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塩の解禁時期:高血圧に関する科学が本当に示していること

数ポンド減量することは塩振出器を避けるよりも心血管の健康を促進させるより良い方法であるかもしれない

Open Season on Salt: What the Science on Hypertension Really Shows

By Melinda Wenner Moyer

Scientific American September 26, 2012

 

 塩についての最近のニュース報道は、日頃禁じられているピザや冷たい切身を両親によく考えさせるに十分である。小児科学誌に先週発表された研究は、子供達が医学研究所(IOM)が成人に勧めている量の2倍以上に当たる平均して7.6 – 10.2 gの塩を食べていることを明らかにした。組合新聞やUSA Todayを含むニュースが説明しているところでは、研究によると、最も塩摂取量の多いアメリカ人子供の1/4は最低の摂取量である1/4の高血圧を発症させ易い2 – 3倍である。これらの物語から宿題のメッセージは明らかで:子供達は減塩する必要があり、さもないと重要な健康問題で悩むことになろう。

 それは説得力のある主張である。問題はそれが悪いかもしれないことだ。

 これらの論文が参考にしている研究はアメリカの疾病予防管理センター(CDC)の研究者達によって発表された物であるが、子供で塩摂取量と高血圧との間に統計的に有意な関係を実際に見つけていなかった。何人かの部外者が述べている危険率の2倍または3倍はいずれは正確な結果の記述ではない。筆頭者のQuanhe Yangがインタビューでサイアンティフィック・アメリカンに説明しているように、高塩摂取量は、子供達が高血圧または前高血圧になるオッズを2(この2倍は統計的に有意ではない)にするが、オッズと危険率は二つの非常に異なった事柄である。“このオッズ比を危険率比に変える最良の方法は分からない”とYangは言うが、彼が推測しなければならなかったら、危険率は多分、オッズ比よりも低くなるだろう。

 Yangの研究は説得力のある洞察を提供している。肥満または過体重の子供達の間で、塩摂取量の増加は比較的高い血圧と関係しており、統計的に有意な関係であった。肥満は成人と子供で高血圧危険率を増加させることを科学者達は前から知っていたが、CDCの研究は、過体重になることは子供達を塩の血圧上昇効果にもより感受性にするらしいことを示唆している。

 それでも子供達の血圧変化は大きくはなかった:最も多くの塩を摂取する(平均約11.7 g/d)過体重の子供は112.8 mmHgと言う平均収縮期血圧であり、一方、最低摂取量(平均5.8 g/dの塩)の子供達は109 mmHgと言う平均収縮期血圧であった。(二つのグループの平均拡張期血圧は同じであった。) 換言すれば、過体重と肥満の子供達の間では、塩摂取量の2倍は収縮期血圧で3%の増加と関係していた。この差は個々人については臨床的に有意でないかもしれない。“収縮期血圧は毎分毎に5 mmHgくらいも変化する”とアルバート・アインシュタイン医科大学の名誉教授でアメリカ高血圧学会誌の主任編集者であるミカエル・アルダーマンは言っている。

 しかし、3%の平均収縮期血圧差は総合的な公衆保健についての結果をもたらすだろう。しかし、より多くの塩摂取量は実際に血圧を上昇させるかどうかと言うYangの研究から語ることは出来ないと彼は言っている。“これは横断的研究で:我々は因果関係について何も言えない、”と彼は説明している。彼と同僚は潜在的な混乱変数について管理しようと試みたが、より多くの塩摂取量の子供達は高血圧の素因となる他の習慣(例えば、塩摂取量の多い子供達はソフトドリンクも多く飲み、そのことは血圧上昇とも関係していることを研究は示唆している)も持っている可能性がある。事実、塩が高血圧を引き起こすと言う記述を研究は常に支持していない:インターソルトとして知られている大規模、多数センター研究は、1988年に10,000人以上の人々で重要な塩摂取量の正確な指標である尿中ナトリウム排泄量と高血圧を比較し、それらの間には統計的に有意な関係を見出せなかった。事実、最も多くの塩摂取量の人々は最低摂取量の人々よりも低い中央血圧値であった。

 子供達が減塩するだけで、もっと良くなるだろうと言う説明については何があるのか?CDCIOMを含めて政府機関は全人口に減塩を主張しているが、何人かの研究者達はこれらの政策を支持している科学に疑問を呈している。“減塩は血圧を下げるが、早死する危険率を減らせないかもしれない”とポーランドのジャジーロニアン大学医学部の心臓学者であるKatarzyna Stolarz-Skrzypekは説明している。

 JAMAに発表された2011年の研究で、Stolarz-Skrzypekと彼女の同僚は3,681人の尿中ナトリウム排泄量と8年間の実験中の死亡危険率を比較した。驚いたことに、被験者の塩摂取量が多くなるほど、それだけ彼等の死亡は少なくなるらしいことを彼等は明らかにした。特に、最低塩摂取量の人々で死亡率は4.1%であったが、塩摂取量の多い人々ではわずかに0.8%であった。

 この奇妙な傾向の背景にある一つの要因は、低塩食が血圧を下げるだけではないことである。“減塩はインシュリン抵抗増加のような他の生理学的変化を引き起こし、それが糖尿病の舞台を設定し、心疾患による死亡の危険率を増加させる”とStolarz-Skrzypekは言っている。“非常に少ない塩摂取量は交感神経活性も増加させ、そのことは心臓発作の危険率を上昇させ、心血管系に悪い副腎によって生産されるホルモンであるアルドステロンの分泌を促進させる。”WHOによって一部財政援助を受けた国際的な独立した非営利研究機関であるコクラン共同研究によって発表された2011年レビューは、低塩食が“いくつかのホルモンや脂質の増加”と関係していると結論を下した。それらの物質は、時間が経過しても永続的に存在すれば、有害になる。

 別の方法で見ると、CDC研究は、過体重児や肥満児の両親は減塩ではなく、減量に焦点を置くべきであることを示唆している。成人と子供の両方による多数の研究は、塩が及ぼすよりも体重は血圧により大きな影響を及ぼし、一度子供達が健康な体重に達すると、非常に多くの塩を食べても問題を起こさないらしいことを示唆している。その上、肥満から適正な体重になることは血圧だけではなく、ガン、鬱病、二型糖尿病のような病態についての危険率も低下させる。数ポンド減量すること容易ではないが、調理中や食卓で加える塩よりも店で購入する加工食品から塩摂取量の推定75%が来ていることを考えると、減塩も容易ではなく、結局、減塩することは、我々が減塩で思っているほどには我々にとって利益がないかもしれない。