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                              漬物技術、2005, Vol.18, 28-43

特別講演

 

製塩法と塩の品質および健康問題

(財)ソルト・サイエンス研究財団

専務理事 橋本壽夫 

 

はじめに
 国内食品産業の中で塩の消費量は表1によると多い順に、水産、醤油、調味料、加工食品、漬物、味噌、その他となっており、漬物では年間約9万トン程度まで減ってきている。使用される塩の品質は製塩法によってことなり1)、用途によって要求される塩の品質は異なってくる2)。したがって、ここでは、製塩法によって塩の品質がどのように異なってくるか、また、塩の摂り過ぎが問題となっているが、塩と健康についてどのように考えておけば良いか、について述べる。

表1 食用塩の用途・塩種別消費量の推移 (千トン)
用 途 1998年度 1999 2000 2001 2002 2003 国産 輸入
生活用 283 277 259 237 247 243
漬物 115 114 105 91 96 92
味噌 65 65 61 64 54 59
醤油 209 211 213 207 195 209
水産 232 232 226 218 229 226
調味 164 176 174 176 184 139
めん類 30 30 30
パン菓子 22 22 21
加工食品 120 123 130 127 125 126
その他 18 21 25 83 90 107
合  計 976 992 985 967 973 958
2001年度の数量でめん類、パン菓子はその他の項へ、工業用
の一部分はその他の項へ加算されている。
○ 並塩・食塩  □ 再製精製塩  △ 原食・粉砕食

1.製塩法
 塩専売法が廃止されてから、海水を濃縮して自由に製塩できることになり、多種多様な塩が販売されるようになった。しかし、それらの塩は総じて非常に高価である。食品工業の原材料として塩を使用する場合には、安全性、低価格、品質の安定性が重要視される。高価格でもそれに見合った付加価値が付けられれば使用されようが、そのようなことは希であろう。
 国内で販売されている業務用塩の製塩法には、塩田海水濃縮法(原塩、粉砕塩)、イオン交換膜海水濃縮法(食塩、並塩、白塩等)、天日塩溶解再製法(精製塩、特級精製塩)、岩塩溶解再製法(中国から輸入されるせんごう塩)がある。以下順に述べる。
(1)塩田海水濃縮法
 海水を濃縮していくと、溶解度が小さい塩類から順に析出してくるので、塩類の順序は決っている。溶解度は一般的に温度によって大きな影響を受ける。塩の溶解度については例外的に温度による影響が非常に小さい。例えば、図1に27℃濃縮(天日塩田濃縮に類似)における各種塩類の析出挙動を示した3)。これは海水を濃縮して出来たかん水(濃い塩水)、母液(塩の結晶が析出してくる溶液)、にがり(塩の採取を終えた残りの溶液)中の各種塩類濃度の変化も表している。

 この図で説明すると、海水が濃縮されるにつれてNaCl濃度は上昇し、かん水の比重も上昇していくが、比重1.215付近でNaCl濃度の低下が始まる。この点でNaClの析出が始まったことを示している。ここから溶液は母液と呼ばれる。NaClの析出が始まるまでに大半のCaSO4(石膏)が析出している。しかし、この析出はNaClの析出と共に続いている。したがって、天日塩田による製塩では塩の結晶と分離することは困難である。真空式蒸発缶による濃縮では、浮遊分離法で塩と石膏とを分離することができる。
 NaClの析出に伴ってMgCl2MgSO4KClの濃度が急上昇している。比重が1.305付近になると、MgSO4濃度が低下し始め、析出が始まる。こうなると塩の品質が悪くなるので、製塩工程はMgSO4が析出する前までとし(ここまでが母液)、残った溶液はにがりとして排出される。にがりの段階では石膏の析出はない。つまりにがりにはカルシウムがない。このような溶液を硫酸マグネシウム系かん水、母液、にがりと称する。
 図1には縦にABの二本の線が引かれている。例えば三重効用真空式蒸発缶では、濃縮缶1缶と結晶缶2缶に分けられる。ここで2缶の結晶缶からそれぞれA線とBの濃度で採塩することを考えると、A線では母液中の他の塩類濃度が低いので、付着母液の影響は小さく、塩の純度は高い。B線では他の塩類濃度が高くなっているので、付着母液により塩の純度は低下する。つまり、両者の塩の品質は純度的にかなり異なる。品質の不均質性を解消するために、塩を遠心分離する際に、塩に付着している母液を飽和食塩水で洗浄することにより塩の純度を高めて、一定品質の塩が得られるようにする。
 海水濃縮の具合を容量減少で見ると、図2に示すようになる1)100 mlの海水が濃縮されて減るに連れて、溶解度の小さい化合物から順に析出が始まる。Fe2O3CaCO3CaSO4と析出が続き、容量が最初の1/10になるとNaClの析出が始まる。液量が約2.5 mlになると、MgSO4が析出し始める。下方に参考までに昔、行われていた流下式塩田製塩法、現在、海外で行われている天日塩田製塩法の工程を示した。

(2)イオン交換膜海水濃縮法
 イオン交換膜海水濃縮法の原理を図3に示す。陽イオンだけを通す陽イオン交換膜と陰イオンだけを通す陰イオン交換膜を交互に並べてできる室に、一室おきに海水を流し、直流電流を流すと、陽イオンは陰極に、陰イオンは陽極に移動するので、陽イオン、陰イオンはそれぞれの膜で分離され、海水中の陽イオン、陰イオン濃度は低下して一室おきにそれらのイオンが上昇して濃縮されたかん水が得られる。溶液中でイオンになっていない例えば蔗糖は移動しないし、イオンであっても酢酸イオンのような大きな物は膜を通過できない。このような意味でイオン交換膜により電気的に物質を篩い分けして安全な塩ができる。3%海水中の各イオンの約25%が移動し、18%20%のかん水が得られる。


 図4は得られたかん水を濃縮した例である3)。横軸には濃縮によって析出しないCaCl2MgCl2との合量が用いられる。かん水が濃縮されるに連れてNaCl濃度は上昇し、やがてNaClの析出が始まると濃度は急速に低下する。溶液中のMgCl2KClCaCl2は上昇するが、この中でKClだけは途中で析出し、濃度が低下し始める。こうなると塩の品質が低下するので、製塩工程はKClの析出が始まる前までとして、残りの溶液をにがりとして排出する。わずかにあるCaSO4NaClの析出と並行して析出し、にがり領域では析出しない。にがりには塩田海水濃縮には存在したMgSO4はなく、その代わりにCaCl2があるので、このような溶液を塩化カルシウム系かん水、母液、にがりと称する。
 イオン交換膜電気透析法で得られたかん水の濃縮具合を溶液重量の減少で見ると図5のようになる1)NaClの濃度が濃いので、最初にNaClが析出し、次にCaSO4が析出してくる。製塩の終点となるKClが析出してくるまで、両者の析出は並行して進む。CaSO4が析出するまでに採塩(若採り)された塩の純度は高い。

 このようにかん水の組成が変化する理由は、イオン交換膜電気透析法による海水濃縮で陰イオン交換膜をSO4イオンが通りにくいためであり、また、陽イオン交換膜をCaが通りにくく、カリウムが通りやすいためである。この現象をイオンの選択透過性という。
(3)天日塩溶解再製法
 天日塩には(1)で述べたようにCaSO4結晶があり、にがり成分のMgCl2MgSO4があるので、天日塩を溶解してできたかん水中のCaイオンは炭酸ナトリウムの添加により炭酸カルシウムとして除かれ、Mgイオンは水酸化ナトリウムの添加により水酸化マグネシウムと して除かれる。溶液中には硫酸ナトリウムが残るので、硫酸ナトリウム(ぼう硝)系かん水、母液、にがりと称する。
 この方法で得られる塩の品質については非常に純度が高く、精製塩、特級精製塩といった高級塩種となる。
(4)岩塩溶解再製法
 欧米では岩塩から食用塩を製造するが、乾式採鉱(石炭採掘方式)で採塩された岩塩がそのまま食用になる場合は稀で、通常、純度は9399%で、土砂や他の塩類が混入し、着色している場合がほとんどである4)。したがって、採塩された岩塩を溶解し、あるいは溶解採鉱(岩塩層に水を注入し塩を溶かして、かん水として採塩する)で得られたかん水を濾過し、天日塩溶解再製法と同様にCaイオンとMgイオンを除去して精製されたかん水を煮詰めて製塩するので、塩の純度は高い。

2.塩の品質2)

 塩の品質は化学的品質である化合物の組成と物理的品質では物性とに分けられる。
(1)化学的品質
  これは1で述べたように製塩法によって異なってくる。例えば、食塩の純度は99%以上であるが、流下式塩田製塩からイオン交換膜電気透析法製塩に転換した時、各成分は図6のように変化してきた5)。硫酸根が大きく減り、水分とCa, Mg1/21/3に減っているが、Kは逆に2倍以上に増えている。この図には純度95%以上の輸入天日塩の成分も幅で示してある。自然に生産される天日塩も収穫時には飽和塩水で洗浄されているので、夾雑物は少なくなっている。


 食塩は乾燥塩であるが、並塩は遠心分離しただけの湿った塩であり、純度は95%以上となっており、水分が1.5%程度ある。
  精製塩の純度は99.5%以上であり、特級精製塩は99.8%以上である。
  塩の物理的性質である流動性を維持し、固結を防止するために食品添加物を添加した製品がある。精製塩の小物商品、例えば、食卓塩、精製塩1 kgには塩基性炭酸マグネシウムが添加されている。これは流動化剤である。優れた固結防止剤としてフェロシアン化物が食品添加物に認定されているが、この物質についての安全性のデータが揃っていないので、国内の生産塩には添加されていない。しかし、輸入塩された商品には添加されている物もある。
(2)物理的性質
 食品加工の面から必要な塩の物理的性質を表2に示す。結晶形は表2に示す以外に凝集晶や粉砕による無定形の商品があり、流動性や溶解性、取扱易さに関係してくる。これらの性質に関係してくるのは粒径があり、粒径分布も用途によっては重要な要因となる。粒径がそろっている方が良かったり、幅広い方が良かったりする。また、粒径が細かくないと付着性や混合性が悪くなる。
表2 塩の物理的性質と応用
項  目 数値 or 様態 応  用
結晶形 正六面体、球形、フレーク 食品加工
無色
比重 2.16
飽和水溶液の密度 1.2093 at 0℃ 1.1872 at 50℃ ソーラーポンドによる太陽熱回収
見掛け密度(嵩比重) 0.7-1.5 粉体の混合
融点 800℃
沸点 1413℃
モース硬度 2〜2.5 顔料の磨砕
溶液100 g中の溶解度 26.4 g at20℃
臨界湿度 相対湿度75%
電離性 強電解質、100%電離 塩析剤
沸点上昇 飽和溶液で8.7℃
氷点降下 飽和溶液で-21.3℃ 冷媒、融氷雪
水分活性 飽和溶液で水分活性値0.75 食品保存

 色は無色透明であるが、光の反射により白く見える。塩田製塩では結晶池が好塩菌により赤く着色することがある。このような塩を使うと白い製品には色が着くことがある。また塩蔵品では色着きや硬さで品質を損なうことがある。
 かさ比重は他の材料と混合する時に重要となる。他の材料の比重と同じ様なかさ比重にしておかないと、例えば胡麻や胡椒とうまく混ざらない。
 溶解度や溶解速度は温度によって決まっているが、溶け易さを表す溶解性は結晶の表面積で異なってくる。結晶形や結晶を溶かす装置、方法が問題となる。用途によってどのような塩を選ぶかを選択しなければならない。
 臨界湿度は塩の固結と関係している。塩化ナトリウムの臨界湿度は75%であるので、相対湿度が75%を前後する気象条件の夏場では塩は固結しやすい。75%より高くなると塩は吸湿して溶ける。その後、75%より低くなると塩は乾燥し、溶液から塩の結晶ができる。この工程の反復回数が多くなるほど塩は次第に固結していく。つまり、析出してくる塩が結晶間を橋渡しするように働き、細かい結晶同士を繋いで大きな塊としてしまう。温度変化が少ないところに塩を貯蔵するのも固結を防ぐ1方法である。
 塩が強電解質であり、分子量が小さいことは少ない量で浸透圧を高めることになり、野菜からの脱水を促進させ、微生物の繁殖を抑える。水分活性が大きいことも微生物の繁殖を抑え、食物の保存に役立つ。

3.塩と健康問題

 塩と高血圧の問題については1900年代初頭に塩化物イオンが関係あるらしいと言われた。1944年にケンプナーがライス・ダイエットと言われる塩分を含まない食餌で重症の高血圧患者を治療して効果を上げた。その後、ダールが食塩摂取量と高血圧発症頻度の関係を表す図7を発表した6) (現在では、統一された条件のデータではないので信頼性がないとされている)。ダールはこの図から塩が高血圧症を発症させるのではないか、との仮説を立て、それを照明しようとしてラットに塩を与える実験を行った結果、塩をいくら与えても高血圧症にならない塩抵抗性ラットと高血圧症になる塩感受性ラットがいることに気付いた。それ以来、塩と高血圧に関する研究が進み、その主な研究と結果は表37)に示すとおりである。


表3 塩と高血圧に関する研究の歴史7)
成                 果
1954 ダールの疫学調査で因果関係推定
1962 ダール、塩感受性ラットと塩抵抗性ラットを発表、高血圧の遺伝性推定
1963 岡本、青木、自然発症高血圧ラットを発表、高血圧の遺伝性確定
1973 岡本ら、脳卒中易発生自然発症高血圧ラットを発表、高血圧症研究のモデル動物開発
1978 川崎ら、人間で塩感受性と非塩感受性を発表
1988 大規模疫学調査のインターソルト・スタディで塩との関係弱いことが判明

(1)塩感受性
 塩感受性は食塩摂取量の増減によって血圧がある値以上に変動する現象を言い、最初ダールがラットで発見したが、その後、この現象はヒトにも当てはまることを川崎らが発表した8)。塩感受性の定義は研究者達によって様々であるが9、全体的には塩感受性者は2030%いると言われており、本態性高血圧者でも50%以上は塩感受性者ではないと言われている。遺伝子レベルの研究も含めて様々に要因の研究がされているが、現在のところ塩感受性を簡便に見分ける方法はない。
(2)疫学調査
  塩摂取量が高血圧発症に関係しているのではないかと疑われ始めたのは、前述したダールの疫学調査からであった。その後、数多くの疫学調査がなされたが、被験者数の大きさ、塩摂取量や血圧測定法の不統一性等の関係で条件が一定でなく、したがって、結果にも再現性がなかった。
  そこで、血圧測定法を統一し、塩摂取量は最も正確と言われている1日蓄尿試料を1ヶ所で分析した値とし、被験者数も多数にした32ヶ国、52センターで合計10,078人のデータが整理され図8のように発表された10)。この結果では塩摂取量と高血圧発症率との関係は明確でなく、特に、塩を摂取する習慣のない原始社会生活を営んでいる4民族(1日当たり1 g以下の摂取量で無塩文化と言われている)を除いた文明社会の民族では負の相関を示す項目もあった。この発表以来、海外では全員一律に減塩を勧める保健政策を批判する意見が出始め、一方、これを発表した研究者達はデータを再整理して、塩摂取量と高血圧発症率の相関が一層明確であることを再発表した11)。この発表を巡ってデータ整理の方法論や減塩政策の可否について大論争がおこった。筆者はそれらの様子をまとめて発表した12)。アメリカの科学雑誌サイエンスには、減塩を巡る保健政策は政治的な科学であり、科学的証拠に基づいた政策ではない、との論文が掲載された13)

(3)減塩効果
  減塩して降圧効果を示すのは塩感受性者だけである。腎臓生理学の専門家である今井によると、先に述べた本態性高血圧患者の50%以上が食塩感受性でないと言う数値について、食塩感受性の頻度は高く見ても高血圧患者の20%である14)、と述べている。裏返せば、高血圧患者の80%は減塩しても効果がないことになる。
 減塩試験を行うと、減塩に対して血圧は多様な応答を示し、統計的には図9に示す正規分布となる15)。これによると、正常血圧者よりも高血圧者で減塩に対する降圧効果が大きいが、血圧上昇を示す人々もおり、正常血圧者では、減塩により血圧が低下する人々とほぼ同数が逆に血圧上昇を示す。

(4)減塩の危険性
 減塩政策の根拠は、図1016)Aに示す集団では高血圧症がなく、加齢に伴う血圧上昇もないのにB集団では高血圧発症率が高く、加齢に伴う血圧上昇があるので、C集団に持って行くことである。ところが減塩すると血圧が上昇したり、寿命が短くなったり17)LDLコレステロールが上昇する18)、と言ったことが発表され始めた。

  一般的には食欲強化剤である塩を減らすことにより薄味となるので食欲が進まず、必要な栄養摂取量が確保できなくこともある。睡眠障害の発生や出血、下痢、発汗による水分・塩分の喪失に対する抵抗力が低下し、熱中症を起こしやすくなる。
(5)減塩の実態
 日本では1978(目標摂取量10 g/日を設定)から減塩運動が勧められ、1日当たり14グラムに近い摂取量から11.7グラムまで下がったことがあったが、その後13グラム近くまで上昇し、最近では少し下がって12グラム位となっている。
  厳しい減塩政策を採っているアメリカの状態は図1119)に示すように調査毎に次第に増加している。アメリカでは1976年にナトリウム摂取量2,400 mg(食塩にして6 g/)が設定され、減塩運動が始まったが効果は現れず、摂取量の実態はそれ以後、着実に増加している。

(6)DASH食
 最近、食生活の改善によって高血圧症を予防する研究が盛んに行われている。果物、野菜を多く、低脂肪乳製品を食べることであり、これをDASH(Dietary Approach to Stop Hypertension)食と称している。それだけでも、かなりの血圧低下効果があり、それに減塩を取り入れると一層効果がある、と図1220)のように発表された。


 考えてみると、これは典型的な日本食である。ご飯、野菜の煮物、漬物、味噌汁、豆腐などの大豆製品、魚介類などは日本の食文化を象徴する食品である。その上、狭い国土を最大限利用して食糧を生産するために体を動かしてきた。この結果、日本は世界一の長寿国となってきた。最近の欧米食の普及、車社会、食糧の輸入などにより、日本の伝統的な食文化の崩れ、運動量の低下などにより、欧米型の疾患が増加してきた。県別の男女寿命で沖縄県と長野県を比較すると、最近、如実に変化が表れていることが判る。

おわりに
 専売制の廃止に伴い他種類の塩が生産され、輸入もされるようになってきた。塩は製塩法によって塩の品質が異なるが、食品工業では安全性の高い品質の安定した塩を使うべきである。塩と健康の問題については、塩はそれほど悪い物ではなく、腎機能が正常であれば適正な食塩摂取量は味覚が判定していると考えられる。塩の摂取量が血圧に悪い影響を及ぼす食塩感受性者の比率は
2030%であるが、現在の所、簡便な見分け方法ない。減塩については効果の程度は定かでないが、取り敢えず高血圧遺伝歴のある家系は減塩する。総ての人々が欧米の減塩運動に追従することはないと筆者は考える。

引用文献

1)       橋本壽夫:製塩法と塩の品質、食科工、49437 (2002)

2)       橋本壽夫、村上正祥:塩の科学、p.133、朝倉書店 2003

3)       橋本壽夫:塩・ニガリと健康の関係、フードリサーチ p.17, 9月号 2004

4)       橋本壽夫、村上正祥:塩の科学、p.115、朝倉書店 2003

5)       橋本壽夫:食塩の種類と品質、保健の科学、36121 (1994)

6)       Lewis K., Dahl et al, Effects of Chronic Excess Salt Ingestion Evidence That Genetic Factors Play an Important Role in Susceptibility to Experimental Hypertension in Humans, J Exp Med, 115, 1173 (1962)

7)       橋本壽夫:塩について−なぜ、いま自然塩なのか、キューピーニュース、No.293 (1998)

8)       Kawasaki Terukazu et al, The Effect of High-Sodium and Low-Sodium Intake on Blood Pressure and Other Related Variables in Human Subjects with Idiopathic Hypertension, Am J Med, 64, 193 (1978)

9) Jay M. Sullivan, Salt Sensitivity Definition, Conception, Methodology, and Long-term Issues, Hypertension, 17, Suppl I, I-61 (1991)

10) Intersalt Cooperative Research Group, Intersalt: An International Study of Electrolyte Excretion and Blood Pressure. Results for 24 Hours Urinary Sodium and Potassium Excretion, BMJ, 297, 319 (1988)

11) Paul Elliott et al., Intersalt Revisited: Further Analysis of 24 Hour Sodium Excretion and Blood Pressure within and across Populations, BMJ, 312, 1249 (1996)

12) 橋本壽夫、塩と健康(3) 塩と高血圧問題に関する論争、海水誌、54、366 (2000)

13) Taubes Gary, The (Political) Science of Salt, Science, 281, 898 (1998)

14) 今井正、食塩と高血圧:腎臓の役割を中心として、食科工、52、1、(2005)

15) Weinberger M. H., et al., Genetic Aspects of Blood Pressure Sensitivity to Sodium, Salt and Hypertension (eds. Rettig R. et al.) p.121 Springer-Verlag (1989)

16) Houston M. C., Sodium and Hypertension: A Review, Arch Intern Med. 146, 179 (1986)

17) Alderman M. H., et al., Dietary Sodium Intake and Mortality: The National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES I), Lancet, 351, 781 (1995)

18) Weder A. B. and Egan B. M., Potential Deleterious Impact of Dietary Salt Restriction on Cardiovascular Risk Factors, Klin Wochenschr, 69, Supll. XXV, 45 (1991)

19) Loria C. M., et al., Choose and Prepare Foods with Less Salt: Dietary Advice for All Americans, J Nutr, 131, 536S (2001)

20) Sacks F. M., et al., Effects on Blood Pressure of Reduced Dietary Sodium and the Dietary Approaches to Stop Hypertension (DASH) Diet, New Engl J Med, 344, 3 (2001)