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公衆保健に対する危険?科学者はもっと塩を食べるように促す騒動

A Danger to Public Health? Uproar as Scientist Urges Us to eat More Salt

 

対立:ジェームス・ディニコラントニオの新しい本では、塩は我々をより健康にすると主張する。しかし、専門家達は潜在的な危険物として忠告してきた。

 

By Sarah Boseley

Guardian  2017.08.08

 

 イギリスの公衆保健専門家達は、我々の多くは少なくではなくもっと塩を食べるべきと主張する新しい本に-アドバイスは人々の健康を危険にさらすと主張して反論した。

 ニューヨークの科学者ジェームス・ディニコラントニオは彼の書籍「The Salt Fix」で、世界保健機関とアメリカおよびイギリスの食事に関するアドバイス団体の減塩アドバイスは良くないと言っている。塩は必要で我々にとって良い物である、と彼は言う。食事でもっと塩を食べることは砂糖の量を減らし、減量に役立つと、彼は言う。事実、低塩食は骨を脆くし、忘れやすくし、もっと塩を食べると糖尿病が治る、と彼は主張する。

 “塩欲求を無視する代わりに、満たすべきだ-欲求は健康を改善する。我々のほとんどは低塩食を食べる必要はない。事実、我々のほとんどにとって、もっと塩を食べることは健康を害するよりもむしろ改善する。”と書籍で主張している。その書籍はイギリスのメディアで彼の考えに注目を集めた。“一方、これまでずっと我々が悪者にしてきた白い結晶は別の物に置き換えられた。それは非常に甘いので我々はそれが悪い物と信じられなかった。過剰に摂取された白い結晶は高血圧、心血管疾患、慢性腎臓疾患を引き起こす:それは塩ではなく砂糖である。”

 しかし、イギリスで足場を固めるディニコラントニオの書籍の販売促進に反対している公衆保健イングランド(PHE)は、彼のアドバイスは間違っているだけでなく危険であると言った。PHEの栄養科学部長であるルイス・レビー教授は次のように言った:“食事は今や不健康の主因である。高塩食を擁護することによって、この書籍は多くの健康を危険に置き、高塩食は心疾患に危険として知られている高血圧と関係していることを示す国際的に認められているエビデンスを阻害している。”

“食品中の塩を減らすように食品業界の一緒にしてきた我々の仕事は既に11%低下したイギリスの摂取量で見られるし、世界的に訴えるモデルとして見られている。”

 騒動は飽和脂肪酸やコレステロールを巡る再び始まった論争のような他の食事論争にもある。しかし、塩に関するエビデンスは、塩と健康に関する世界行動(CASH)運動を主催している心血管医学教授のグラハム・マクレガーによると論争の余地がない。CASHは我々の食事で最大の塩供給源である既成食品中の塩濃度を下げるようにファーストフード会社に圧力をかける行動を取るように政府を説得することに成功した。

 “彼は自分の意見に表題を付けたが、それは全て2,3の研究に基づいており、研究は間違っている。塩の関するエビデンスの全体性を見れば、砂糖と飽和脂肪酸または果物と野菜についてよりもポジティブな方向でずっと強い。我々は全ての疫学、移住研究(人々が別の国に住むために移動し、食事を変えた)、治療試験、死亡そして今では諸国の試験結果を得ているので、エビデンスは圧倒的である。”とマクレガーは言った。

 “フィンランドは塩を減らしてきた。イギリスも減らしてきて、心臓死に大きな低下があった。塩の重要性に本当に反対できないが、塩を否定する人々は必ず1,2人いる。”

 今や砂糖に関する行動も運営しているマクレガーは次のように言う。ディニコラントニオは“多分、全く善意からであろう”が“世界の死亡は全て砂糖によるためと考えている”人々の一人である。

 しかし、BMJオープン・ハート誌の准編集者であり、セント・リュークの中央アメリカ心臓研究所の心血管研究科学者であるディニコラントニオはPHEやアメリカ心臓協会のような団体が何と言おうとつじつまが合っていないと言う。アメリカ心臓協会は5.8 g以下の塩摂取量を勧めており、ほとんどのアメリカ人はその半分以下に減塩すべきであると言う。

 “平均的なアメリカ人の塩摂取量は多すぎるので、6.1 g/d以下にまで減塩することは血圧と健康を大きく改善する”と言い、塩摂取量の75%は加工食品、包装食品、またはレストランの食事から来ている。

 低塩食が大部分の人々の血圧を下げるエビデンスはないとディニコラントニオは言う。“医学文献のエビデンスは、正常血圧者(120/80 mmHg以下)の約80%は塩の血圧上昇効果に全く感受性がないことを示唆している。前高血圧者(高血圧の前兆がある人)の間で、およそ75%は塩に対して感受性がない。そして完全な高血圧者の間でも、約55%は血圧に関する塩の効果に対して全体的に免疫がある、”と彼は書いている。

 イギリスの食事で約9 gから6 g/dの塩摂取量に低下させることを支えている栄養に関する政府の科学勧告委員会(SACN)は、2003年報告書で高塩摂取量は高血圧を引き起こすことを示唆している動物や人の試験を数多くリストアップしている。しかし、データ収集が難しいので、原因と思われる心疾患と死亡についての多くの事例に基づいた結論を得られていない。

 しかし、2013年に集団についての減塩の影響を見たThe National Institute for Health and Care Excellenceは、政府の戦略は毎年20,000人の心臓死を減らしたと言った。

 ディニコラントニオも、我々は酷暑の中で運動あるいは汗をかくと、多くの塩を失うと主張している。マクレガーはそうではないと言う。“砂漠に落下傘で降下した特殊空挺部隊による非常に良い実験があった。それにより彼等は全く低い塩摂取量しか必要としなかったことが分かった。高い塩摂取量であると、もっと危険になる。喉の渇きのために彼等は多くの水を携行しなければならなかった、”と彼は言った。

 ガーディアンに話したところによると、ディニコラントニオはPHEからの批判をはねつけた。その批判では、彼の書籍が人々の健康を危険にする。彼は“正常な”塩摂取量を主張し、それは7.6 – 15.2 g/dの塩摂取量である。しかし、彼はそれが高塩食ではないと言っている。“さらに、高塩食が本当に人々の健康を危険にするとすれば、どうして一番多くの塩を摂取している人々(日本、韓国、フランス)は世界で一番少ない冠状心疾患率で一番長寿であるのか?”と彼は言った。

 “塩欠乏の危険性にある人々が事実上数百万人いるので、低塩食で人々は危険である。アメリカだけでも6百万人以上が毎年血液中のナトリウム濃度が低いと診断されている。”