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ピンク色ヒマラヤ・ソルトの健康利益

Health Benefits of Pink Himalayan Salt

By Jayne Leonard

Medical News Today 2018.07.30

 

ピンク色ヒマラヤ・ソルトはパキスタンのヒマラヤ山脈の丘陵地帯に近いパンジャブ州から採れる岩塩の1種である。

 

 ある人々は入手出来る一番きれいな塩の1つとしてピンク色ヒマラヤ・ソルトを述べ、幾つかの健康利益を自慢している。しかし、この塩は“健康に良い”塩の中で評判を取っているか?この論文はこの風変りな塩の潜在的な利益を調整する。

 

ピンク色ヒマラヤ・ソルトとは何か?

 ピンク色ヒマラヤ・ソルトは化学的に食卓塩と同じである。塩化ナトリウムを98%以上含んでいる。塩の残りの成分はカリウム、マグネシウム、カルシウムのような微量ミネラルである。これらは塩に明るいピンク色を与える。これらのミネラルは、どうしてヒマラヤの塩が通常の食卓塩とは異なった味を示すかと言う理由も説明している。

どの様に使われるか?

 人々はこの種の塩と一般的な食卓塩を同様の方法で使う:調理の部分では、食事の味付けと食品の保存である。ピンク色の塩の塊はお皿、調理なべ、まな板にもなる。ある人々は浴用塩の代わりにもピンク色のヒマラヤ塩を使う。塊やピンク色の塩で作られたロウソク立てを買うこともできる。

どうして体は塩を必要とするか?

 ナトリウムは塩の中にある基本的なミネラルである。身体は様々な機能のためにこれを必要とする。

ナトリウムは次のことに役立つ:

〇 筋肉を収縮させ、弛緩させる

〇 適正な液体バランスを維持し、脱水を予防する

〇 神経系の刺激を伝達する

〇 低血圧を予防する

 最近の研究は、塩を食べることは感染の危険性を下げ、有害な細菌を殺す。動物に関する研究では、塩は鬱病症状にポジティブな効果を持っているらしいことを研究者達は推測している。

 

利益と神話

ピンク色の塩を食べると健康効果あるとの主張がいくつかある。これらには次のことがある:

豊富なミネラル含有量

 ピンク色ヒマラヤ・ソルトは84種類以上の痕跡ミネラルを含んでいると、しばしば言われる。それは98%が塩化ナトリウムであるので、約2%だけがこれらの様々な痕跡ミネラルを構成していることを意味している。人々が通常に摂取する塩の量は比較的限られているので、それらが重要な、あるいは意味のある健康利益を提供することはあり得ない。

低ナトリウム

 ピンク色ヒマラヤ・ソルトは通常の食卓塩よりもナトリウムが少ないとある人々は信じている。しかし、両方とも約98%の塩化ナトリウムから成っている。ピンク色の塩は食卓塩よりも比較的大きな結晶であるので、技術的には茶さじ当たりのナトリウム量は少ない。それはまた食卓塩よりも塩辛いので、同じ味を達成するための塩の量は少なくて済むことを意味している。しかし、ピンク色の塩は通常の塩と非常に良く似た小さな粒状でも得られる。食品に味付けし、ナトリウム摂取量を測定するときにはこのことを考慮する。塩摂取量の75%以上が加工食品や既成食品に既に存在している物から来ている、とアメリカ心臓協会は勧告している。食卓塩は食事に大量に加えてはいけない。

自然塩に近い

 ヒマラヤン・ソルトは食卓塩よりもより自然な製品であるとの主張がある。この主張はメリットを持っているように見える。食卓塩は通常、高度に精製され、アルミノ珪酸ナトリウムまたは炭酸マグネシウムのような固結を防止する固結防止剤が混合される。ヒマラヤン・ソルトは人工的ではなく、通常、添加物を含んでいない。

水和の援助

 一つまみのピンク色の塩を食事や飲料に加えると、体を最適な液体バランスを達成させ、脱水を予防するのに役立つと信じられている。ナトリウムが適正な液体バランスを維持するために必要であることは真実である。しかし、ピンク色ヒマラヤ・ソルトと同様に他の塩からのナトリウムでも良い。

 

危険性と考慮しておくこと

 ピンク色ヒマラヤ・ソルトを使えば、次の点を心に留めておくこと:

ヨード摂取

 ヨードは適正な甲状腺機能と細胞代謝を維持するために身体が必要とするミネラルである。ヨードの大きな給源は魚、海藻、酪農品、卵、その他食品である。ヨード添加塩はこの痕跡ミネラルの別の一般的な給源である。アメリカ合衆国の家庭の約75%がヨード添加塩を使っている。ピンク色ヒマラヤ・ソルトは自然に何某かのヨードを含んでいるが、ヨード添加塩よりも少ない。したがって、食卓塩の代わりにピンク色の塩を使っておれば、ヨード欠乏症の人々、または欠乏症の危険性がある人々は別の所でヨードを摂取する必要があるかもしれない。

ナトリウム摂取量

 ナトリウムは生命を維持するために必要であるが、どの種類の塩摂取量でもモニターすることが重要である。ナトリウムは少量必要であるが、摂り過ぎると健康に悪い影響を及ぼす。腎臓、心臓、肝臓に問題がある人々、あるいは減塩している人々は塩摂取量をモニターし、ピンク色ヒマラヤ・ソルトを含めて全ての塩の使用を制限すべきである。健常な人々でも塩摂取量をモニターすべきである。疾患管理予防センター(CDC)2016年報告書は、子供の90%以上、大人の89%以上が勧められている塩摂取量以上を摂取していると述べている。

多過ぎる塩

 2015 - 2020年のアメリカ人の食事ガイドラインは5.8 g/d以下の摂取量にすることを勧めている。これは通常の塩約1さじ/日に等しい。高血圧者は2.8 g/dの塩摂取量に制限すべきである。塩摂取量を制限できる食事改善を決めるために栄養士と話しなさい。塩は40%のナトリウムを含んでいる。ナトリウム摂取量を意識するとき、ナトリウムが塩の中でどれくらい多いのかを知ることが役立つ。塩の量とナトリウム量との関係は次の通り:

〇 茶さじ1/4の塩:575 mgのナトリウム

〇 茶さじ1/2の塩:1,150 mgのナトリウム

〇 茶さじ3/4の塩:1,725 mgのナトリウム

〇 茶さじ1杯の塩:2,300 mgのナトリウム

ほとんどの人々はこれ以上の塩を摂取している。

 人々が必要以上に塩を摂取するとき、彼等の腎臓は尿を通して過剰な量を排泄する。腎臓が十分なナトリウムを排泄できなければ、間質液として知られている細胞間の液体中に溜まり始める。これは水量と血液量を増加させる原因となり、心臓や血管に緊張をもたらす。多くの重大な健康状態は高いナトリウム摂取量と関係しており、次の症状がある:

〇 高血圧

〇 心疾患

〇 脳卒中

〇 肝臓損傷

〇 骨粗鬆症

〇 腎臓疾患

 あまりにも多くの塩を摂取することは自己免疫疾患にも寄与する、例えば、多発性硬化症、慢性関節リュウマチ、狼瘡、乾癬であり、塩は免疫系を過剰に刺激するからである。2015年からの研究は塩摂取量と肥満との間に直接的な関係を示唆しており、1 g/dの塩摂取量増加は大人と子供の両方で肥満の危険率を25%以上増加させることと関係していた。

 

最低線

 現在、ピンク色ヒマラヤ・ソルトが通常の食卓塩よりもより健康上の利益を与えることを示す科学的エビデンスはない。微粒の食卓塩をピンク色ヒマラヤ・ソルト結晶と置き換えることは塩摂取量を減らすことができるかもしれないが、他の塩でも同じ様に中程度にして楽しむべきである。