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2019.03.01

 

ピンク色ヒマラヤ岩塩の健康改善は本当か?

 

 ピンク色ヒマラヤ岩塩に関して日本における評判については把握していないが、海外では販売戦略として食用、浴用、照明用に使用する場合の健康効果を大々的に謳って人気を得ているようである。その内容はインターネットで検索すると、いくつものサイトが表示され、具体的な健康効果を見ることが出来る。日本でも一頃、自然塩、天日塩と称する塩を優良誤認させる同じ様な文言で表示して販売されたことがあった。しかし、これが問題となって現在では禁止されている。海外ではピンク色ヒマラヤ岩塩についてあまりにも虚偽に満ちた誇大宣伝を科学的観点から否定する記事がいくつかあり、消費者に警告を発している。それらを紹介することが商品を選択する上で役立つと考えるので紹介する。

 

1.ウェブサイトScience-Based Medicineの記事:ピンクのヒマラヤ岩塩:改訂

 冒頭「ピンクのヒマラヤ海塩の健康利益主張にはエビデンスがほとんどないことで支持されない。事実、誇示している“84種の痕跡ミネラルや元素”には幾つか毒物と多くの放射性元素がある。」どういうことであろうか?

 25千万年前に古代海洋にできた岩塩層がヒマラヤ山脈の形成により隆起した。これは何千年もの間に氷や雪で覆われ、近年の汚染から守られ元の環境で保存された。したがって、自然で汚染されない純粋な古代の海塩と言う言葉にだまされている。“今日入手できる最高純度の塩として宣伝されているが、純粋な塩化ナトリウムは白く、ピンク色は不純物によるためで、主張が嘘であることを示している。

 この塩は振動エネルギーを貯めており、多くの特別な健康利益を持っていると主張されている。その典型的な効果は次の通りである:

  血管の健康に役立つ

  健全な肺と呼吸機能を支える

  細胞内の安定なpHバランスを促進する

  加齢の兆候を軽くする

  健全な睡眠パターンを促進する

  性的衝動を増加させる

  筋肉痙攣を予防する

  水和を増加させる

  骨を強化する

  血圧を下げる

  循環を改善する

  体内の重金属を解毒する

しかし、これらの主張にはエビデンスがなく、微量に存在する数多くのミネラルについての結果に基づく推測である。

陰イオンを放出するソルトランプで室内の空気を改善し、アレルギーや喘息を抑え、エネルギー・レベルを上げ、うつ病を治療する様々な健康利益を提供していると言われているが、ソルトランプが陰イオンを発生させる、または健康を改善するエビデンスはない。

84種の痕跡ミネラルを含んでいると宣伝されていることから健康に良いに決まっている、と仮定していることは完全に間違った方向へ導く。ほとんどの製品は身体中にほとんど検出できないほど41から60までの痕跡ミネラルや元素を挙げている。それ60素の多くは有害で放射線を出しており、人体の生理に不要であるばかりでなく有害である。水銀、ヒ素、鉛、タリウムのような多くの毒物があり、放射性元素:ラジウム、ウラニウム、ポロニウム、プルトニウム、そして多くの元素を含んでいる。それらのほとんどの量は1 ppm以下から0.001 ppm以下で存在していないことを意味するが、不安定な人工同位元素のテクネチウムとプロメシウムも記載されている。これらは人工元素であるのに、どうして純粋で、天然で、原始時代の古代ヒマラヤ海塩と考えるのか?

 ピンク色のヒマラヤ海塩が通常の食卓塩よりも健康に良いエビデンスはないし、純粋ではなく、汚染物で満ちている、と結論を下している。

 

2.ウェブサイトHealthline Newsletterの記事:ピンクのヒマラヤ塩は通常の塩より良いか?

ピンクのヒマラヤ塩はパキスタンのヒマラヤ近くにあるKhewra塩鉱山から採鉱された塩である。この鉱山から手掘りで収穫された塩は古代の水の蒸発から数百万年前に形成されたと信じられている。添加物がなく未精製の製品は加工された食卓塩よりもずっと自然と考えられている。84種ものミネラルや痕跡元素を含んでいると推定されており、特徴的なピンク色は鉄のためである。食卓塩の取り過ぎによる潜在的な危険性のために、多くの人々は代替品の健康に良いと信じられているピンクのヒマラヤ塩を使うことに切り替えている。しかし、この塩は通常の塩に見られない幾つかのミネラルを含んでいるが、非常に少量であり何の健康利益ももたらさない。

それにもかかわらず、ピンクのヒマラヤ塩が主張する効果は以下の通りである:

  呼吸器疾患を改善する

  体のpHをバランスさせる

  加齢の兆候を減らす

  睡眠の質を改善する

  血糖を制御する

  性欲を増加させる

ピンクのヒマラヤ塩の摂取が健康に関するこれらの点のどれかに利益を及ぼすことを示唆する科学的研究は全くない。食卓塩がヨードの主要摂取源であることを忘れてはいけない。ピンクのヒマラヤ塩を使えば、ヨード欠乏症を避けるために海藻、酪農製品、魚のような他の食品からヨードを摂取する必要がある。したがって、添加物を気にしなければ、通常の食卓塩を使っても大丈夫である。

 

3.ウェブサイトMedical News Todayの記事:ピンク色ヒマラヤ・ソルトの健康利益

 ピンク色ヒマラヤ・ソルトは化学的に食卓塩と同じであり、健康上の利益をもたらす科学的エビデンスはない。84種類以上の痕跡ミネラルを含んでいるとしばしば言われるが、98%が塩化ナトリウムであり、約2%がカリウム、マグネシウム、カルシウムのような微量ミネラルと様々な痕跡ミネラルであることを意味している。人々が通常に摂取する塩の量は比較的限られているので、それらが重要で意味のある健康利益を提供することはあり得ないし、減塩になることもない。自然塩に近いのでヨード欠乏症を予防するには別の手段でヨードを摂取する必要がある。

 

4.ウェブサイトLive Scienceの記事:ヒマラヤのソルトランプ:それは何か(そして本当に効果があるか)

パキスタンのヒマラヤで採鉱された赤く色付いた塩塊は、その中央をくり抜いてそこに電球や熱ランプを入れてヒマラヤのソルトランプとして室内装飾用に用いられている。ランプは大気からのアレルギー源や汚染物を表面に引き付け、陰イオンを発生するとして、脳に酸素を供給し、季節性情動障害のような気分障害の症状を軽減し、免疫系の改善さえできる、と販売者は主張している。

 これに対して、科学者達は3つの基本的な疑問に答える必要があるとして、ヒマラヤのソルト()は健康にポジティブに影響を及ぼす何らかの特別な成分を含んでいるか?陰イオンが健康に利益をもたらすか?健康に利益をもたらすとすれば、これらのランプはどれくらいの量でイオンを生ずるか?とアメリカ化学協会の元化学者マリンは言った。これら3点の全ての問題点に関して、主張を支持するエビデンスはほとんどまたは全くなく、この嘘を暴いて悪いが、私はそこに何の科学的根拠も全く見出せない、として以下のように解説している。

 ヒマラヤの海塩が通常の食卓塩と比較して他の痕跡ミネラルを高濃度で含んでいなければ、ソルトランプから発生する主要なイオンはナトリウム・イオンと塩化物イオンである。塩は実際には安定で、それを少し加熱しても実際には何も起こらない。二つのイオンを解離させるためには、約816 (塩の融点は800) に温度を上げる必要があり、15ワットの電球では上げられない。大気中の少量の水蒸気が塩の表面に付着し、塩は溶けてナトリウム・イオンと塩化物イオンに解離する。しかし、水蒸気が蒸発すれば二つのイオンは直ちに再結合し塩を形成する。溶解、蒸発工程で大気中に陰イオンを生じさせることはない。

室内の水蒸気が汚染物を引き付け、その後ランプの表面に付着 (塩が吸湿性であることから吸着すると言われる) してもほとんど意味がない。大気中の汚染物が岩塩表面上の水蒸気にたまたま付着しても、電球によって生じたわずかな熱で汚染物を処理できるエビデンスはない、とマリンは言った。

BMC精神医学誌に掲載された幾つかの研究からのデータをレビューした研究は、結局、大気中の陰イオンは不安、不機嫌、睡眠または個人的な安楽に及ぼす総合的な効果はないことを明らかにした。しかし、それらの研究は高い濃度の陰イオンからの高い影響度で抑鬱性症候群をわずかに低下させたことを述べた。低いイオン濃度でも季節性情動障害でわずかな改善を解析は示した。夏の強い太陽光が冬よりも多くの陰イオンを生成させることで、陰イオン発生器は夏のような条件を潜在的に真似ている。その夏季条件を真似る方法は光線療法である。しかし、結局、現在抑鬱症のためになることを述べている強い研究エビデンスはない、とニューヨーク市のレノックスヒル病院の精神科医であるマネビッツは言った。

 

5.ウェブサイトcare2の記事:ヒマラヤのピンクソルトは本当に良いか?

  ヒマラヤのピンクソルトについて多くの広告は84種のミネラルを含んでいると主張している。しかし、これら84種のミネラルのほとんどは非常に微量である。また、84種の全てが必ずしも有益なミネラルではない。毒物である微量のヒ素、水銀、それにウラン、プルトニウムのような放射性物質も含んでいる。

 通常の食卓塩をヒマラヤのピンクソルトで置き換えても、アメリカ人の平均塩摂取量を減らす問題は解決しない。この塩には多くの健康利益があるとしばしば宣伝で主張している。しかし、これらの主張を証明するために行われた科学的研究はない。この塩が通常の食卓塩よりも加工されていないことは真実である。採鉱された岩塩は販売される前に粉砕されるだけである。

一方、食卓塩は自然に存在するミネラルのほとんどを除く広範囲な精製工程を経ている。しかし、それは一般的にヨード添加で強化されていることを忘れてはいけない。ヒマラヤのピンクソルトに代えれば、海藻、プルーン、卵、ライマビーンのような他の給源からヨードを確実に摂取する必要がある。

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 ヒマラヤのピンクソルトを食用・観賞用に使用したときの健康に及ぼす有益性に対して、それらの事はフェイクであると警告するサイトをいくつか紹介した。そのサイトの中でも自然塩を良とするフェイクな記述があるので気を付ける必要がある。この塩は食用塩公正取引委員会から塩の公正マークを得て数多くの商品が販売されている。購入するのであれば、これまで述べてきたことを承知しておくことだ。