戻る

2018.01.01

DASH食の勧め

 Dietary Approach to Stop Hypertension(DASH)とは高血圧を予防するための食事療法とでも言うべき高血圧の非薬物療法である。これをアメリカ合衆国の国立心肺血液研究所(NHLBI)が勧めている。具体的には果物、野菜、低脂肪乳製品を多く食べる食事法である。カリウム、カルシウムを多く摂取する食事だ。その効果は減塩による降圧効果よりも大きいことは既に紹介した。国立心肺血液研究所のホームページからDASH食による血圧低下のガイドを紹介する。

 

アメリカの減塩政策の推進組織体制

 国立心肺血液研究所(National Heart, Lung, and Blood Institute)は国立衛生研究所(National Institute of Health)管轄の1機関であり、その上の組織はアメリカ公衆衛生局(United States Public Health Service)で、さらにその上の組織はアメリカ合衆国保健福祉省(United States Department of Health and Human Services)である。

これらの機関は組織的に減塩政策を勧めている。いくら減塩政策の太鼓を叩いても減塩の実績は上がらず、学術論文で50年間、塩摂取量は変わらないとまで発表された。減塩政策では血圧を下げられないが、DASH食により下げられることが学術発表されたので、ホームページでもDASH食の勧めを掲載している。

その一つが「DASH食で血圧を下げるガイド」で、もう一つはより具体的に述べている「DASH食生活計画」である。前者の内容は次の通りである。

 

DASH食で血圧を下げガイド

 高血圧を予防でき、血圧を下げられる要素として次のことを挙げている。

  塩含有量の少ないDASH食のような健康に良い食事をする。

  健康に良い体重を維持する。

  毎日少なくとも30分間、中程度の運動をする。

  アルコールを飲み過ぎない。

健康に良いDASH食の内容を以下のように記載している。果物・野菜を多く含み、脂肪のない、または低脂肪の牛乳や乳製品、全穀粒、魚、家禽、豆、種、ナッツを食べる。DASH食には塩、甘味、砂糖が少なく、砂糖を含む飲料はあまり飲まず、典型的なアメリカの食事よりも赤肉をあまり含まない。この心臓に良い食事は飽和脂肪酸、トランス脂肪、コレステロールも少なく、主にカリウム、マグネシウム、カルシウム、タンパク質、食物繊維といった血圧を下げることに関係している栄養素に富んでいる。

 数日間または週週間にわたってゆっくりとDASH食に変えていくため次のように助言している。

  昼食や翌日の夕食に野菜を加え、一回の食事または間食には果物を加える。

  一日三回の食事に無脂肪や低脂肪乳製品を増やす。

  1食80 gのトランプ箱くらいの赤身肉とし、一日170 gに制限する。何時も大きな肉を食べているのであれば、2,3日に一回にするか、1食で半分か1/3に減らす。

  毎週の食事で2回以上ベジタリアン・スタイルか肉のない食事にする。

  野菜、玄米、全小麦パスタ、調理済み乾燥豆の給仕量を増やす。肉が少なくて野菜、穀物、乾燥豆の入ったキャセロールやいため料理を食べる。

  間食やデザートには果物や飽和脂肪酸、トランス脂肪、コレステロール、ナトリウム、砂糖、カロリーの少ない他の食品を食べる。例えば、塩のない米菓、塩のないナッツまたは種、干しブドウ、グラハムクラッカー、無脂肪・低脂肪または冷凍ヨーグルト、塩やバターを加えてないポプコーン、または生野菜である。

  生・冷凍または低ナトリウム缶詰野菜や果物を食べる。

 

生活様式の変化で降圧効果を上げる

DASH食を食べながら生活様式を変えて高血圧を予防し管理すると良い。

DASH食をしながら必要であれば減量する

 DASH食は果物や野菜のような低カロリー食であるので、容易に減量に役立つ。甘味食品のような高カロリー食品を果物や野菜と置き換えることにより多くのカロリーを減らせる。痩せる一番良い方法は、運動を増やしてカロリーを少なくしながらゆっくりと時間をかけて置き換えることである。医者または栄養士に相談して、減量または体重を維持する計画を作る。

DASH食をしながら運動する

 散歩や水泳のような通常の運動とDASH食を組み合わせると減量に役立ち、長い間痩せた状態に維持するのに役立つ。一日の好きな時間に1回15分歩くことから始め、運動時間を次第に増やしていく。一回に30分間運動できれば、少なくともそれぞれ10分間ずつの短い時間にしてもよい。重要なことはほとんど毎日、全部で約30分間中程度の運動を続けることである。体重増加を避け、または減量を継続するためには、毎日、中程度から激しい運動を60分間試みる。

 

 以上、食生活で減塩をしなくても血圧を下げられるアメリカ政府の保健機関である国立心肺血液研究所のホームページより紹介した。日本の食生活において味噌汁は多くの塩を含んでいるため悪者とされてきたが、筆者は伝統的なみそ汁の効用を紹介しそれはDASH食に相当するとも書いたことがある。