいる。

車両製造者による絶えざる改良により、車両腐食は非常に少なくなった。6年間使用(1990)の車が錆で孔が開くことは1%以下である。防食の平均費用は500ドルから150ドル(2000)に減ってきた。自動車腐食によるGDP(国内総生産)のパーセントは1975年の0.37パーセントから1998年の0.27パーセントに減ってきた。図3参照。

 1970年から1994年までの自動車腐食に対する使用年数

3.道路脇の草木

 冬期保守管理に使われる全ての物質は自然環境に有害である可能性を持っている。最も目で見える影響は道路脇の草木や潅木である。

3.1.問題

 道路脇は植物にとってストレスの多い環境である。道路脇は、道路が建設された時にできる人工的な環境である。しばしば土壌は突き固められる。風や車(と車から出る有害汚染物)に曝されて道路脇は乾燥し、植物にとって厳しい環境になる。塩はそのようなストレスを与える。高濃度の塩化物は土壌から植物の水分吸収を妨げ、葉の褐変や黒変を起こさせる。高濃度のナトリウムは土壌構造、浸透性、通気を変えることによって植物の成長に影響を与える。塩が加えるかもしれない植物への付加的な害は6つの特性値、すなわち、塩の量、土壌の種類、総降雨量、道路からの距離、風の方向、植物の種類に依存する。

 環境への塩の影響を調べることは濃度、被爆期間、曝される植物の種類を理解する必要がある。色々な土壌は色々なナトリウム濃度に耐える。色々な植物の種類は色々な塩化物濃度に耐える。色々な気象は冬期の被爆頻度と期間に影響を及ぼす。被爆は、冬と春の高い塩化物負荷から夏や秋の低い被爆まで季節によって変わる。ナトリウムや塩化物の高い土壌中濃度は降雨や流水によってイオンの浸出のために成長シーズンで減少する。夏や秋の土壌測定は、春の高い土壌中濃度が下っていることを示す。ストレス下にあるいくつかの植物は塩に曝されない同じ種類の植物よりも塩を加えられた時に、より疾患に耐えられることを最近の研究は示してきた。再び、これらの変数は1つの場所と他の場所では異なる。

 降雨量の違いが流水中の塩分濃度に影響を及ぼす。連邦高速道路局は高速道路の流去水を調べ次のように結論を下した:高速道路の流去水はビルディング、農場、港、あるいは他の特定されない水源からの流去水よりも一般的にきれいである…高速道路の流去水はほとんど重大な問題にはならないことを認識することは重要である。

 50年間以上も塩散布した後で、道路脇の土壌におけるナトリウム蓄積は植物の成長に間接的に影響を与えるかもしれないことは理論的にあり得る。解決法は石膏または無水アンモニアを加えることによって土壌から過剰の塩分を化学的に除く。

 現在、石膏処理は最も効果的で、最も安い土壌改良法であるように思われる。

 道路脇の植物や土壌に及ぼす融氷雪用塩の10年間の影響についていくつかの一般的な観察は以下の研究報告で示された:

   ナトリウム・イオンの一般的な蓄積傾向はあるが、障害を考えるほどのナトリ

ウム濃度よりはるかに低い。

 塩化物イオンは土壌からかなり早く浸出され、したがって、蓄積効果はない。

   総合的な影響は道路からの距離が遠くなるにつれてなくなり、80フィート以上

では微々たるものになる。

 塩化カリウムと尿素は一般的な肥料で、しばしば道路や歩道の融氷雪に使われる。それらは周辺の植物に使っても安全な物質として一般的に考えられているが、適用量は植物の傷害によって決められ、融氷雪には肥料として勧められている適用量よりもはるかに多くの量が通常必要である。

 別のアメリカ合衆国地質調査や5,000個の水試料を集めた10年間の研究途中である進行中のオハイオ州輸送調査はDayton Ohio Newsに報告され、"道路用塩や他の融氷雪用化合物は、環境への長期間の影響があるとしても、わずかであることを知った。"”いくつかの場所は地下水に塩が入ることを示したが、濃度は高くなかったとオハイオ州輸送局のために研究を行ったアメリカ合衆国地質調査局は述べている。

3.2.道路脇環境を塩で補強

 優しい塩散布は道路脇環境に対する塩負荷を軽減できるが、鍵となる貢献は道路脇環境を塩耐性にする良い技術である。ちょうど自動車製造者が車を塩耐性にするように、高速道路局は道路脇環境を塩耐性にできる。道路用地は自然な環境ではない。道路を建設するために設計されている。良い高速道路の設計法は排水を容易にするように水路を作っており、環境への悪影響を防いでいる。幹線道路や高速道路に隣接している木々は一般的に安全な障害地域として取除かれている。草、潅木、木(安全に配置されている)への置換えが選択される。環境問題を認識している高速道路計画者は発生してくる道路環境の厳しい稼動条件に耐えられる種類を選ぶ。もちろん、道路の悪影響はすべて道路からの距離が遠くなると消え、高い所や風上でも同様に影響を受けなくなる。

 高い耐塩性を示すいろいろな種類の植物、木、潅木があり(3参照)、耐塩性が非常に低い種類もある。樫、ニセアカシア、スコット・エルム、オリアン・オリーブ、サンザシ、シルバー・ポプラ、グレイ・ポプラは全て高い耐塩性を持っている。他方、トウカエデやアメリカハナノキ、セイヨウハコヤナギ、クログルミ、バラやシモツケの低木は塩の流入や融氷雪作業による散布に曝される場所については選択されない。アメリカ合衆国農務省研究部は13種の異なったパイン種の塩感受性に関する幅広いテストを行ってきた。塩溶液を散布された種苗に蒸留水を散布したコントロール・グループと比較した。13種の中で3種が極端に塩分濃度高い条件でも良く育った。その条件は最悪の道路脇条件よりも塩が多かった。Pinus thunbergiiP. nigra89%の生存率を示し、P. pnderosa95%の生存率であった。示された生存率はコントロールに対する%で、したがって、100%は実験条件下で正常であることを示す。 

表3 樹木や観賞植物の相対的な耐塩性
低い耐塩性 中程度の耐塩性 強い耐塩性
ハシバミ カバノキ クワの木
ツゲ ポプラ ホンアンズ
Sugar maple ハコヤナギ White oak
Red maple Hard maple Red oak
セイヨウハコヤナギ ブナ サンザシ
ハンノキ White spruce Tamarix
Sycamore maple Balsam fir Squaw bush
カラマツ Douglas fir Russian olive
モチノキ Blue spruce Scoth elm
Italian poplar Texas Privet White poplar
ヨーロッパブナノキ Xylosma Osier willow
バラ ピラカンサ Black locust
パイナップル ヨーロッパクロフサスグリ Gray popula
ガマズミ マンシュウズミ Silver popula
Arctic blue willow Boxelder maple English oak
シモツケ 日本スイカズラ White acacia
Multiflora rose エンピツビャクシン Bottlebush
Winged euonymus グリーントネリコ セイヨウキョウチクト
Barrberry ポンデローサマツ Common matrimony pine
Little leaf linden ゴールデンウィロー
クログルミ Lantona
スプレデンングビョクシン
Arbor vitae
Silver buffalo berry


表4 芝生とマメ科植物の耐塩性
弱い 中程度の耐塩性 耐塩性
White Dutch clover White sweetclover Alkali sacoton
Meadow foxtail Yellow sweetclover Salt grass
Alsike clover ホソムギ Nuttall alkali grass
Red clover Mountain brome Beruda grass
Ladino clover ハーディンググラス Tall wheatgrass
ワレモコウ Beadless wild rye Rhodas grass
Strawberry clover Rescue grass
ダリスグラス Canada wildrye
スーダングラス Western wheatgrass
Hubram cover Tall fescue
アルファルファ Birdsfoot trefoil
オーチャ-ドグラス
グラーマグラス
ヒロハノウシノゲグサ
クサヨシ
Big trefoil
Smooth brome
Tall meadow oatgrass
レンゲ
Sourclover

4.野生動物と魚

 塩は植物だけでなく動物にも同様に影響を及ぼす。塩は必須栄養素であり、生命は塩に依存している。多くの魚の種は塩水中、すなわち海洋で生存できる能力を持っている。海洋の塩濃度は3%以上になる。水を与えさえすれば、動物はむやみに生来の塩欲求を満足させるものではない。塩舐め場は、家畜や野生動物が自由に塩化ナトリウムを摂取できるように広く使われている。

4.1.塩散布道路と動物‐車の衝突

 高速道路の道路脇に沿って塩があることに関連して自動車と野生動物の衝突についての科学的な情報はほとんどない。動物の塩に対する欲求が冬期に塩散布された道路に野生動物を引き付け、自動車の衝突を増加させていると、主張されてきた。野生動物の動機を判断することは難しい。我々は野生動物の行動を観察しなければならない。ウィスコンシン州運輸局によると、自動車と鹿が衝突した最高の発生率(38)10月‐11月で起こり、二番目に高い(16)期間は5月または6月であった。明らかにこれらは高速道路用塩が道路に使われる月ではない。カナダ国立公園で自動車事故による野生動物の死亡数調査では、大部分の死亡は春または秋に起こり、塩が道路に散布される時ではない。

 ミシガン州天然資源部の研究が示したところでは、ほとんどの野生動物‐自動車衝突はインターステイト高速道路よりも舗装された地方の道路で起きていた。鹿に関連した事故の高い頻度は、ライ麦、アルファルファ、クローバーのような鹿が好む食べ物を植えた道路脇である、と報告された。草刈はこの道路脇植物の多くを、鹿を引き付ける緑や青々とした状態に維持する。ミシガン州におけるすべての鹿と自動車の衝突の半分は鹿の繁殖期である秋に起こっていると著者らは言っている。第二のピークは春で、その時には鹿は冬の集中した地域から夏の広い地域に移動する。1998年のウィスコンシン州安全委員会の報告はウィスコンシン州輸送局による最近の研究に言及して、鹿の繁殖期中の鹿と自動車の衝突ピークを述べているが、その時期は州の鹿狩猟時期でもある。

4.2.魚の塩耐性

 健常な魚は塩も必要とする。水産養殖者は魚の病気を治療するために塩を使い、淡水魚を輸送する時には水に塩を加える。しかし、良いことでもやりすぎることがある。淡水魚は通常高い塩分濃度によく耐えられる。再び、濃度と期間の組合せで曝される。塩化物が流去水として流れに入ると、水は流れを通して一定して流れているので、塩化物のパルスを生じ、それは比較的短期間で流れから消える(すなわち、流れの幅、勾配、長さに応じて日から週の単位で)。色々な魚の種は被爆時間、塩濃度、温度、試験水の特性に従って色々な塩類に耐える範囲を示す。チャネルなまず(Ictalurus punctatus)、ブルーギル・サンフィッシュ(Lepomis macrochirus)、スモールマウス・バス(Micropterus dolomieu)、ニジマス(Oncorhynchus mykiss)、イエロー・パーチ(Perca flavenscens)、ファットヘッド・ミノウス(Pimephales promelas)、ブラウントラウト(Salmo Trutta)、レイクトラウト(Salvelinus namaycush)、ウォールアイ(Stizostedon vitrem)10,000 mg/L NaCl濃度で24時間のテスト条件(水温12℃、水の硬度140 mg/L CaCO3)で十分生存できる。全ての種は、3%の死亡率を示したスモールマウス・バスを除き、死亡率0%を示した。

 

5.ヒトの健康

ヒトは生きるために塩を必要とする。ナトリウムと塩化物は両方とも必須栄養素である。ほとんどの人々は最低必要量を容易に摂取できる。塩摂取量の生理学的な影響は医学でほとんど研究されている。

5.1.塩仮説

 明白に塩は血圧に関係している。ナトリウムは正しい値に血圧を維持するために血管を締めたり弛めたりする時の信号として役立っている。1960年代と1970年代に遡ると、原始的な人々への研究は塩摂取量と集団の血圧との間の直接的な関係、いわゆる塩仮説を強く主張した。高い血圧である高血圧は心臓発作のような血管疾患のよく知られた危険因子であったので、公衆保健当局は塩摂取量を中程度に促すように素早く反応した。ごく最近の研究は塩摂取量に基づく心臓発作の危険性に増加がないことを証明してきた。事実、さらなる研究は高食塩摂取量で高血圧のない他の原始的な人々を発見してきた。研究者達が現在理解していることは、血圧だけが重要ではなく、薬剤や食事の介入がどれくらい血圧を下げるかも重要で、投薬を受けていたり、食事を変えている個人に及ぼす最終的な健康への影響を考えることが重要である、ということである。塩摂取量の健康への結果を研究した多くの研究が蓄積されてきた中で、減塩に関係した一般的な集団において健康に利益のあることは確認されてこなかった。

5.2.飲料水とナトリウム

 飲料水でヒトが消費するナトリウムと塩化物の量はいずれの元素でもほとんど重要な給源ではないので、いずれも健康の標準にはならない。医学的に管理された低塩食治療に関して医者に掛かるとすれば、20 mg/L以上のナトリウム濃度は消費者に有益な情報を提供するためにモニターされている。20 mg/Lでは、食品医薬品局の規制は“ナトリウムなし”の飲料水としている。アメリカ合衆国の環境保護局は飲料水のナトリウムとの関係に重点を置かないために設計されているいくつかの規制作りを行ってきて、州民への告示は廃止されてきた。

5.3.飲料水と塩化物

 250 mg/L以上の塩化物濃度の水を飲めない味として検出できる人々がいる。飲料水の塩化物濃度がヒトの嗜好性についての心配の引き金を引く濃度250 mg/Lに達することは希であったけれども、長期間の傾向は環境への塩化物放出に着実な改善を示している。五大湖の水質の傾向は塩化物の低下傾向を示している。最近の文献を調べると、塩化物放出の低下における進展は五大湖への環境影響を非常に減らしたので、"五大湖州"報告に塩化物放出はもはや述べられなかったことを示している。

5.4.六シアン化鉄塩

 湿度条件と降雨は塩の結晶を固結させ、お互いにくっつかせる原因となる。塩生産者は流動性を持たせるために、高速道路用塩と食卓塩にいくつかの固結防止剤を加える。中でも最も一般的な物は六シアン化鉄ナトリウム塩()である。食品医薬品局はそれを食品添加物に認定している。2つの最も有名な六シアン化鉄塩の一般名である六シアン化鉄ナトリウム塩()と六シアン化鉄塩()は黄血塩ナトリウムまたはYPSとプルシアンブルーである。他の一般名はフェロシアン化ナトリウムとフェリシアン化ナトリウムである。これらの食品添加物の安全性について人々は心配し混乱をもたらしてきた。遊離のシアン化物やシアン化水素は非常に毒性が高いからである。六シアン化鉄塩(またはフェロシアン化物)は有毒ではない;それらは化学的に安定な金属化合物で完全に無毒である。問題を明らかにするために、ラットに飲料水で20,000 mg/L赤血塩溶液を12週間にわたって全摂取量が3,200 mg/kg(体重)/日になるまで与えた試験で、ラットは毒性の兆候を示さなかった。高速道路用塩では、濃度は20 – 150 mg/Lの範囲である。それらの恐ろしい名前にもかかわらず、これらの安定した化合物である金属シアン化物(YPS, Na4Fe(CN)610H2O)プルシアンブルーFe4[Fe(CN)6]3を非常に毒性の高い遊離シアン化物(CN、シアン化水素、HCNまたは単一金属シアン化物、例えば、シアン化ナトリウム、NaCNまたはシアン化カルシウム、(Ca(CN)2)と混同すべきではない。

 

6.優しい塩散布-環境保護

 環境への影響は被爆と直接関係しているので、環境問題の危険性を減らす一つの明らかな手段は道路に散布する塩の量を減らすことである。処理の最終目標である望ましい安全性と交通を提供するには十分な塩が必要である。過剰の散布はコストが増えるが、さらなる利益はない。1972年以来、塩協会は優しい塩散布セミナーで100,000人以上のアメリカ人とカナダ人スノーファイターを訓練してきた。塩協会は専門的なスノーファイターについての訓練材料を提供するために、国の地方技術支援計画(NLTAPA)と公式に協力している。優しい塩散布は必要かつ十分という別の言い方である。専門的なスノーファイターはこの原理を理解しており、塩散布量を最低にしながら顧客へのサービスを最高にする。

6.1.まさしく必要かつ十分

 塩協会の優しい塩散布プログラムは地域社会との関係で優れたものと認識されており、アメリカ広報活動協会のシルバー・アンビル・アワードを受けた。プログラムの2つの基本的な手順書、塩貯蔵ハンドブックとスノーファイターズ・ハンドブックは協会から入手できる。それらは自由にダウンロードできるように協会のウエッブサイトにも掲載されている。このウエッブサイトは他の無料資料も持っており、冬期の機器操作者の支度を調えさせ、優しい塩散布の哲学を徐々に浸透させることで訓練者が使えるように設計されている。

6.2.適正な貯蔵

 高速道路用塩に関係したほとんどの環境問題は末端使用者による塩の不適正な散塩貯蔵から生じる。当局は予測した必要量に合わせて十分な高速道路用塩に容易に到達できることを必要としているので、散塩貯蔵は必要である。冬期に嵐の最中に十分な再供給を確保することは難しいので、塩堆で貯蔵することが合理的である。

 半世紀前、降雨から保護しないで、高速道路用塩を屋外に貯蔵することが一般的に行われていた。このような行為は溶けた塩が流れて周囲の土壌、表層水、地下水に入り、問題となった。雨よけのない塩堆は雪や雨で溶けて年間4 – 5%も損失となった。

 これは受け入れ難く、容易に修正される。塩貯蔵ハンドブックは塩貯蔵施設を計画する際の最高の参考書である。適正な貯蔵の基本は、雪や雨が塩にかからないように、建屋の内外にかかわらず全ての塩を覆うことである。それが出来なければ、防水カバーで塩堆を覆い、錘を置くか、紐で縛って固定する。地面に直接塩を置かないで、不浸透性のシートの上に置く。アスファルトはシートとして最も広く使われている。塩がそれに影響を及ぼさないからである。しかし、コンクリートがしばしば使われる。コンクリートは高品質でなければならず、気泡が含まれており、専用の防水剤で処理されており、塩化物の浸透を減らし、塩が入らないようにし、剥がれたり壊れたりしないように亜麻仁油またはアスファルトでコーティングする。悪い影響を与えることなく使っているコンクリート貯蔵施設が数百ある。最後に、貯蔵シートは排水できるように傾斜を持たせ、周囲の地面から水が入ってこないようにする。

 塩協会は北アメリカで一番良い貯蔵施設を毎年選んで、優れた塩貯蔵賞を与えて、達成を称えている。

6.3.散布ガイドライン

 スノーファイター・ハンドブックと協会のオンラインで見られるスノーファイティング資料は専門のスノーファイターに必要かつ十分な量がどれくらいかを教えている。スノーファイターが政策立案者からの明らかなサービスレベルの期待値を受け取れるように、手順書は要求している。スノーファイターはしばしば特別な天気予報を用い、またはリアルタイムに舗装道路温度や降雪量を知らせる現地の道路気象情報を使う。それから、塩散布戦略が基本的な5種類の嵐のどれに当るかを検討してから(一説には、塩散布量に影響を及ぼす条件変化は66,000以上と言われている)、彼等は前もって計画する。雪が降る前に、専門家のスノーファイターは1台の散布車で道路にどれくらい塩を散布できるかを正確に計算する。彼等はまた、氷と道路との結合を防ぐために液体のかん水として塩を散布するか、溶解速度を上げるために塩を予め湿らせるか、着氷性の雨のような条件で乾燥塩を散布するかを決定する。しばしば、低温の場合には、かん水混合物に塩化カルシウムか塩化マグネシウムを加えるか、極端な場合、代替物として使う。

 タイミングは非常に重要である。スノーファイターは、氷が道路と結合することを防ぐために嵐の前か初期に塩散布するか(抗融氷雪と呼ばれる)、嵐の後で既に形成されている結合を破壊するために散布する(融氷雪)かのいずれかである。抗融氷雪は最低の塩使用量で安全な走行条件を維持する。交通量と高速道路の設計に応じて、散布パターンを決定する。すなわち、あまり車の通らない2車線道路には畝を作るように散布、主要道路についてはセンターラインから4 – 8 フィートに散布、中程度から交通量の激しい多車線道路では全道路幅に散布する。

 風が吹いている状態でも優れたスノーファイターは道路の風上側から塩を散布する。塩かん水は流れ落ち、勾配のある曲道を横切るので、高い側に塩を散布し、重力を利用する。優先道路の散布タイミングは重要で、傾斜路には早くから時々塩散布を確実に行っておく。出入りする傾斜路が危険であれば、道路が安全でもほとんど使えない。

 適正に散布すれば、あまり塩を必要としなくて、安全の他にも環境問題を小さくする。

 

7.要約と結論

 高速道路用塩の使用は次のような交換条件を含む:運転手に対する事故や傷害の危険率軽減、気象に関連した経済活動停止という経済的な結果対道路脇植物、野生動物、水質に対する障害の危険性。幸いにも、優しい塩散布により、適正な冬期保守管理の社会的利益と経済的利益を維持しながら環境的な損失は緩和される。ミシガン州輸送局が依頼した研究によると、"道路用塩(塩化ナトリウム)の使用はコスト効果があり、現在の濃度では環境的に受け入れられる
"国立科学アカデミーの輸送研究委員会は次のことに同意した。全ての代替物を調べた結果、塩が選択した融氷雪剤として残った。上手に使うと、塩は冬期に安全な道路を提供する最高の手段である。