たばこ塩産業 塩事業版  2001.06.25

塩なんでもQ&A

(財)ソルト・サイエンス研究財団専務理事

橋本壽夫

 

乾燥主体で純度が高い外国製品

 

 塩専売制度が廃止になり、いろいろな塩が販売されるようになりました。輸入も自由化されて、外国からも様々な塩が入ってきていますが、そもそも外国の塩と日本の塩とではどこがどう違っているのでしょうか?                                  (塩元売関係者)

 日本の塩商品の特徴は、湿った塩が多いこと、にがり成分のミネラルが入った塩が多いことなどです。専売制度が廃止になってから、塩の形としては立方体ではない無定形の平釜塩が増えてきました。しかし、外国では乾燥塩が主体で、非常に純度が高く、立方体か粉砕された無定形の塩が多く、フレーク状の塩もあります。用途に合わせて篩いで粒径を細かく分け、粒子を揃えているのが特徴です。それらの状況をいくつかの例で示しましょう。

ヨード、塩化カリウムなどを添加した製品も

塩の種類
 食用塩の種類は、原料別に見ると岩塩、天日塩、かん水から製造された塩に大きく分けられます。岩塩は通常溶解されてカルシウム、マグネシウムなどが除かれた後、煮詰められて純度の高い乾燥塩になります。採掘された岩塩の品質が良ければ粉砕、篩別されて製品になることもまれにあります。天日塩は洗浄、粉砕、乾燥されて製品となります。天日塩を溶解、精製して煮詰め、せんごう塩とすることは少ないようです。かん水も精製されてせんごう塩にされます。
 製造方法別に見ると、真空式せんごう塩、加圧式せんごう塩、平釜式せんごう塩、粉砕塩、成型加工塩などがあります。
 粒形別に見ると、立方体塩、球状または半球状塩、フレーク塩、無定形塩などがあります。立方体塩は真空式または加圧式せんごう法で出来る一般的な塩です。この塩が大きく成長すると角が取れて球状または半球状の塩となります。フレーク塩は平釜に張り込んだ液表面で出来る薄片状の塩で、溶けやすいとか、嵩密度が小さくて他の物と混合させやすいとか、他の物に付着しやすいと言った特徴があります。 無定形塩は岩塩や天日塩を粉砕した塩です。特殊な物に塩を板状に圧縮した後に粉砕した塩があります。これは、胡椒を粉砕するようなミルに入れて、粉砕しながら食べ物に振り掛けて使われます。
 粒径別に分けると、大雑把には粗塩、中粒塩、微粒塩、粉塩となりますが、これは家庭用の話で、業務用になりますと用途との関係でもっと細分化されています。乾燥塩ですので篩で何段階にも篩い分けして粒径をそろえた製品にしております。
 添加物を入れた塩は沢山ありますが、特徴的な3つだけを紹介します。
  ヨード欠乏症を予防するためのヨード添加塩、塩化ナトリウムを減らすために塩化カリウムを添加した塩、肉の赤い色を保持するために亜硝酸ナトリウムを添加した塩です。前2者は家庭用ですが後者は業務用です。

業務用のカタログが充実している米メーカー

成分組成
 欧米の製品では添加物がない限り塩化ナトリウムの純度が非常に高いのが特徴です。自然をうたった製品でも純度は高く、ミネラルが多いことを全面的に訴えるような製品は少ないようです。

物性
 業務用では粒度、粒径分布、嵩密度、溶解速度などが物性値として表示され、粒形と合わせて塩の選択を便利にしています。家庭用では粒径と結晶形ぐらいの物性しか分かりません。

用途
 塩の用途は味付け、飾り(トッピング)、機能付与(肉の色調、発酵調整、防腐、脱水等)等があります。家庭用では、味付けが主体です。塩の使い方、その製品の用途を包装容器に表示してあることがあります。業務用では、食肉製品、酪農製品、缶詰、パン・菓子類、穀物粉製品、その他加工食品と、日本と同じようにいろいろな用途に使われます。それぞれの食品に使うにはどの塩が適しているかが良く分かるようにカタログを用意しています。
  2社の事例(アメリカの製塩会社)を表で示しましたが、実際にはいずれもこの2倍ほど用途が示されております。

中国の塩について

 これまで述べてきたことは、アメリカ、西ヨーロッパ諸国の塩についてです。身近な中国の塩については国が管理していますので、製品の種類、品質は日本の塩専売時代の状況のように大雑把ではないかと思いますが、詳しいことはわかりません。
A社塩製品の純度、物性、用途B社塩製品の純度、物性、用途