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塩と体重増加との間の驚いた関係

The Surprising Link between Salt and Weight Gain

塩摂取量を減らすことは健康に良い消化器の菌叢維持に役立つ。その菌叢は健康に良い体重と関係している。誰がそのことを予想したか?

By Monica Reinagel

Scientific American August 4, 2018

 

 塩を多く摂取する人々は体重を増加させる傾向がある。しかし、多分、考えている理由からではない。塩を多く摂取することは体の水分を多く維持し、それで体重は増加する。しかし、ここでは水の重さについては議論しない。高塩摂取量食は体脂肪増加と関係しているように見える、特に中年頃に蓄積する脂肪の種類である。

 これについて2,3の明らかな説明がある。第一に、どんな食品の種類が高い塩含有量の傾向にあるかを考える:スナック、チップス、ファーストフード、フライド食品、加工食品、レストランの食事である。パンは西欧の食事で主たる塩摂取源の一つであることを知って驚くかもしれない。

 これらの高い塩含有量食品の全てはカロリーも比較的高い。それだけでなく、容易に食べ過ぎることになる。したがって、食事で多くのスナック、チップス、パン、揚げ物食品を食べ、レストランで食事をすれば、多くの塩を摂取するだけでなく、多分多くのカロリーも摂取する。そのことは塩と体重との関係を確かに説明している。

 他にもいくつかの可能な説明がある。より多くの塩を摂取することは食欲を増し、もっと食べるようになる。塩辛い食品は喉を渇かし、ソーダ水やビールのようなカロリーのある飲料の摂取量を増加させる。(バーで塩辛いスナックが入ったボールに手を出すとき、確かに飲みたくなる!)

 塩含有量の多い食事がより高いカロリー食であるとすれば、どうして多くの塩を摂取する人々が体重も増加させるかというのは謎ではない。しかし、当時の2015年の研究は、カロリー摂取量が高くなくても、高い塩摂取量は肥満とウエスト周りを大きくすることと関係していることを明らかにしていた。

 これは説明するにはちょっと難しい。しかし、ある新しい研究者は、塩と肥満との間の関係は微生物群も関与していることを示唆している。

 ベルリンのマックス・デルブリュック分子医学センターのドミニク・ミュラーの研究グループは、高塩摂取量食は消化器内の有益なラクトバチルス菌(体重増加に寄与しているらしい)を殺すらしいことを示す新しい研究からのデータを発表したばかりであった。逆に塩摂取量を減らすことは健康に良い消化器内菌叢を維持することに役立つらしい。菌叢は健康な体重と関係している。誰がそのことを予想したか?

 もちろん、高塩食は血圧を上昇させる傾向も持っている。塩摂取量が水分保持と血液量にどのように影響を及ぼすかを絶えず仮定してきた。しかし、消化器内細菌の変化が役割を演ずることがありえるか?潜在的にあり得る。

 

  “積極的な微生物補給がある日、人の高血圧に有効な治療法となることがありえるか?

時が語ってくれるだろう。”

 

 ミュラーのグループは、とにかくネズミで高塩食と一緒に微生物を投与することはネズミの消化器内菌叢を復活させるだけでなく、血圧も下げることを明らかにした。彼等は人でこのことをテストする研究についての承認を現在待っている。しかし、予備的な結果は、血圧に及ぼす塩の効果と消化器内細菌に及ぼす塩の効果は関連していないことを確かに示唆している。

 多分、血圧は体機能の発育にリストではまだ別のことで、それらの機能は大脳化学、コレステロール量、免疫機能、消化、ホルモン、血液糖代謝、そして体重管理と共に我々の腸内細菌によって影響を受ける。そしてわずか2,30年前のことを考えると、これらの小さな生物全てがそこに居ることさえ疑いもせず、それらが示されているように大きな働きをしていることを我々はあまり考えなかった。

 積極的な微生物補給がある日、人の高血圧に有効な治療法となることがありえるか?

時が語ってくれるだろう。一方、過剰な塩摂取量を避けるだけで健康により良い細菌群を保持するのに役立つか。減塩は高度に加工されカロリーの高いジャンクフードの摂取量を制限することも意味しており、そうすればなお良い!

 塩振り出し器を禁止することは全くない。もっと手を加えていない食品や最低限に加工された食品を食べることだけに集中すれば、食べ物が塩辛いと感じても、多分、自ずと塩摂取量は調整される。たまたま手を加えていない食品や最低限に加工された食品をもっと食べると言う同じ戦略は血圧を下げるにも、体重を管理するにも良い方法でもある。消化器内菌叢はこれを全て互いに結びつける輪であるかもしれない。

 新しい研究が利用できるようになるにつれ、ここで述べたことについて耳にするようになるだろう。一方、遠慮なく栄養に関する疑問を私のフェイスブックに送って下さい、そこで話し合いましょう。