集団のナトリウム摂取量
事実の調査
SODIUM INTAKE IN POPULATIONS
ASSESSMENT OF EVIDENCE
集団のナトリウム低減結果に関係する委員会
食品と栄養委員会
集団保健と公衆保健実施に関する委員会
Brian L. Strom, Ann L. Yaktine, and Maria Oria, Editors
全米科学アカデミー医学研究所
INSTITUTE OF MEDICINE
OF THE NATIONAL ACADEMIES
THE NATIONAL ACADEMIES PRESS
WASHINGTON, D.C.
知ることだけでは充分ではない、それを使わないといけない。やる気だけでは充分ではない、実行しないといけない。 ― ゲーテ
(訳者注:210ページにわたる論文の最初から要約までの部分を抄録した)
全米アカデミー
科学、技術、医学に関して国に勧告する機関
全米科学アカデミーは民間非営利団体で科学技術研究に携わっている著名な学者で構成されており、科学技術の推進と公衆の福祉に貢献する。1863年の会議で承認された憲章の権威に基づいて、科学と技術に関する事項について連邦政府に勧告する権限をアカデミーは持っている。
全米技術アカデミーは全米科学アカデミー憲章の下で顕著な技術の並列機関として1964年に設立された。その業務執行や委員の選定は独立しており、連邦政府に勧告する全米科学アカデミーの責任を分担している。全米技術アカデミーも国家の必要性に応えることを目的とした技術計画を資金援助し、教育や研究を奨励し、技術者たちの優れた業績を認める。
医学研究所は公衆保健に関する政策事項の調査に適正な専門知識を持つ優れたメンバーの仕事を支援するために全米科学アカデミーによって1970年に設立された。連邦政府に対する忠告機関であれとする会議憲章によって全米科学アカデミーに与えられた責任の下に自主的な判断で医学、研究、教育の諸問題を明らかにするために研究所は行動する。
序 文
心疾患と脳卒中は主要な心臓血管疾患でアメリカでは男女とも死亡の主因である。高血圧、高濃度の低密度リポタンパク質、喫煙のような心臓血管疾患の大きな危険因子がアメリカの国民の中でしばしば発見されている。しかし、貧しい食事のような他の要因も高血圧や疾患の危険率に寄与している。40年以上もの間に、心臓血管疾患も含めて非伝染性疾患の危険因子としてナトリウム摂取量の寄与を巡って論争されてきた。数多くの国内と国際的な機関と政府は高いナトリウム摂取量に対して国民に忠告してきた。研究者達はナトリウム摂取量低減で救われる死亡数を予測するために血圧低下に基づいたモデルを応用してきた。ほとんどのバイオマーカーは悪い健康結果の危険性の指標としての使用限界はあるが、心臓血管疾患や脳卒中の危険性の代用指標として血圧についてのエビデンスは広く認識され受け入れられている。しかし、ナトリウムは血圧の他に様々な機構を通してその機能を果たしているかもしれない。したがって、ナトリウム摂取量低減戦略はナトリウム摂取量と直接的な健康効果との間の関係を示す研究を考慮すべきである。ナトリウム低減政策は直接的な健康結果に基づく研究に従うべきであることには一致しているが、ナトリウムと直接的な健康結果との間の関係を調べた無作為化比較対照試験と観察研究はほとんどなく、多くの異なった方法で説明されてきた。これらの差は食事の長期間の健康効果や食事で摂取される個別の栄養素を正確に測定することの難しさを強調している。
2005年に、食事摂取量基準に関する作業として医学研究所は中間的な結果と直接的な健康結果の両方を含めて、ナトリウムと健康効果との間の関係に関する科学文献のレビューを行った。それ以来、より多くの文献が集められてきたが、論争は続き、現在のアメリカ人の食事ガイドラインと一致しているナトリウム政策を説明する妥当性が低下してきた。これらの積年の論争に新たに加わったことは、いくつかの集団グループについてあまりにも低いナトリウム摂取量の潜在的な逆効果に関する緊急的なエビデンスである。科学文献の徹底的な調査の必要性が明らかになった。アメリカ合衆国保健福祉省の疾病予防管理センターは、この緊急的なエビデンスの設計、方法論、結論を調査し、国民のナトリウム低減戦略についての結果の意味をコメントするために医学研究所に専門委員会を招集するように要請した。当局に対する特別な関心は特に危険であると述べられてきた集団や関連したグループでナトリウム低減の利点や欠点を調査することであった。これらのグループは高血圧者や前高血圧者、51歳以上の老人、アフリカ系アメリカ人、糖尿病患者、慢性腎臓疾患患者、鬱血性心不全者である。委員会は注意深く広範囲な文献レビューを行った。公開研究会も行われ、委員以外の専門家が最も議論のあるデータを提示し、第三者が関連した問題に関して自分たちの立場を述べる機会を提供した。作業部会の発言者の貢献や委員会によって収集された追加的な情報は討議で非常に貴重であった。
Brian L. Strom, Chair
Committee on the Consequences of
Sodium Reduction in Populations
要 約
過去数十年間にわたりアメリカ合衆国はナトリウム摂取量の低減に努力してきたにもかかわらず、成人は毎日平均3,400mgのナトリウム(塩として8.64 g)をまだ摂取している。多くの科学団体、アメリカ心臓協会、アメリカ医学協会、アメリカ公衆保健協会を含む専門的な保健機関は減塩を支持しており、2010年のアメリカ人の食事ガイドラインは目標として1日当たり2,300 mg以下のナトリウム摂取量(塩として5.84 g)に下げ、さらに51歳以上の老人やアフリカ系アメリカ人あるいは高血圧、糖尿病、慢性腎臓疾患のどの年齢の人達でも1,500 mg(塩として3.81 g)まで下げさせようとしている。
エビデンスの実態はナトリウム摂取量を下げるこれらの努力を支持している。このエビデンスは過剰のナトリウム摂取量を高血圧、心臓血管疾患、脳卒中、心臓に関連した死亡について代わりとなる指標(訳者注:血圧のこと)と関連付けている。しかし、低ナトリウム摂取量は血中脂質、インスリン抵抗性を含むいくつかの危険因子に悪い影響を及ぼすかもしれず、したがって、心疾患や脳卒中の危険率を増加させる可能性がある。事実、いくつかの最近の報告はこの危険率を減らす戦略として集団のナトリウム摂取量を減らすことに挑戦してきた。
委員会の課題と取り組み方
集団のナトリウム摂取量低減に関する疑問の背景に対して、アメリカ合衆国保健福祉省の疾病予防管理センターは、2005年の食事リファレンス摂取量に記載されている水、ナトリウム、塩化物、硫酸塩についての食事リファレンス摂取量以来報告された他の報告書とともに設計、方法、この緊急のエビデンスからの結果を調査するために専門委員会を招集するように医学研究所に要請した。関連グループで強調されている1日当たり1,500から2,300 mgという特別な範囲に集団のナトリウム摂取量を下げることについての利益と(あるとすれば)悪い効果を特に委員会はレビューし、調査するように要請された。これらのグループには高血圧者と前高血圧者、51歳以上の老人、アフリカ系アメリカ人、糖尿病、慢性腎臓疾患、鬱血性心不全の人々が含まれる。委員会はまた、ナトリウム摂取量を減らす集団基準の戦略についての説明に関してコメントし、データや方法論の齟齬を明らかにし、齟齬を明らかにする方法を示唆している。
その課題の取り組みで、委員会は最初にナトリウムと直接的な健康結果に関して関連した科学的出版物を明らかにするために2012年を通して公表文献の幅広い調査を行った。委員会は、直接的な健康結果の頻度がナトリウム摂取量の変化にどのように関係しているかについてのデータを提供した2003年以前に公表された研究を明らかにできなかった。情報は公的作業部会からも集められた。その後、委員会は研究からの関連事項として明らかにされた各研究を定量的に調査するための戦略を開発した。徹底的なレビューは行われなかったが、ナトリウム摂取量と中間的な指標、特に血圧との関係に関して2003年以来発表されたエビデンスも委員会は考察した。血圧に及ぼすナトリウムの影響に関するこの付加されたエビデンスは食事リファレンス摂取量報告、2010年の食事ガイドライン勧告委員会からの技術報告書、WHOから最近発表された2012年報告書であるガイドライン:大人と子供のナトリウム摂取量の結果と結論を支持した。
レビューされたエビデンスについての委員会の調査は多くの要因によって振り分けられた。それらの要因には利用できる関連研究の数や一貫性と同様に研究設計、定量的なナトリウム摂取量測定、混乱因子の調整があった。健康結果に及ぼすナトリウム摂取量の影響調査は、観察研究で使われた測定法や信頼性の多様性によって複雑になってくる。したがって、研究調査間を精度よく測定することはできない。これらの測定は臨床試験におけるナトリウム摂取量の比較を適正に行えない。様々な集団グループ間の典型的な摂取量の範囲の高い方と低い方の両方でナトリウム摂取量を定義付けるために使われる方法で研究間に整合性がないことは、その結果と結論における高い摂取量と低い摂取量について数値的な定義を導き出すことを妨げたことを委員会は同意した。同様に集団グループ間で摂取量に極端な変動があれば委員会は“健康に良い”摂取量範囲を設定できなかった。委員会は各個別研究の条件内でのみしかナトリウム摂取量を考察できなかった。
健康結果に及ぼすナトリウム摂取量の効果についてのエビデンスは集団グループの幅広い範囲と方法論的な取り組み方を含めた委員会によってレビューされた。心臓血管疾患、脳卒中、死亡率に関連した健康結果に及ぼす全てのエビデンスは観察的で、大部分展望的なコホート研究であり、一方、心不全に関係した健康結果に関するエビデンスはランダム化された臨床試験を含んでいた。委員会はエビデンスを調査するためにメタアナリシスを使うことを考えたが、この方法は、レビューされた研究、特にナトリウム摂取量の測定と混乱因子についての調整した研究間に著しい不均一性があったため、このレビューについては不適当と見なされた。同じ理由で、委員会は個々の研究を評価する評価システムを使わなかった。その代わり、研究はレビューされ、個別のバイアスについて調査され、委員会はナトリウム摂取量と全体としての健康結果との関係に関するエビデンスを考察した。
各研究の評価において、観察研究よりも健康結果に関するナトリウムの効果を調べるための高い品質の研究設計であるランダム化された比較試験を委員会は考察した。上手く実行されたコホート研究はケース・コントロール研究よりもナトリウム摂取量と健康結果との関係を推察するにはより重要であると考えられた。ケース・コントロール研究の設計によるナトリウム摂取量の調査に潜在的なバイアスの可能性があるためである。結局、横断的研究が他の研究からの結果を支持する(または支持しない)かまたは潜在的な関係を表すものであった。委員会は全ての研究設計についてのエビデンスの品質を調査するために二つの主要な基準を使った:(1) ナトリウム摂取量とその測定値の品質を判定する方法、(2) 混乱因子の調整法である。その他の基準には、ナトリウム摂取量を変化させる方法、ナトリウム摂取量の測定機器、参加者の介入または追跡期間、他の要因との相互作用、集団全体または集団の一部グループに対する一般化がある。
結果と結論
利用できるエビデンスの限界を認識しようとして、いくつかの心臓血管疾患による結果(脳卒中と心臓血管疾患による死亡率を含めて)やすべての死因よりも最も直接的な健康結果に及ぼす利益または有害効果のいずれか一方とナトリウム摂取量との関係を支持する首尾一貫したエビデンスを委員会は見出さなかった。ナトリウム摂取量の低下は胃癌の危険率を下げる可能性があることをある種のエビデンスは示唆した。しかし、エビデンスにはあまりにも限界があり、悪い、すなわち、高いナトリウム摂取量は胃癌の危険率を増加させる可能性があると結論できない。これらの結果の解釈は非常に挑戦的である。ほとんどの研究がアメリカ以外のアメリカの摂取量よりもずっと多いナトリウム摂取量の集団で行われたからである。したがって、委員会はナトリウム摂取量と心臓血管疾患に関連した疾患や死亡の危険率との関係についてのエビデンスに関する結果や結論に焦点を置いた。
心臓血管疾患、脳卒中、死亡率についての結果と結論
全アメリカ人口
結果1:ナトリウム摂取量と直接的な健康結果とを関連させた研究からの結果は方法の妥当性、特にナトリウム摂取量調査で非常に変動していることを委員会は知った。摂取量の過剰または過少報告値または尿試料の不完全な収集により適用範囲に限界があった。さらにデータ収集方法の多様性から横断的研究結果の精度を委員会は比較出来なかった。
結論1:ナトリウム摂取量と直接的な健康結果との関係についてレビューされたエビデンスには方法論に欠陥があり、限界があるが、集合的に考察すると、高いナトリウム摂取量と心臓血管疾患の危険率との間にポジティブな関係を示していると委員会は結論を下した。このエビデンスは心臓血管疾患危険率の代わりとなる指標としての血圧に関して存在するエビデンスと一致している。
結果2:直接的な健康結果に関する研究からのエビデンスは不十分で、1日当たり2,300 mg以下のナトリウム摂取量と利益または心臓血管疾患結果(脳卒中と心臓血管疾患死亡を含む)の危険率または全アメリカ人の全ての死因との間の関係に関して一貫性がないことを委員会は知った。
結論2:1日当たり2,300 mg以下のナトリウム摂取量に下げることは心臓血管疾患結果(脳卒中と心臓血管疾患死亡を含む)の危険率または全アメリカ人の全ての死因を増加させるか減少させるかのいずれかである、と結論を下すには直接的な健康結果に関する研究からのエビデンスは一貫性がなく不十分である、と委員会は結論を下した。
集団の一部グループ
結果1:1調査チームが行った多くのランダム化された比較試験からのエビデンスは、低ナトリウム摂取量(例えば、1日当たり1,840 mg以下)は尿排泄量を減らし、強い治療薬を服用している慢性心不全患者で悪い結果になる危険率がより高くなるかもしれないことを委員会は見出した。心臓血管疾患患者や糖尿病患者で低いナトリウム摂取量は慢性心不全の高い危険率と関係していた1つの観察研究によってもこの関係は支持された。
結論1:低ナトリウム摂取量は尿排泄量を減らし、強い治療薬を服用している中間から末期段階の慢性心不全で悪い結果になる危険率がより高くなるかもしれないことを利用できるエビデンスは示唆している、と委員会は結論を下した。これらの治療は現在アメリカ合衆国で標準的な治療として使っているものとは非常に異なっていたからで、結果は一般化できないかもしれない。アメリカ合衆国の病院で標準的に使われている治療と非常に良く似た治療で行う他の同様の研究が必要である。
結果2:二つの関連した研究からの前高血圧参加者間のデータは1日当たり2,300 mg(とそれ以下、但し低い範囲では数は少ない)まで下げたこれらの参加者ではナトリウム摂取量を下げることの継続的な利益を示唆するエビデンスを提供していることを委員会は知った。対照的に、他の疾患、特別な集団グループで特に糖尿病、慢性腎臓疾患または前から存在する心臓血管疾患患者で1日当たり約1,500から2,300 mgの範囲でナトリウム摂取量と関係した悪い健康結果の危険性を示唆する利益やエビデンスを委員会は見出せなかった。ナトリウム摂取量測定における不統一に加えて、方法論的な欠陥には混乱因子の可能性と逆の因果関係があった。考察された他の集団グループ(すなわち、51歳以上の老人やアフリカ系アメリカ人)についての健康結果については関連したエビデンスは見出さなかった。相互作用を調査した研究では、人種、年齢、高血圧または糖尿病の罹患率は健康結果に及ぼすナトリウムの影響に変化はなかった。
結論2:前述した慢性心不全患者を除いて、考察した集団グループで低ナトリウム摂取量と健康結果との間の関係を表す現在のエビデンスは限られている、と委員会は結論を下した。利用できるエビデンスは矛盾しており、ナトリウム摂取量の測定法に限界がある。健康結果の数が少ないことや逆の因果関係と混乱因子についての可能性を含めて観察研究設計の方法に制約があるためエビデンスにも限界がある。
現在の文献は糖尿病、慢性腎臓疾患、あるいは前から存在する心臓血管疾患などの患者の間で低ナトリウム摂取量の悪い健康効果についてのエビデンスを提供している一方で、利益と害の両方に関するエビデンスはそんなに強くないので、これらのグループは全アメリカ集団とは違って取り扱われるべきであることを示していない。したがって、直接的な健康結果に関するエビデンスはこれらのグループ内で1日当たり1,500 mg以下にまでナトリウム摂取量を下げる勧告を支持していない、と委員会は結論を下した。
データと方法論にある欠陥と取り組むこれからの研究
委員会は集団グループの間でナトリウム摂取量と悪い健康結果の危険性に関する研究で多くのデータや方法の欠陥を明らかにした。下記に強調した分野でさらなる研究が全集団と集団グループで低いナトリウム摂取量(1,500-2,300 mg)と健康結果との関係に基づくエビデンスを強化するであろう:
1.集団グループのナトリウム摂取量を測定する方法を標準化する。特別な事例としては24時間尿収集の使用を標準化するとか、尿量、尿中クレアチニン、体重に関するデータと一緒にナトリウム摂取量を確定。
2.ナトリウム摂取量と健康結果との関係を調べるとき、現在のガイドライン(すなわち、1日当たり1,500 – 2,300 mg)の量に合わせたナトリウム摂取量を使う方法。
3.他の電解質、特にカリウムとの組み合わせで健康結果に及ぼすナトリウム摂取量の影響の調査解析。
4.ナトリウムと健康結果との間で観察される関係に関して1日当たりの総カロリー摂取量の影響を含めて食事研究における混乱因子について説明できる方法とか、明らかに低いナトリウム摂取量または排泄量の人々の特性を明らかにする方法。
5.ナトリウム摂取量と健康結果との間の関係を調べる研究で、降圧剤と血圧との相互作用の解析。
さらに、特に集団グループで、委員会はランダム化された比較試験研究、観察研究や機構研究の必要性を明らかにした。そのような臨床試験の事例としては次のようなことを調べる。
1.下記の該当者の中で心臓血管疾患、脳卒中、死亡の危険性に及ぼすナトリウム摂取量範囲の影響
a. 長期療養施設の老人や他の特殊施設に入っている人々のようなランダム化された試験がずっと容易に実行できる管理された環境にいる患者達;と
b. 自然実験の部分としての人々、例えば、ナトリウム摂取量に影響を及ぼす政策が効果のある他の国々にいる人々;
2.アメリカ合衆国で典型的に使われている治療法を受けている鬱血性心不全患者の中で逆効果を及ぼす低ナトリウム食の影響;
3.アフリカ系アメリカ人、51-70歳の成人、70歳以上の老人、他の集団グループの間で利益または害のあるナトリウム摂取量の範囲;危険性が比較的高い患者集団内では、ランダム化された比較試験は特に重要であり、そこでは逆の因果関係は観察研究の潜在的な限界となる。
委員会は下記のデータを収集して再解析する研究の必要性も明らかにした
1.ナトリウムと健康の関係を評価するように設計された既存の臨床試験からのデータ;
2.人生や長期の追跡期間後に明らかになる死亡のような健康結果を明らかにするための臨床試験の終了後のさらに延長された追跡期間中のデータ。しかし、そのような試験は簡単に行えるものではなく、まず注意深い可能性調査が要求される。
ランダム化された比較試験に加えて、ナトリウム摂取量低下と悪い健康結果とを関連付ける潜在的な生理学的変化を調べるために機作を調べる研究が必要である。結局、ナトリウム摂取量とカロリー摂取量との関係を短期間と長期間の両方で調べる研究とともに、アメリカ合衆国の集団でナトリウム摂取量と癌、特に胃癌との関係を調べるために追加的な観察研究が必要である。