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常識を求めて:塩摂取量、心臓の健康と死亡

In Search of Common Sense: Salt Intake, Heart Health and Death

By Faye Flam

Chicago Tribune, 2016.06.06

 

ここに塩の逆説がある。

 一方には疾病予防管理センター長のトーマス・フリーデンがいる。減塩は数十万人の命を救う、とアメリカ医学協会誌で彼は述べ、アメリカ人の90%は塩を摂取し過ぎていると警告した。

 しかし、今度は研究で別の方向を指摘する疫学者がいる。彼等は塩と心臓発作や脳卒中による死亡との関係を追跡し、塩摂取量の多い人はまもなく死ぬが、平均的なアメリカ人の摂取量からの明らかな危険性はほとんどないことを彼らの研究は示している。それは通常1日当たり3,400 mgのナトリウムとして表され、およそ茶さじ匙1杯半の塩に相当する。塩は健康上の災いを引き起こす物ではない。アメリカの塩摂取量は数十年間ほぼ一定であり、世界の平均値とほぼ同じである。

 逆説には解決策がある、範囲内の塩摂取量は安全である。平均の推奨摂取量を下げることは高い摂取量にある多くの人々をより健康的な範囲に引き下げることを合理的に予言できる。したがって、生命はアメリカ食品医薬品局(FDA)の新しいガイドラインのお蔭で本当に救われるかもしれない。それは先週発表され、包装食品やレストランの食事中のナトリウムを減らすことを主に目的としていた。

 まだ分かっていないことは、誰もが減塩する必要があるのか、またはどれ位多く減塩する必要があるかどうかということである。FDAの新しい推奨最高値は1日当たり2,300 mgである。アメリカ心臓協会はもっと少ない量の1,500 mgを勧めているが、その値はますます守れなくなっている。

 23年前に医学研究所は利用できるエビデンスを調査するために調査委員を招集した。医学研究所は1日当たり2,300 mg以下の推奨摂取量を支持するエビデンスを見つけられなかった。減塩は有害であるかもしれないデータにヒントがあった。

 委員長であったラトガーズ大学医学教授のブライアン・ストロムは、心臓協会の勧告値の根拠は“全く合理的でない”と何回かの事前のインタビューで私に語った。

 要するに、勧告はゼロ容認政策である。何故なら、栄養を補給するために十分な食品を食べれば、1,500 mgは摂取可能なナトリウムの最低量であるからだ。すなわち、塩を加えた物を何も食べなくても、食べた植物や動物に自然に入っているナトリウムから約1,500 mgを摂取できる。

 塩のゼロ容認は警告の逆効果量からも来ている。多い塩摂取量は血圧を上昇させ、高血圧者に危険であると言う客観的な科学的観察からゼロ容認は始まった。そこで減塩が高血圧者に良ければ、誰にでも少なければ少ないほど良い、と言う仮定によって論理の飛躍が生ずる。

 しかし、塩は食事の悪者ではない。塩の必要性はヒトの生化学に深く刻み込まれている。血流の中で塩は電荷を持つイオンに分かれている。細胞エネルギー貯蔵の基であり、神経系の複雑な回路の推進物である。塩はそのような十分な役割を果たしており、少なすぎる摂取量または多過ぎる摂取量は我々を殺すことになるのは道理にかなっている。

 健康に良い範囲は何処なのかが疑問だ。医学会の伝統的な勧告は全面的に血圧に焦点を置いていることから来ている。しかし、研究者達が総合的な心臓血管の健康の代わりとなることを探し始めた時、驚くことが起こった。例えば、塩摂取量と心疾患や脳卒中による死亡と直接的に結び付けようと試みた2014年の研究は、最低の死亡率は1日当たり3,000 – 6,000 mgの摂取量である人々であったことを示した。そのことは平均的なアメリカ人の塩摂取量パターンが安全な範囲にあることにした。

 一つの研究に基づいて誰も行動を変えないが、他の研究も同様の中間範囲で最低の死亡率であることを明らかにした。

 高血圧が危険だとすると、1日当たり6,000 mgと言う高い摂取量に到達するまでに死に始めることはない、と驚くようなことになる。アルバート・アインシュタイン医学校のミカエル・アルダーマン教授は、遺伝子、ストレス、肥満を含む他の要因は正常な血圧を維持する体の能力の破壊することになる、と指摘してきた。塩からい食品は第一原因ではない問題を悪化させるかもしれない。彼はまた、非常に低い塩含有量の食事には有害性はないとする仮定に疑問を持っている。そのような食事は心疾患の危険因子であるトリグリセライドを生じさせるらしいことをいくつかの研究はほのめかしてきた。栄養研究者のデビッド・マッカロンは3,000 mg以下に下げることは危険であると言っているニューヨーク・タイムズに引用されている。

 医学研究所の委員長であるストロムはこれを支持していない。最低の塩摂取量の人々で高い死亡率を示す研究では、死亡を引き起こすのは塩の欠乏ではないかもしれない、と彼は指摘してきた。その代わり、そのグループの人々は非常に低い塩含有量の食事をしているのかもしれない。彼等は健康問題を抱えている、または病気であるためにより少ない塩含有量の食品を食べているだけ、と診断されてきたからだ。幸運にも調理する配偶者がいるので、約2,300 mgを摂取している、と彼は私に語った。

 健康な範囲に何らかの余地があることは完全に合理的である。完全でなくても人々は成長できるように進化してきたからだ。その安全範囲には実質的に個人差もあるだろう。食品医薬品局のガイドラインが消費者に害をもたらすことはなさそうなことは良いニュースだ。提案は非常に塩辛いスープ、チップス、焼き商品、サラダといった食品の減塩をしなければならない食品産業界を元気づけるだろう。その変化は誰も塩欠乏の危険にさらさない。

 そのような変化が食事の楽しさを損なうかどうかは味の問題である。ある人々は塩辛い加工食品やファーストフードを美味しいと思っている。多くの塩を加えなければ、家庭で作る食品が美味しい、と私は主張してきた。