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氷上の塩

Salt on Ice

By Sabine De Brabandere

Scientific American, March 7, 2019

 

はじめに

 どうして冷たい飲物中の四角氷が次第に小さくなり、あるいはどうして氷が溶けるにつれて表面がつるつるになるかを不思議に思ったことはないか?氷は常にこのように溶けるのか?

 この現象で、水風船を使って大きな氷塊を作り、どのように溶けるかを観察する。大きな氷塊の上にひとつまみの塩を置いたときの影響を予測できますか?

 

背景

 全ての物質は小さな粒子で出来ており、これらの小さな粒子がどれだけ動くかの尺度は温度である。氷のような固体中の粒子でも動く-粒子は振動している。しかし、粒子は冷たいのであまり振動しないでお互いに保持し合っている。水の場合、粒子は規則正しい格子の中に並んでいる。

 氷が空気や液体に囲まれたとき、室温で氷は周囲から熱を吸収する。その結果、氷の中の小さな粒子は大きく振動し始める。境界にある粒子の結び付きは緩んで、水と氷の上を自由に流れる。この段階では水と氷が共存する。これが動作過程である-ある粒子は壊れて離れ、一方、他の粒子は固体に着いている。周囲が高温であるので、我々が溶けた氷を見るように再付着よりも壊れて離れて行きやすい。純水では、この水と氷との共存は華氏32(0)で起こる。周囲の温度が低ければ、熱は周囲へ流れ、水粒子を冷やす。その結果、より多くの粒子が格子に着き、我々は氷が出来るのを見る。

 食卓塩(塩化ナトリウム)が水に溶けるとき、その結果、ナトリウム原子と塩化物原子は水粒子の中に加えられる。これらは水粒子が規則正しい格子内に水粒子を並べ、氷の固体にすることを一層難しくする。どうして塩水が氷になる前に華氏32度以下に十分に塩水を冷やす必要がある理由がこれである。

 純粋な氷が室温で塩水溶液に取り囲まれているとき、氷の境界にある粒子は熱を吸収し、緩やかに壊れて自由に流れ出す。同時に、ある水粒子は再付着しようとする。ナトリウム粒子と塩化物粒子も同様で、水粒子が再付着して氷になりにくくし、氷をより早く溶かす原因となっているか?この動作を確認して下さい!

 

材料

  少なくとも2つの水風船

 

  フリーザー

  オーブン手袋

  小さな皿

  コップ

  食卓塩

  スポイド、シリンジ

  好ましくは液体の食用着色料

  濡らせる作業場所

  作業場所を拭き取るタオル

 

準備

  実験をしようと計画する前日に風船に水を入れ、口を結んで夜間に凍らせる。実験をしようとする人のために少なくとも2つの風船を凍らせる。

  実験をする前にコップに水を入れ、食用着色料を加える。

  実験するために濡れてしまう場所を選ぶ。

 

手順

  オーブン手袋を着け、フリーザーから2つの凍らせた水風船を取り出す。

  風船を剥ぎ取り2つの氷塊にする。(氷塊は球というよりもむしろ洋梨型であり-これで良い。)

  各氷塊を小さな皿の上に置き、次にそれぞれを隣り合わせる。氷塊に塩を振り掛けると、何が起こると思うか?

  各氷塊の上に約1/8スプーンの塩を振り掛け、塩を濡らすために2,3滴の着色水を加え、観察する。

  2,3分間待つ。何が起こるか?予想通りか?

  左側の氷塊の上にもっと着色水をたらす。他の氷塊は何もしないでおく。1つの氷塊が他の氷塊よりも早く溶けると思うか?もし思うのであれば、どちらであり、そしてどうしてか?

  観察し、ときどき左側の氷塊に水を垂らし、他の氷塊には触れないでおく。スポイドを使い皿の上に集められた水を吸い取り、それを左側の氷塊の上に垂らして戻す。オーバーフローしそうになったら、皿から水を捨てる。1つの氷塊が他の氷塊よりも早く溶けるか?どうしてそうなると思うか?

  ときどき両方の氷塊の上に塩を振り掛け、塩を濡らすために続けて着色水を2,3滴垂らす。もっと塩を加えると何が起こるか?

  氷に現われる模様を見られるか?もし見られれば、2つの氷塊の上の模様は同じか?観察したことを説明できるか?

  余分な実験:食用着色水、塩、水を加えて楽しむ。美しい模様が見られるか?

  余分な実験:溶けている氷塊の後ろに照明灯を置き、どのような模様が照らし出させるかを見る。

  余分な実験:氷塊の上に2,3滴の水を加えない、または塩水を垂らさないで、塩を振り掛ける他の実験を試す。これらの変化は氷塊に異なった影響を及ぼすか?どうしてそうなると思うか?

 

観察と結果

 濡れた塩と接触している所では、どうして早く溶ける氷を見たのか?左側の氷塊の上に溶けた水の流れが現われたか、そして他の氷塊の上では氷に深い孔をあけるか?

 氷が溶けるとき、水と氷は共存する。塩粒子は水粒子が氷の上で再氷結しにくくするので、溶けた塩と接触している氷はより早く溶ける。塩水が表面を流れるとき、その通路の氷を溶かし、氷塊の表面に川のような溝を作る。塩水が右側の氷塊の場合のように1ヶ所に留まれば、氷の中に向かって孔をうがち、鋭い突起部を作り出す。食用着色水はこれらの模様をより見やすくする。

 水を加えないで氷の上に塩を撒いたとき、塩は溶けた水の中で溶け、同じ効果をもたらす-結果を見るまでに少し長くかかるだけである。