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真空式蒸発法

The Vacuum Process

 

ヨーロッパ塩生産者団体のホームページ「Salt Association」より

 

 ファーニヴァル型と後に“機械蒸発装置”の特許蒸発装置は全て大気圧で沸騰させたかん水からの蒸気の熱エネルギーを最高に使うことを目的とした。しかし、この熱エネルギーをもっと有効に使うことは、液体の沸点を加圧とかん水が低温で沸騰する低圧にして変えると言う事実の利点を使うことであった。

 大気圧では、沸騰かん水からの発生蒸気は第二容器中のかん水を沸騰させるほど熱くはないが、第二容器を全体的に密閉にして低圧にすれば、かん水は沸騰する。同様に、第二容器からの蒸気は第二容器と同じ圧力であれば、第三容器中のかん水を沸騰させるほど熱くはないが、第三容器をさらに低圧にすれば沸騰する。これらの容器のそれぞれは“効用”と呼ばれ、3つの容器をそのように配置することは“三重効用”と呼ばれる。これが“真空蒸発工程”の基本原理である。

液体の沸点の定義は、液体の蒸気圧がその環境の大気圧と等しくなった時の温度である。したがって、多重効用蒸発缶の最終缶の沸点温度と圧力は冷却水の蒸気圧力によって決まり、冷却水の蒸気圧力はその温度に依存している。最終効用の低い圧力は寒い日に得られ、高いバロメトリック圧力も得られる。

多重効用蒸発缶の第一効用はかん水温度を沸点まで上昇させる熱(顕熱)を供給しなければならない蒸気で加熱され、一旦、沸点に達すると、水を蒸気に変えるに必要な熱(潜熱)を供給しなければならない。飽和かん水は109℃で沸騰し、その蒸気は20 psi圧力で約126℃まで過熱されなければならない。これらの条件下では、多重効用蒸発缶は大気圧以上の圧力で第一効用缶を運転する。

真空蒸発工程の初期の頃、蒸発缶は鉄鋳物で圧力容器としては不適当であった。これは圧力範囲を制限し、したがって、最終効用の最低真空圧と最初の効用缶の最高許容圧との間で操業できる効用数を制限する。初期の蒸発缶は三重効用に限られ、最高蒸気圧は約25 psiであった。設計の改良と溶接したモネル鋼容器が導入された50年間で、圧力範囲を広げ、効用数を増加させ、最初は4効用で、今日では製塩プラントは6重効用で操業している。今日、典型的な第一効用缶は約50 psiの圧力で操業している。

前世紀の真空蒸発缶の進展と並行して、真空プラントと発電装置を組合わせて蒸気節約の増加があった。このことにより蒸気タービン発電機を回すための高圧蒸気を経済的に発生させられ、その後の低圧蒸気をかん水蒸発用に使えるようになった。