入浜式塩田製塩法
海水を塩田に導入して濃縮かん水を製造するだけで、直接採塩できないので、完全な天日塩田製塩法とは
言えないが、日本独特の天日塩田を利用した製塩法である。
入浜式塩田製塩法は江戸時代から昭和20年代まで続いた製塩技術である。今では博物館に模型として、
あるいは実際に少量のかん水を採取するモデル塩田として伊勢神宮や防府市の三田尻塩田記念産業公園に
残っているだけである。
入浜式塩田の構造は塩田の海側に堤防を築き、潮の干満を利用して塩田に海水を取り込み、浜溝を通して
塩田に海水を供給し、毛細管現象で表面の砂層まで海水を上昇させ、時には浜溝から海水を汲み上げて塩田
の砂にかける。蒸発し海水から析出する塩は砂層の砂に付着する。塩が付着した砂を沼井に集め、海水をかけ
て塩を溶かし出してかん水を製造しする(採かん工程)。かん水は釜で煮詰められ、析出した塩を採塩する(せん
ごう工程)。沼井で塩を洗い流された砂は再び塩田にばらまかれて、海水を濃縮し、塩を付着させる工程を繰り
返す。