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天日塩田製塩法
 
 太陽の熱と風の力(相対湿度)を利用して海水やかん水(濃い塩水)を蒸発濃縮する方法である。日本のよう
に降雨量が多く、蒸発量の少ない気象条件では、海水から直接採塩できるまで濃縮できない。海水を
入浜式
塩田
揚浜式塩田流下式塩田
で濃縮してかん水を作り(採かんと言います)、そのかん水を釜で煮詰めて塩
を析出させて採塩(せんごうと言う)する二段階の工程が必要となる。

 

 メキシコ、オーストラリアのような年間を通して降雨量が少なく、蒸発量の多い乾燥地帯では、海水から直接
塩田で採塩できるまで海水を濃縮できる。東南アジアのような雨期と乾期がある地域では、乾期に製塩作業を
行う。

 降雨量の少ない乾燥地帯の塩田では年間百万トンから数百万トンにおよぶ生産量の塩を生産している。メ
キシコのゲェレロネグロ塩田では、海水を取り入れてから塩を採塩するまでに2年間もかかる。結晶池の面積
は東京都23区に匹敵するほどの規模である。


 フランス
やスペインでは地中海沿岸に大規模な塩田があるが、冬期は製塩に適しないので、年間稼働では
ない。スペインのトレヴィエハ塩田は特殊な製塩法を採用している。ラマタ湖であらかじめ濃縮したかん水を供
給したり、50 km先から地下かん水を供給して生産性を高めている。この塩田では、にがりを排泄せず、水深
の浅いトレヴィエハ湖の底に析出した塩を船台に設置した採塩機で掻き揚げて採塩している。


 天日塩田の結晶池は高度好塩菌の繁殖のために赤色になることがある。そのような塩田で採取された塩には
当然のこととして高度好塩菌が存在するので着色していることがある。そのような塩の品質は悪い。水産物の
塩蔵加工に使われると塩蔵品の品質が悪くなる。