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 塩と健康

塩協会ニュースレター 2010第三四半期

塩とフィットネス

Morton Satin

 

 体育学は一般的な良い健康状態を述べるために通常理解されており、規則正しい運動と適当な栄養の結果である。特別な種類の運動は重要ではない。訓練された重量挙げ選手は短距離選手としては全体的には不適格であり、世界的なクロスカントリー・スキーヤーは地区のテニス・トーナメントではビリになるかもしれないからである。重要なことは良い体育学は良い栄養摂取と結び付いて優れた健康体を導く。

 

 栄養について語るとき、通常的な毎日の生活に必要な栄養素に焦点を置く傾向があるが、体育学や運動に焦点を置いて考える時、栄養についての全体的な新しい考え方を発展させなければならない。理由は簡単で、スター・ウォーズで言われているように、体育学は軽快なスピードでジャンプできるようにする。身体と代謝はずっと高速で働き、そのことはエネルギー源と組織が分解されて素早く再生利用され、過剰の有害廃棄物は代謝系から直ちに除かれなければならない。万人へのお勧めは多量の水を飲むことで、特にトレーニングしている時はそうである。

 しかし、まさしく水以上の物を必要とする。しばしば運動をする者は誰でも特別な塩を摂る必要がある。第二次世界大戦中にハーバード医学校のJames Gamble博士は、運動家が大量に必要とする唯一のミネラルは塩であることを示した。激しい運動をしている者が十分な塩を摂らないと、しばしば塩欠乏になり、疲労、筋肉痛、痙攣、重大な危険状態に陥る。

 

 さらなる研究で、激しい運動中に汗で失われる不釣合いな体液量は血漿を含めて細胞を浸している特別な細胞外液から出ている。汗の中の平均ナトリウム濃度は1,150 mg/lである。激しい運動中に1時間当たり1.5リットルの汗を失う平均的な塩分量を持つ競技者達は1時間当たり約1,700 mgのナトリウムを失ってしまう。長期間の練習中に発汗の補給で水だけを飲んでいると、運動家はナトリウム欠乏になり、重症では低ナトリウム血症になる可能性が高い。

 低ナトリウム血症は大騒ぎする状態ではない。低ナトリウム血症の症状は失見当、錯乱、発作、昏睡である。幸いにもこの状態は非常に希で、3時間以上も続くマラソンや超マラソンのような競技やナトリウムのような電解質を含まない液を大量に飲む人で最もしばしば起こる。

 ほとんどの諸国の食事ガイドラインは食塩摂取量の低下を提唱している。残念ながら、、この勧告は科学よりも観念的にずっと浸透している。この勧告はほとんどの消費者にとって特に有益ではないと同時に、運動中にかなりの塩分量を失う運動家にとっては有害である。イギリスのプロのフットボール選手に関して塩生産者協会が依頼した研究調査は、90分間の練習中に何人かの選手達は10 gも塩分を失うことを明らかにした。

 

 フィットネス活動をしている人は座って仕事をしている人よりも体液が多く,ナトリウム要求も高い。発汗量や汗の中のナトリウム濃度に応じて正確な量は個人間で大きく変化する。汗で失われる量を補うために1日当たり15 g以上のナトリウムを要求する運動家もいる。運動家はまた座業の人よりも多くの水、1日当たり10リットル以上も要求する。脱水やナトリウム欠乏は両方とも運動能力に悪い影響を及ぼす。しかし、両現象は同時に起こり、同様の悪い結果をもたらすので、両者を識別することは難しい。

脱水と低ナトリウム血症

 運動中の体液損失と給水量との不均衡で起こる脱水症は運動家にとって体温に関連した疾患の最も一般的な原因である。運動家は0.5 - 1.5 L/hの割合で水分を損失し、体重の6 - 10%にもなる。損失は血液量の低下になり、したがって、血圧や心臓拍出量が下がる。低下した血液量を補うために1%の体重低下毎に脈拍は1分間当たり3 - 5回ずつ増加する。皮膚の血流も下がり、体温を下げる能力が低下し、頭痛、吐き気、めまい、感情麻痺、錯乱、疲労困憊、悪寒といった特徴のある体温に関連した疾患になる。体温に関連した疾患は、暑くて湿度の高い気候の中での運動、利尿剤の使用、加齢によって悪くなる。

 上述したように、体液損失がナトリウムを含むとき、結果は失見当、錯乱、発作、昏睡といった症状を伴う低ナトリウム血症になる。この状況はマラソンや3時間以上も長く続くウルトラ・マラソンのような競技や電解質(または塩)を含まない大量の水を飲む人々で最も頻繁に起こる。

運動による筋肉痙攣

 運動による筋肉痙攣は全身の筋肉で起こるというよりも通常局部に限定されている。しかし、痙攣は水和作用や血液の電解質状態の差によるものとは思えない。神経筋の疲労が筋肉を過剰に興奮させ、それにより簡単に痙攣が起こると思われる。筋肉痙攣の原因に係らず、脱水とナトリウム欠乏は行動に悪い影響を及ぼす。

運動中の水分とナトリウム補給

 理論的に言えば、フィットネス運動をしている人は運動中15 - 20分毎に8 - 12オンス(240 - 350 ml)の水を飲まなければならない。練習や競技が1時間を越えるときには、炭水化物とナトリウムを含む飲料水の方が単なる水よりもずっと優れている。炭水化物は血液中のグルコース濃度を維持し、ナトリウムは飲料水を飲みやすくし、飲む量を多くし、低ナトリウム血症の危険性を避けるために汗中に失われたナトリウムの何某かを補う。補給飲料水中の推奨ナトリウム濃度はリットル当り500 - 700 mgである。ほとんどのスポーツ飲料はナトリウムを含んでいるが、その量は300から650 mgまで変化している。1リットル(32オンス)の水に塩をスプーン1/4 ? 1/2加えることにより、容易に市販補給飲料水の代わりになる。それは1リットル当り約600 ? 1200 mgのナトリウムに等しい。塩(塩化ナトリウム)錠剤を利用できるが、200 mgのナトリウム毎に8オンス(250 ml)の水を飲まなければならない。そうしないと血液中のナトリウム濃度は急速に上昇する。

 

 ほとんどの運動家は運動中に十分な水を飲めなくて、汗や呼気中に失われる水を補えないから、運動後の再水和は重要である。一般的に運動家は運動中で失われる体重1ポンド毎に24オンス(709 ml)の水を飲まなければならない。過剰に飲んだ水は、短期間で大量の水を飲んだときに生ずる必然的な尿損失を補う。これらの損失は、運動後に十分なナトリウムを含んでいる限り、そのような飲料水を飲んだり、プレツェル、漬物、ピザ、チーズ、トマトソース、醤油、トマトジュース、缶詰スープ、ケチャップのような高ナトリウムの食べ物を食べることによって最小化される。

 

 したがって、良い食事と十分な運動を続けること。それが良い健康を手に入れる最高の切符である。運動する時には、水損失を補うために塩をベースにした電解質飲料水を十分に飲むように。