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真空蒸発缶の設計と操作

Vacuum Evaporator Design and Operation

 

ヨーロッパ塩生産者団体のホームページ「Salt Association」より

 

真空蒸発工程は沸点を下げることによりどのような液体の蒸発でももちろん使え、多くの事例で蒸発物が要求される生産物である。初期の砂糖蒸発缶のようにかん水蒸発缶は“結晶”蒸発缶として適切に知られており、これらは通常、水が蒸発物である結晶産物の幅広い範囲の生産に応用される。

 蒸発缶の設計者は2つの基本的な要求を満たさなければならない。一つは真空下で蒸発缶から連続的に結晶を取り除く方法で、もう一つは伝熱面にあまりスケールを着けないで蒸気の熱をかん水に効率良く伝えることである。ホットプレートでミルクを沸騰させる人は誰でも実現するように、後者はもちろんかん水に特有ではない。ミルクを加熱する時と同じ様に、かん水を攪拌する必要があり、伝熱面積に沿ったかん水の速度は真空装置で重要なパラメーターである。初期の多重効用蒸発缶で、各缶の中央部分はキャランドリアとして知られている多管熱交換器であり、ジャケットに蒸気が入り、管の中をかん水が流れる。かん水の流速は一部対流で、一部回転攪拌機の助けで増加する。後者の真空装置では、内部のキャランドリアは外部のキャランドリアまたは強制循環熱交換器の使用によって取り換えられた。それによってかん水が蒸発缶にタンゼンシャルに注入される前にキャランドリアの管内のかん水速度を増加させられる。

 乃武キャランドリアから強制循環外部キャランドリア蒸発缶への変化は塩の結晶形に変化をもたらした。内部キャランドリアのゆっくりした循環は完全な立方体結晶の塩を作る一方、近代的な蒸発缶は丸くなった角の塩結晶を作り、異なったタイプの蒸発缶はほとんど“識別できる特徴”の塩を作る。

 天然かん水の主要な不純物はカルシウム、マグネシウム、硫酸塩である。平釜では、これらは平釜の底に厚いスケールを生成させ、小型の平釜では毎週の製塩からの母液は廃棄され、新しいかん水と置き換えられ時に毎週スケールを除かなければならなかった。真空装置では、精製工程でかん水からスケールを形成する不純物を除く必要がある。カルシウムは炭酸塩として、マグネシウムは水酸化物として沈殿する。幾つかの工程では、硫酸塩は硫酸バリウムとして減少させられるが、母液の硫酸塩濃度が塩と共に結晶水付き硫酸ナトリウムの結晶を生成させる濃度まで上げられないような方法で蒸発缶は通常、操作される。

 真空蒸発工程の初期には、母液と“煮詰め”により缶内に出来た不純物を排出する必要性があり、それは2,3日毎に行われた。これは製塩時間を減らし、さらに隣接する運河や川に大量のかん水を廃棄することになる。近代的な装置では、かん水精製と蒸発缶操作の改善された方法により、装置を6ヶ月間連続運転でき、環境へ少ないかん水損失で操業できるようになった。