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イギリスにおける真空蒸発法の開発

The Development of Vacuum Evaporation in the UK

 

ヨーロッパ塩生産者団体のホームページ「Salt Association」より

 

 かん水蒸発工程における重要なパラメーターは塩と燃料の比である。言い換えれば、最少の石炭消費量で最高の塩量を生産することである。これはファーニヴァル特許釜の目標で、理論的な機械蒸発工程の開発は多重効用真空式蒸発の採用であった。

 これは1812年以来、砂糖精製で使われてきた工程で、1880年代に北アメリカで製塩に最初に応用された。1880年代にスタフォード近くのシールレイウィッチ製塩所でパイロットプラント試験の記録があるが、かん水を使ったイギリス最初の商業用多重効用蒸発缶はミドルウィッチ、クレッドフォードのエレクトリック・アルカリ工場で1901年にジェームス・ハーグリーヴスによって建設された。ジェームス・ハーグリーヴス蒸発缶の技術的な詳細は分からなく、したがって、産業史から見落とされてきた。歴史では1905年のソルト・ユニオンのウィンズフォード真空蒸発装置がイギリスで最初の物と言われている。この装置はアメリカ合衆国のマニスティー社から購入された;当時、技術分野で世界のリーダーであった。この装置から得られた専門知識で、ソルト・ユニオンはグラスゴーのミアリーズ・ワトソン社と契約して、ランコーン、ウエストン・ポイントのマンチェスター・シップ運河沿いに第二の非常に大きな蒸発缶を建設し、1911年に生産を開始した。

 ボイラーからの過熱蒸気はかん水蒸発のために高圧、高温で、先ず電力を発生させるために使われ、タービンを通過した低圧蒸気は第一効用の蒸発缶に供給された。(訳者注:我が国のイオン交換膜製塩法もこの方式を採用)マージ電力会社は子の余剰の電力を配電し販売するために設立された。ソルト・ユニオンはウエストン・ポイントに平釜製塩所を既に持っており、そこはノースウィッチからのかん水配管(マルバリ配管)の建設に続いてマージ塩かん水社によって1884年に設立された。これはソルト・ユニオンの設立より前であった。