戻る

ピンク色ヒマラヤ海塩:改訂

Pink Himalayan Sea Salt: An Update

By Harriet Hall

Science-Based Medicine 2017.01.31

 

ピンク色ヒマラヤ海塩の健康利益主張は、エビデンスがほとんどないことで支持されない。事実、誇示している“84種の痕跡ミネラルや元素”には幾つか毒物と多くの放射性元素がある。

 

 2014年に塩に関する論文を書いた。その中で私はヒマラヤのピンク塩を非難した。多分、私はそれを十分に非難しなかった。その塩はそれでも非常に評判が良く、言語道断な嘘がその塩について語られている。擁護者達は二重盲検偽薬比較試験で健康利益があることを証明したと現在主張している。彼等は間違っている:その研究はそのようなことを証明していない!

 

どうして?ヒマラヤに海塩があるの?

 あるのです、岩塩層は25千万年前に古代海洋にでき、ヒマラヤ山脈が形成されたとき、海洋の岩塩層は隆起した。岩塩層は溶岩で覆われ何千年もの間に氷や雪で覆われた。塩は近年の汚染から守られ、開発されないで元の環境で保存された。したがって、自然、汚染されていない、純粋、古代のようなうわさの言葉でだまされている。

 

どうしてピンク色?

 色は不純物による。純粋な塩化ナトリウムは白い。皮肉にも今日入手できる最高純度の塩として宣伝されている。まさにその色は、主張が嘘であることを示している。

 

どうして健康利益が主張されるの?

 振動エネルギーを貯めており、多くの特別な健康利益を持っていると主張される。ここに典型的な主張リストを挙げる:

  血管の健康に役立つ

  健全な肺と呼吸機能を支える

  細胞内の安定なpHバランスを促進する

  加齢の兆候を軽くする

  健全な睡眠パターンを促進する

  性的衝動を増加させる

  筋肉痙攣を予防する

  水和を増加させる

  骨を強化する

  血圧を下げる

  循環を改善する

  体内の重金属を解毒する

これらの主張にはエビデンスがない。主張はピンク色ヒマラヤ塩に微量に存在する数多くのミネラルについての結果に基づく推測である。

 Mercolaは同様の健康主張をし、下記のように記して自分のブランドを販売している:

   “元素の配列は、各分子が相互に連結されている化合物を形成する。その連結で塩の中の自然に存在する

84種の痕跡元素の形態により振動成分となり、お互いに調和して健康に良いバランスを促進させる能力

を持たせる。”

 これは純粋な疑似科学のたわごとである。

 大気の品質を改善し陰イオンを放出するソルトランプに使用するためや風呂に使用するためにも勧められ、アレルギーや喘息を抑え、エネルギー・レベルを上げ、うつ病を治療するような様々な健康利益を提供している。これらのランプが陰イオンを発生させる、または健康を改善するエビデンスはない。無節操な実業家でも主張の間違いを述べてきた。

 

84種の痕跡ミネラル:だからどうした?

 ピンク色ヒマラヤ海塩は体に貴重な84種の痕跡ミネラルを含んでいると宣伝されている。だまされやすい消費者は、多いほど良く、多くの痕跡ミネラルを必要としていると仮定しているので、84種のミネラルは通常の塩よりもピンク色ヒマラヤ塩を健康に良いに決まっていると仮定している。この仮定は完全に間違った方向へ導く。

 ほとんどの製品は人中にほとんど検出できないほど41から60までの痕跡ミネラルや元素を挙げている。それら60元素の多くは有害で放射線を出しており、人体の生理に不要であるばかりでなく有害である。ウランのような放射性元素は人体で痕跡量検出されるが、それらは有用な栄養素ではなく、汚染物と考えられるべきである。

 私は溯ってスペクトル分析を見た。それはオンラインで容易に利用でき、それを読み取りで解明できる。15種のミネラルだけが生物工程で重要な役割を演ずることが知られており、他の7種は多分不可欠であるが確認されていないと考えられる。私の考えでは、ヒマラヤ・ピンク・ソルトにあるミネラルの約1/4だけが、人体が利用できる栄養素である。他の3/4は栄養素とは認められず、汚染物として分類した方が良い。それらは健康に利益があるとは言えず、有害であると知られている。リストには水銀、ヒ素、鉛、タリウムのような多くの毒物がある。それは放射性元素:ラジウム、ウラニウム、ポロニウム、プルトニウム、そして多くの元素を含んでいる。放射能は癌を発症させ、ほんのわずかな量でも潜在的に有害である。それらのほとんどの量は1 ppm以下から0.001 ppm以下で、何を意味するか。それは存在していないことを意味するが、ピンク色ヒマラヤ海塩に含まれる84種のミネラルについて自慢することは、会社が84種全てあると主張していることを意味する。

 皮肉にもリストにある二つのミネラル、テクネチウムとプロメシウムは不安定な人工同位元素として記載されている!量は記載されていない。多分、それらは測定される前に何某か崩壊するからである。これらの人工元素があるのに、どうして純粋で、天然で、原始時代の古代ヒマラヤ海塩と考えるのか?我々の実験室で完全分析を行って、環境で何処にでもある汚染物の取るに足りない量を検出して得たことは良い贈り物である。測定された量のいくつかは10億分の1以下である。

 一般的に承認されている栄養素でさえも、海塩中の量は、欠乏症が出ても、栄養的な欠乏を満たすには充分でない;そして欠乏していなくても、(例えば、)身体が使う全てのマグネシウム原子を食事中の痕跡量から既に得ているとしても、海塩からわずかで特別なマグネシウム原子を加えることはいくらかでも健康を改善するとは期待されない。

 

研究

 彼等が引用している研究はヒマラヤの結晶塩サイトに述べられている。それは70人の被験者で30日間の二重盲検プラセボ比較試験であった。被験者50人はヒマラヤの結晶塩溶液を与えられ、8オンスの純水でゆすぐように言われた。被験者20人はコントロール・グループとされ、通常の海塩のプラセボ溶液を与えられた。これは無数のレビューされた雑誌に発表された研究ではなかった。それはPubMedには取り上げられていない。それらは引用文献、題名、あるいは著者名も挙げていない。そしてそれらの結果は何処にも取り上げられなかった;発表された研究のほとんどは間違っているとされ、したがって、我々は孤立した1研究もないと信ずるべきである。彼等は確証となる一つの参考書を述べている:書籍「水と塩:命の基」で、それは明らかに逸話風の患者報告だけを書いている。健康利益の科学的エビデンスを構成する研究や書籍はない。

 研究は、コンピューターを利用して空腹時でない尿と唾液を用いて行った39試験を組み合わせに依存した最適健康試験を研究は使った。最適健康試験は有効とは認められておらず、いかがわしい機関であるFenestra Labsを除いて何処にも使われていない。RationalWikiは“乱雑のために”代替医療従事者のために臨床試験を専門としている会社としてFenestraを特性付けている。そして伝えられるところでは、研究は“無機化、酸化的ストレス、そして水和”の試験測定でのみ改善を明らかにした。いかがわしいテストに関する実験室数の改善は人の健康に意味のある改善の表示ではない。海塩を使う人々は長生きするか?心臓発作を起こさないか?風邪を引かないか?傷は早く治るか?癌を発症しにくいか?“より健康である”とどのようにして判断できるか?彼等は研究中に血圧を3回測定した、そして彼等が結果をコメントしなくなって以来、製品について主張されている利益の一つである血圧が低下したことを彼等は示すことも出来なかった、と我々は仮定できる。

 

味についてはどうか?

 味がより良いという主張でも疑問である。盲で味覚テストをするまで、味が良いかどうかを本当に知ることは出来ない。人類は何を得たかを知っていると考えたとき、自分自身をだましがちである。例えば、値札を除いて全く同じ2本の同じワインの瓶を置いた研究があると、被験者達は高い値札の瓶に入ったワイン味をむしろ好むと一貫して言った。平均的な人がヒマラヤ塩と通常の塩でそれぞれ調理した食品を区別できれば、非常な驚きである。

 良い味がしたとしても、高い価格と放射能や毒物にさらされる潜在的な危険性を正当化するに十分良い味がするのであろうか?

 

結論:馬鹿げており科学ではない

 ピンク色ヒマラヤ海塩が通常の食卓塩よりも健康に良いエビデンスはない;どちらかと言えば、健康に良くないかもしれないと推測する理由がある。それは“純粋”ではなく、汚染物で満ちている。その人気は科学や常識を越える市場戦略の勝利である。