戻る

ナトリウム電池は携帯電話の火災から守ることに一歩近づいた

Sodium Batteries Are One Step Closer to Saving You from a Mobile Phone Fire

By Robert F. Service

Science, April 19, 2019

 

 電池の中心を通してイオンを運ぶ液体の代わりに固体を使う固体電池は、電池の火災を減らす可能性のおかげで、数十億の投資を集めている。現在、研究者達は電気を貯蔵できる能力 を持った個体ナトリウム・イオン電池と数百回も再充電できる柔軟性のある電極を作り出した。さらに高価なリチウムの代わりにナトリウムを使う電池の使用は、小さな身に着けられる電子装置から太陽光や風力発電所まであらゆる物のためのより安いエネルギー貯蔵装置の開発が可能になる。

 オースチンにあるテキサス大学の電池研究者であるマリア・ヘレナ・ブラガは研究には参加していないが、電極の柔軟性は特に創意に富んでいる、と言っている。そして新しい電池は商品化の準備ができていなくても、安価な生産の可能性は、科学者達が電池を追求し続け易くしている、と彼女は言っている。

 今日、リチウム・イオン電池は王様で、携帯電話から自動車まであらゆる物のエネルギー源である。しかし、希に劇的な事例で可燃性液体電解質への依存は火災を起こす原因となる。研究者達はこの問題に取り組むためにリチウム固体電池を開発中である。しかし、コストの問題は取り扱っていない。ブルンバーグ新エネルギー財団による最近の解析は、リチウム需要は爆発的に増加し。2030年までに1500倍まで増加することを予言している。その金属はほんの一握りの国でしか採掘されないので、リチウム価格は高騰する可能性がある。

 アルカリ金属グループのナトリウムは類似の化学性を持っており、非常に豊富にあるので、多くの研究グループは過去10年間に個体ナトリウム・イオン電池を手作りしてきた。しかし、電極間でナトリウム・イオンが移動する非発火性固体を使う電池は早く消耗する傾向がある。1つの一般的な装置で、充電中にナトリウム原子が1つの電極(陰極)で電子を渡し、作動するために使われる電流を作り出す。今や正に帯電したナトリウム・イオンはその後第二の電極(陽極としていられている)に硫黄系電解質のイオンを運ぶことを通して移動する。その電極はセラミック酸化化合物で作られている。イオンが到達すると、陽極のサイズは大きくなる。その後、電池が再充電されると、印加された電圧により陽極からナトリウム・イオンが出て行き、電極は収縮する。イオンは陰極に帰り、そこで電子をもらう。しかし、反復する膨張・収縮は砕けやすいセラミックをひび割れさせ、固体電解質から分離させ、電池は壊れる。

 この問題に取り組むために、テキサス州ヒューストン大学の材料科学者であるYan Yaoが率いる研究者達はナトリウム、炭素、酸素を含む柔軟性のある有機化合物の陽極を作り、昨年、Angewandte Chemie International Editionで報告した。材料の柔軟性はバラバラに壊すことなく、硫黄系電解質との接触を失うことなく400回の充電サイクルの間、電極の膨潤・収縮できる。そして陽極は495 Wh/kgを蓄えられ、ほとんど通常のリチウム・イオン電池陽極よりもわずかに小さいだけである。しかし、研究者達はまだ問題を持っていた。硫黄系電解質は幾分壊れやすい。そしてナトリウム電池の動作電圧は電解質を分離する。

 Yaoのチームは陽極を再設計することによりこの問題を今や解決した。以前では、研究者達は柔軟性のある有機化合物を使った。PTOと省略された彼等の新しい化合物のそれぞれの分子は前の仕様の2倍も多いナトリウム・イオンを持っており、標準リチウム・イオン陽極とほぼ同等の587 Wh/kgを電池に持たせられる。一方、陽極の柔軟性は電池に500回の充電と通常のナトリウム・イオン電池の能力に近い電池の蓄電能力の89%を保持しながら放電サイクルをできるようにする。ボーナスとして電池は低電圧で動作し、電解質を無傷で維持できる、とチームは今日、Jouleに報告している。

 さらなる耐久性が改善されると、非燃性電池は次世代の着用装置に蓄電できるような多くの低電圧用途ができる。しかし、電気自動車のような電圧を必要とする用途のために、研究者達は別のパラメーター:2つの電極間の電位差(ボルトで測定)を高める必要がある。Yanのグループは-その他の問題の中でフッ素を加えて-電位を高めるために有機性電極を改造しようと試みている、とYanは言っている。