5. 塩と胃癌

 濃い塩水は浸透圧が高いので胃粘膜が損傷を受けるとして、塩が胃癌の原因になると言われている。この
ように言われると塩が発癌性物質のように思ってしまうが、果たしてどうであろうか。癌の症状が出るまでには、
癌を引き起こすイニシエーターと出来た癌の増殖を促進させるプロモーターが係わっている。この役割の中で
塩はプロモーターであるとされている。

 しかし、著者が旧厚生省で発表されている国民栄養調査と人口動態調査や患者調査のデータを組み合わ
せて整理した結果では、食塩摂取量と胃癌発症率との間には相関関係はなかった。広範囲に亘って医学
文献を調査した結果でも相関関係を示せなかった


 胃癌の原因を塩摂取量やヘリコバクター・ピロリとの関係で調べ、細菌によることは確定しているが、塩摂取量との関係は未だ確定していない