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                 塩と貨幣の発達 そのⅡ

Salt and Evolution of MoneyPART

By David Bloch

 Review of the International Commission for the History of Salt 

Vol. 7 1999[CIHS] からの転載

MRBLOCH ARCHIVE  http://www.salt.org.il/frame_mrbloch.htmlより

 

要約

 そのⅠでは、貨幣は次のように定義された……、“最も役立つ公式見解はナップによって定義されたもので、ケインズによって承認された。ナップは、ほとんどの譲渡できる物品は交換用に使われ、‘支払い手段’として必然的に使われる:しかし、そのような‘支払い手段’は国家当局により許可され、国家行政により受け入れられ、税金の代わりとなった時のみ‘貨幣’となる。”

 これはアリストテレスの概念とは異なる。政府が正しい重量と組成を確認した印を押し着け、‘支払い手段’を貨幣に替え、そのようにして貨幣としての購入力を伴う本質的な材料の実用性と結び付くこととアリストテレスは考えた。

 対照的に、ナップが示唆した‘国家理論’は、検証印を物理的に長く消えないように出来、政府が保証する限り、基本的な貨幣の品質は貨幣の本質的な価値とは関係ない、と説明している。

 これら二つの概念は一般的に形、重量、化学組成、色の標準化をできる。この事実は貨幣の理解をあいまいにし、貨幣の起源と歴史的な発展の認識をまだ妨げている。

 そのⅡでは、我々は政府保証に基づく交換手段としてよりもむしろ評価手段としての貨幣の使用を述べ、手段の価値を理解することから発生する幾つかの基本的な原理を示唆しており、簿記はどれくらいの貨幣を予算化できるかに影響を及ぼすが、その使い方や流動性を制限することがどれくらい我々の意向をそらすかを述べる。

 

塩貨幣

 ほとんど乾燥された塊で交換手段としての塩(塩化ナトリウム)は価値を表す貨幣の硬貨の必要とであるばかりでなく、貨幣の本質的に生理学的で後に保存的な価値のために、明らかに最初に選ばれた。人口が増えるにつれて、塩は交換手段として取り扱うには難しくなった。金、コインそして後に保証された紙幣が交換手段を代替えするために設計され、複写を最少にし、政府の保証による額面も保証している。例えば、ローマのコインは大きさや材質ではなく、重量によって価値を決め、多分、塩塊の重量で元々の価値を反映していた。当時はまだ紙幣を使っていなかったからだ。

 貨幣の所有権はその購買力のために価値があると理解されてきたが、この種の価値は本質的なことではなく可能性だけである。アリストテレスが最初に思いついた交換手段はもはや簡単なトークンあるいは日用品ではなく、価値を評価できる概念に発展してきた。こいして古典的な意味では、その有用性は制限されない。それは実体的で本質的な価値を持っていない。それが使われた後だけ、購入した品物またはサービスの本質的な価値を表している。歴史を通して様々な種類のトークン貨幣が発明されてきた。例えば、タカラガイの殻、塩、金属や金で、塩を除いてそれらのいずれも本格的で本質的な価値を持っていなかった。今日、立証されるかもしれない金でも、その本当の有用性に比例した価値をほとんど持っていない。今日の貨幣は本質的な価値を持っておらず、それ自身の額面を表す必要はない。簿価、トークンの価値、その他の形態は交換を実行した瞬間に認めた価値の記録でしかない。そのような実体的な形態はまだ移動できるが、それらが時代を超えた変動を表す資産価値として評価することは難しい。

 塩は日用品であったし、今でもそうであり、その本質的な価値はしばしばその非常に不確定な有用性と日用品のような物資によって管理された-これはその大量に取り扱い難さと共にその変わりやすい有用性に寄与した。非常に入手しにくい時でも、塩が命を救うことから極端な場合でも塩は利用できた。交換手段として人間の束縛は奴隷であり奴隷制度であった。そのような極端な状況下では、奴隷自身は思い切った交換代替え物であり、金貨または中国のタカラガイの殻またはビーズにもたとえられ、塩の現在の価値を表す糧食を満足させるように提供された。19世紀には、奴隷はアフリカで勘定単位であった。貨幣や奴隷の欠如ではなく貨幣の価値を増す有用性[または塩の専売制]の欠如であった。

 塩の物理的な有用性は気候の気まぐれによって主として決定された。特に定期的に規則を作る冷酷な権威主義を与える海岸の塩田洪水によってであり、配送を管理あるいは飢餓の時に負担に加える増税を押し付ける。

 塩または他の価値ある日用品の相対的に特別な重量の定義された測定として事例で最初銅、銀、金が有用であった。しかし、より大きな価値または量は保証を記録したトークンのような他の形とデジタル手法によって測定されなければならなかった。これの保証は品物やサービスの有用性に対して支払われる貨幣の額面測定を示した。これらのサービスが直ぐに利用できない、あるいは代わりとなるサービスが市場に溢れる時代が経つに連れて、交換手段が論理的にもはや額面を持たなくなるまで、それはインフレまたはデフレとなった。額面は交換手段の価値を失う貨幣の有用性ではなく貨幣が示す品物やサービスの有用性である。弱含みと認められた経済は交換手段の価値の損失-インフレを引き起こすことになる。同様に経済を強化することはデフレの時点で貨幣の価値を失う結果となろう。

 

現在の銀行の役割

 塩に関連した記述がないので以下省略。