たばこ塩産業 塩事業版  1998.1.20

塩なんでもQ&A

(財)塩事業センター技術部調査役 

橋本壽夫

 

塩は賞味期限の考え方が当てはまらない商品

 

 新制度になって、本来なら店頭に並んでいる塩もすべて(財)塩事業センターのマークのものであるべきなのでしょうが(生活用塩=旧専売塩に関してですが)、正直に言って、JTマークの塩もまだ結構在庫があります。塩の賞味期限ということが頭に浮かんだのですが、もしお客様に質問された場合、どのように答えたらよいでしょうか?                      (東京都・塩販売店)

食品衛生法で定める品質保持期限の表示

 食品衛生法では、食品の日付表示について、@消費者に対し、食品に関する的確な情報を提供し、A事故等があった場合の責任の所在を明らかにし、製品回収などの行政措置を迅速かつ的確に行うための手がかりにする、といったことのために、品質保持期限の表示が義務づけられています。そして、この品質保持期限に替えて賞味期限という言葉を使ってもよいことが認められています。
 このように品質保持期限とか賞味期限を表示しなければならない食品は、腐敗や変敗、その他の食品の劣化によって衛生上の危害が発生する恐れがありますので、それらの危害が発生する恐れがないと認められる期限を表示するわけです。また、定められた方法によって保存した場合において、品質が急速に劣化しやすい食品は消費期限(腐敗、変敗、その他の食品の劣化に伴う衛生上の危害が発生する恐れがないと認められる期限を示す年月日)を表示しなければなりません。 

賞味期限表示が義務づけられている食品

 品質保持期限や賞味期限を表示しなければならない食品は、前文で分かりますように腐敗、変敗して衛生上の危害が発生する恐れのある食品です。保存状態によっても品質劣化の時間が異なりますので、いくつかの例をあげますとのようになります。

 牛乳や乳製品で常温保存が可能な製品では品質保持期限(賞味期限)を表示し、その他は消費期限の表示が義務づけられています。

塩製品の表示義務は

 食品として表示しなければならない項目は多数ありますが、食塩としての塩製品で表示しなければならない項目は、名称、原料名、製造所の所在地と製造者、食品添加物、内容量です。塩は腐敗、変敗するものではありませんので、品質保持期限(賞味期限)、消費期限を表示する必要はありません。
 しかし、品質管理上、製造年月日は表示されており(小物包装品には表示されていませんが、それをいくつか収めているダンボール箱には表示されています)、商取引上内容量が表示され、消費者への情報提供として自主規格としての塩化ナトリウム含有量、その他が表示されています。

塩は時が経っても腐敗、変敗しない

 塩は時がいくら経っても腐敗、変敗する物ではありませんので、製造された時と味が変わることはなく、賞味期限の考え方が当てはまらない商品ですので、JTマークの塩でも安心してお使い下さい。

ヨード添加塩には貯蔵寿命の考え方が

 日本ではヨード欠乏症(甲状腺腫、クレチン病)は問題になっておりませんが、国際的には10億人が危険にさらされているといわれているヨード欠乏症を予防するために、塩に30 ppm(100万分の30の割合)ほどのヨウ化カリウムを添加した塩が家庭用にたくさん販売されております。
 ユニセフはヨード添加塩の使用によってヨード欠乏症をなくする運動を行っています。この化合物は時間が経つと減っていきますので、これが添加されている塩にはシェルフライフ(貯蔵寿命)の考え方を導入することが外国では話題になることがあります。