たばこ塩産業 塩事業版 2007.06.25
塩・話・解・題 27
東海大学海洋学部非常勤講師
橋本壽夫
インターネットで見る塩の世界
インターネットが普及した現在では国内、国外を問わず様々な情報がウエッブサイトに掲載されている。しかし、有用なサイトを探すには努力と忍耐が必要である。前に「インターネットでみる世界の塩情報」(2002年1月20日号)を紹介した。その後、塩に関するいろいろな情報を探しているうちに、これは役立ちそうと思われる国内サイトがいくつか見つかった。海外サイトについても英語で書かれてはいるが併せて紹介する。
世界塩の旅
(http://www.music-tel.com/naosuke/nao-h/20000512shio.html)
このサイトは弘前大学医学部名誉教授佐々木直亮が撮影した塩関係の写真と他の関係資料から引用した写真をまとめて掲載してある。あまりにも多数あるので、小さな写真にならざるを得ないのが残念であるが、見て楽しいサイトである。
このサイトからアクセスできる「食塩と健康」のサイトは、衛生学者であり疫学者でもある同氏が平成4年に第一出版から出版した同名の書籍をほぼ完全に転載している。健康問題だけでなく歴史・文化・塩嗜好にまで話が及び、この面の分かり易い参考書である。
(http://www.music-tel.com/naosuke/nao-h/salthealth.html)
愛知県の博物館サイト
(http://www.geocities.jp/shimizuke1955/index.html)
製塩の歴史が3つに分けられて詳しく紹介されている。製塩の歴史1では、愛知県の製塩について主として土器製塩における製塩土器に焦点を置いて掲載されている。製塩の歴史2では、全国の土器製塩における製塩土器を掲載されている。これらの資料はインターネットのサイトを丹念に見て全国各地の製塩土器を整理しており、そのアドレスからさらに詳しく知ることができる。
製塩の歴史3では、塩田製塩の歴史を揚げ浜式塩田から入浜式、流下式塩田とたどり、せんごう工程では、あじろ釜、土窯、石釜、鉄釜とたどって掲載している。
明治以降の技術進化については、たばこと塩の博物館や塩事業センターのサイトにつなげている。ここでも多くの写真やイラストが掲載されており、海水からの製塩に古代人や先人が苦労した様がうかがえる。
新しい形状の塩結晶
直方体の内側が空洞になった新しい形状の塩結晶の作り方が記載されているサイトがある。(現在このサイトは見当たりません)
飽和食塩水と食塩水とは混ざらない液体との境界面で結晶を成長させる方法で作る。その液体には水が溶け込んで行く。このことにより両液体の境界面で成長する結晶は底部と側面がフラットで上面が窪んだ形状となる。
この結晶は非対称で表面積が大きい。このサイトではブタノールを使用した時の結晶写真が掲載されている。形状の特徴を生かして吸着剤、触媒などに使用される結晶体に利用できるとして、この技術を生かして機能性を持った新しい素材を開発することを目論んでいる。
教材としての塩の世界
小橋靖の「塩の世界」(http://www5d.biglobe.ne.jp/~obashi/)は小学校や中学校の「 総合的学習の時間 」の教材化をめざして作成されたサイトである。そのため比較的分かりやすく解説されている。
内容は、「1.実際に塩をつくってみよう」から砂浜でかん水(濃い塩水)を作り、それを煮詰め、あるいは海水を直接煮詰めて塩作りの体験ができる。「2.日本の塩づくりの歴史」では、藻塩焼きからイオン交換膜製塩法までの技術を簡単に解説している。「3.海水からかん水を採るしくみ」では、入浜式や流下式塩田あるいはイオン交換膜透析装置でかん水を採取する方法をもう少し詳しく解説している。
「4.」では、かん水を煮詰めて塩を作る真空式蒸発缶のしくみ」を解説している。「5.塩の結晶」ではいろいろな形状の塩を紹介している。「6.塩の品質のあゆみ」では塩化ナトリウム純度の推移を解説している。「7.塩に関する資料館等の紹介」では、全国各地にある塩の展示館や塩に関する行事(神事)を紹介しており、関心を持っている人にとっては有難い資料である。「8.Q&A」では小中学生からの質問に対して応えている。
塩の博物館
塩の博物館は前節の「7.」で紹介されているが、インターネットで見るとなると、案外少ない。渋谷にある「たばこと塩の博物館」は前回で紹介した。歴史的な製塩の地、赤穂には赤穂市立歴史博物館があり、塩に関して多くの展示物があるが、公式サイトではその内容ほとんど見られず、http://inoues.net/club/akoh7.htmlのサイトで一部見ることができる。
赤穂市立海洋科学館・塩の国http://www.ako-kaiyo.jp/にはミニサイズの入浜式塩田や流下式塩田があり、できたかん水を平釜で製塩している。その様をこのサイトで2枚の写真として見られる。かん水で土鍋を用い製塩体験もできる。
製塩の地、香川県の坂出市にも坂出市塩業資料館があるが、数枚の写真しか掲載されていない。http://www.city.sakaide.kagawa.jp/kurasi/sisetu/engyou.html
同じく昔、三田尻と呼ばれた製塩の地、山口県防府市にも塩田跡地に石釜の石で築いた釜屋の煙突がある三田尻塩田記念産業公園で製塩に関する資料が展示されている。製塩用具やミニ入浜式塩田は模型で、夏場には塩田で採かん作業が行われ、できたかん水を平釜で煮詰めて塩を採取している。公式サイトはなく毛利博物館のサイトで見ることができる。http://members.at.infoseek.co.jp/Yosidon/houfu.htm(現在)このサイト内から落とされています
岡山の児島塩田を開いた野崎家の旧宅が野崎家塩業歴史館として平成7年に博物館登録された。http://www.naikai.co.jp/j_museum-ayumi.htmのサイトで製塩用具の写真が3枚ほど掲載されている。製塩体験も出来る。
海外の塩情報サイト
海外の塩博物館や製塩の歴史等について多くのサイトがある。それらをまとめて表に示した。博物館については参考になりそうないくつかのサイトを掲載した。
橋本壽夫の塩の世界
これは筆者のホームページ(http://www.geocities.jp/t_hashimotoodawara/)の表題である。
これまで20年間にわたって本紙に書き続けてきた記事を中心に、他の雑誌に発表してきた記事も掲載されている。塩について知りたいことがあれば、一度見て頂きたい。
そこで知ることができない問題があれば、トップページにメールボックスがあるので、質問して頂きたい。分かる限りお答えする。
世界の塩博物館・情報サイト | |||
国 | 施設またはサイト管理 | サ イ ト の U R L | 備 考 |
ポーランド | ヴィーリチカ岩塩鉱の観光と塩博物館 | http://www.oar.noaa.gov/spotlite/archive/ spot_arl.html |
世界遺産を保護するための大気調湿に関する内容説明。観光施設の断面配置があり、地下130mに塩博物館がある。 |
http://www.to-poland.com/wieliczka.php3 | 岩塩鉱の歴史を解説 | ||
http://www.fordham.edu/halsall/mod/1850 Wieliczka.html |
さらに詳しい歴史を記述 | ||
アメリカ | 西バージニアの塩生産 | http://www.wvgs.wvnet.edu/www/geology/ geoldvsa.htm |
歴史を記述 |
カンサス地下塩博物館 | http://www.undergroundmuseum.org/index.php | 2007年に開館された新しい博物館 | |
http://www.geospectra.net/salt/museum.htm | カンサスの地下塩博物館の他にヴィーリチカ岩塩鉱についても記載 | ||
ニューヨーク州オノンダガ塩博物館 | http://onondagacountyparks.com/parks/salt_ museum/ |
簡単な記載 | |
中国 | 台湾塩博物館 | http://www.tainan.gov.tw/ENG/10082/edu-2. aspx |
|
古代の塩生産施設 | http://www.china.org.cn/english/2003/Aug/ 72220.htm |
四川−重慶地区の製塩史記述 | |
ドイツ | 塩博物館 | http://members.aol.com/saltmuseum/ | 簡単な記載 |
オーストリア | 塩博物館 | http://www.museum-hallstatt.at/ | ハルシュタットの塩博物館で記述が少ない。 |
イギリス | 岩塩鉱山 | http://www.geocities.com/mar1elene/ | チェッシャーの塩産業の歴史を記述 |
フランス | 天日塩田 | http://www.worc.ac.uk/departs/envman/Field Courses/RFS/FCsalt.html |
地中海沿岸の天日製塩に関する記述 |
ロシア | 製塩施設 | http://www.tribunes.com/tribune/sel/logu.htm | 塩生産史の記述 |
医薬品文献情報 | http://www.chemheritage.org/EducationalServices /pharm/antibiot/readings/salt.htm |
塩が最初の抗生物質であったことを記述 |