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低ナトリウム血症について知っておくべきこと

What You Should Know about Hyponatremia

By William Ritter

https://www.trainingpeaks.com/     

 

水はパフォーマンスの鍵であるが、良いことが多すぎる可能性があることが分った。

 

 1996年に走り始めた。ACSM(アメリカスポーツ医学会)がアスリートに合理的に耐えられる限り多くの水を飲むことを奨励するこのジャーナル記事を発表したのと同じ時期であった。このアドバイスは、おそらく今日まで私がまだ頻繁に水を飲み、ほとんどどこにでも水筒を持ち歩いている理由である。

 最近、私は以前よりも水の消費量について間違いなくリラックスしている。ACSMは、アスリートは少なくとも失うのと同じ量の水を飲むべきであると指導していたが、このガイダンスを最後に更新したのは2007年であった。「Waterlogged

や「The Lore of Running」の著者であるTim NoakesMySportScienceAsker JeukendrupPrecision HydrationAndy Blowなど、スポーツ科学者が行った高度な研究で発見されたデータと情報を受けて、我々は当時よりもはるかに多くの事を知っているようになった。

 夏の正式なスタートを迎えるにつれて、水分補給は一般的により重要になる。気温が高いほど汗が多くなるため、最高のパフォーマンスを維持するためには、より多くの水を消費する必要がある。

しかし、行き過ぎると、水分補給は衰弱させ、危険でさえある。探すべきことは次の通りである。

 

低ナトリウム血症とは何か?

 まず、暑さの中で最適なパフォーマンスと競合する条件に名前を付けよう:低ナトリウム血症。ハイポ、低を意味し、ナトリウム血症、血中ナトリウムを意味する。低ナトリウム血症は、細胞内空間の血中ナトリウム濃度が低くなりすぎた時に起こることである。

  血中ナトリウム濃度の正常範囲は135145 mmol/Lである。

  低ナトリウム血症は、血中ナトリウム濃度が135 mmol/Lを下回ると発生する。

  高ナトリウム血症は血中ナトリウム濃度が145 mmol/Lを超えると発生する。

 

低ナトリウム血症の原因

 低ナトリウム血症の主な原因は、人々が水分を過剰に摂取し、体液が低張になり、ナトリウムが十分でなくなることである。その他の原因には、過度の嘔吐や下痢、腎臓病(体がナトリウムを過剰に排出する原因となる可能性がある)、および特定の薬が含まれる。

 

低ナトリウム血症の症状

 低ナトリウム血症の症状は、検出が難しい場合がある。初期段階では、吐き気、痙攣、または単に無気力感の様に感じる可能性がある。脱水症状または通常のレース疲労に似た全ての症状がある。より深刻なケースでは、過剰な水分が血管から細胞に押し出され、指と足首が腫れる-持久力イベントの終わりに多くのアスリートが経験する浮腫を想像してみて下さい。極端な低ナトリウム血症は脳に影響を及ぼし始め、発作、昏睡、さらには死に至る可能性がある。

 もちろん、簡単な解決策は飲み過ぎないことである。実際、Tim Noakesは、喉が渇きに応じて本当に飲むべきだと提案している。これは24時間未満の比較的短いコース・イベントで有効な場合がある。それ以上の長いイベントでは、水分補給計画を勧める。

 

研究

 2005年から2013年の間に、フランクフルト鉄人の完走者を対象に実施された調査が行われ、全完走者の10%が低ナトリウム血症になり始めていることが確認された。ウルトラランの参加者に関する同様の研究では、参加者の50%以上が低ナトリウム血症であることが分かった。

 最後に、2015年にスペインの研究者が26人のよく訓練されたトライアスリートを対象とした研究では、プラセボ・グループと塩タブレット・グループがあった。トライアスリートは、好きなように飲むように言われた。彼等は12.70マイルのトライアスロンの間に3つの異なる間隔で5錠を摂取した。実際の塩の錠剤を服用したグループは、著しく速く終了した。プラセボ群は5:33±40分で終了したが、塩タブレット・グループは5:07±32分で終了した。

 

要約

 低ナトリウム血症を避けるためには、水分とナトリウムの摂取量のバランスを取ることが重要である。汗の量と組成を測定する汗テストは、このバランスをより良く理解するのに役立つ。また、暑さの中で運動するときは、腎臓の低下や低ナトリウム量を阻害する可能性のある薬など、危険因子に注意することも良いことである。低ナトリウム血症は深刻な問題になる可能性があるが、賢明に水分補給すれば、一般的な問題である必要はない。