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塩:トップの専門家達は酷く矛盾した勧告をどうして出し、

それを解決するまで何をしている

Salt: Why Top Experts Give Wildly Confliction Advice and What To Do Until They Figure It Out

By Faye Flam

Forbes  2014.09.17

 

 医者や科学者達は、社会が自分達を信用していないとしばしば嘆くが、時折、彼等は信用できないことをする。例えば、先月医学研究者達は健康に関心を持っている消費者に多過ぎるまたは少な過ぎる塩摂取量の危険性について衝撃的な情報を与えた。片側のアメリカ心臓協会の専門家達は、アメリカの成人の99%は勧告されている安全な最高値として1日当たり1.5 g以上のナトリウムを摂取している、と警告した。平均値はその2倍以上の3.5 gである。

 塩の危険性についてのメッセージは、塩は世界中で年間165万人以上の人々を殺すと結論を下したニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンの研究から始まった。

 その後、もう片側の科学者達が現れて、心臓協会の最高摂取量は非常に低すぎて危険をもたらすかもしれない、と言っている。広範囲な研究で、1日当たり3 g以下のナトリウム摂取量の被験者は3 – 6 gの間の摂取量被験者よりも心臓発作や脳卒中で一層死に易いことを彼等は知った。その研究はニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表された。

 (通常の塩は塩化ナトリウムであるが、ガイドラインと実験による測定値はナトリウムのグラム数として述べられている。塩は我々の食事でナトリウムの主要供給源であるので、塩摂取量とナトリウム摂取量は大体比例している。グルタミン酸ソーダのような他の少ないナトリウム摂取源も2,3ある。)

 メディアは分裂した。塩は“世界的な殺し屋”と国立公共ラジオは言い、一方、ウォール・ストリート・ジャーナルは低ナトリウム食は“健康リスクをもたらすかもしれない、”と警告する。

 混乱を分類し、ポプコーンに安全に塩を振り掛けられるかどうかを決めることは可能である。両側の科学者達はデータで武装しながら誰が正しいかを見抜くにはデータを解釈する方法や解釈する上での仮定をよく理解することが要求される。

 存在するエビデンスの幅広い状況で新しい研究を調べることが最初の段階である。反塩運動の医者達は何らかの一つの研究に基づいて中程度の塩摂取量が安全であると言う結論に人々は飛躍すべきではないと素早く指摘した。新しいデータは文脈で考察されるべきである。

 塩摂取量に関する状況を誰かが知っているとすれば、それはラトガーズ大学の健康と生物医学研究部長のブライアン・ストロムである。数年前、医学研究所が招集した委員会の委員長に塩と健康問題に関するこれまでのエビデンスを調べるように彼は要請した。結果は昨年発表された。

 誰もが1日当たり約2.3 g以下にナトリウムを低減すればメリットがあると言うエビデンスを委員会は見出せなかったとストロムは言った。そして減塩は有害であるかもしれないいくつかの兆候も彼等は見出した。

 アメリカ心臓協会が設定した限界値は塩と心疾患との間の直接的な因果関係に基づいてはいないと彼は言った。彼が“全く合理的ではない”と言っているプロセスを通して限界値は決められた。1.5 gの最高ナトリウム量についての勧告は、適当な栄養を維持するに十分な食品を食べた時でも消化可能なほんとに最低のナトリウム量である、と彼は言った。全ての食品は何らかのナトリウムを含んでいるので、ガイドラインは加えられる塩に関して許容範囲外の政策を表している。

 どうしてそんなに苛酷な限界値なのか?それはどちら側の科学者に話しているかに依存している。限界値は仮定と外挿に基づいているとストロムは言う。多くの加えられた塩を摂取する人々が減塩によって血圧を下げられることを臨床研究は示した。そして慢性的な高血圧は心疾患や脳卒中と関係していることを他の研究は示している。そのことから塩が心疾患を引き起こすことを医学関係者は推論していると彼は言った。それは不合理な仮定ではないが、塩、血圧、心疾患との関係は非常に複雑で、中程度の塩摂取量は何らかの良い効果をもたらすかもしれないことをエビデンスは裏付けている。

 中程度の塩摂取量者は高い塩摂取量者よりも健康であることを示すカナダのマックマスタ―大学からの最近の研究を真剣に取り上げたとストロムは言う。それが塩摂取量と心臓血管疾患死亡を直接的に比較した最初の大規模研究であることが考察すべき重要な事項であると彼は言った。ほとんどの前の研究は血圧に及ぼす塩の影響を見ており、疾患との関係を推論していると彼は言った。

 マックマスタ―大学の研究者達は多様な人種背景と持つ100,000人の被験者を追跡した。心疾患や脳卒中で死亡する可能性が最も低い人々は1日当たり3 – 6 gのナトリウムを摂取した人々であった。その値は心臓協会、疾病予防管理センターまたはWHOの勧告値以上だった。

 実験には限界があり、塩摂取量と死亡率とを直接的に結び付ける研究がまだ不足していることに幅広い同意があるように思う。そのような研究は思っているよりもはるかに難しいとラトガーズ大学のストロムは言った。ナトリウムは食品中に含まれているので、人々に食品摂取量を記録するように頼めない。アメリカ人の食事で塩の最大の給源はパンで、通常、塩辛くないが沢山食べるからである、彼は言った。ナトリウムの摂取量は尿中の排泄量から推定されるが、長期間にわたって尿を全て集められる多くの人々を確保することは難しい。

 マックマスタ―大学の研究は一回の尿試料を使って外挿しているが、あることは重大な欠陥と考え、他のことはそれほどでもないと考える。

 しかしこの研究が行われるずっと前に、手持ちの限られたデータから一番安全な行動方針を推論する方法について医学界は混乱してきた。

 アメリカ心臓協会会長の心臓学者エリオット・アントマンは、一番安全な行動は現在のガイドラインを守ることだと言っている。塩と血圧を関係付けるエビデンスは魅力的であり、この新しいマックマスタ―大学の研究はそれほどでもないと彼は思っている柄だからである。

 他方、アルバート・アインシュタイン医学校のミカエル・アルダーマンは、減塩食が有益で無害であると言う強いエビデンスが得られるまで、一番安全な行動はアメリカ人の食事のままにしておくことだと言っている。彼は反対のエビデンスを見ている。“アメリカ心臓協会は我々に減塩すべきであると40年間言い続けてきたが高いままであり、減塩をし、どんなナトリウム摂取量でも減塩を適用することは間違っている、”と彼は言った。ナトリウムと血圧との関係は線形ではないことをこれまでの研究は示してきた、と彼は言った。減塩は効果を低下させ、1日当たり2.3 g以下では血圧に何の影響も与えない。

 他の仮定は、非常に低い減塩食で害になることはないと言う意見であった、とアルダーマンは言った。そしてまたナトリウムには血圧への影響以外に多くの効果がある。例えば、減塩はトリグリセライドを増加させ、インスリン抵抗性に寄与する。

 先月、表題となった他の新しい研究は塩と世界で数百万人の死亡を結び付けたが、中程度の塩摂取量でも危険であると言う仮定に基づいていた、とアルダーマンは言った。それは血圧と塩に関するデータを使い、他のデータは心臓血管疾患に関連した死亡と血圧に使用し、その後、塩が年間に100万人以上も殺すと言う結論に達するモデルを作成している。

 研究は完全に矛盾していなかった。高い塩摂取量はそれでも世界的な殺し屋であり、一方、中程度の塩摂取量は安全だと思われる。

 もう一つの手掛かりは塩と全ての生物との関係をもっと幅広く見ることから得られたかもしれない。地球上にいる生命にとって日光のように塩はある範囲(ゴルディロック・ゾーン)にある必要がある、とアリゾナ州立大学の宇宙生物学教授のポール・ナウスは言った。

 生命は我々の塩辛い地球に適合してきただけでなく、塩を地球の最も基本的な機構に組み込んできた、と彼は言った。血流の中で、塩は電気的に帯電したナトリウム・イオンと塩化物イオンに分かれ、それらは細胞に蓄えられ、バッテリーのようにエネルギーを伝達する。“我々のように進化した有機体は電気的な回路構成で満ちており、脳は本質的に電気装置である。ナトリウムと塩化物は細胞内の電子工学には必須で、細胞を働かせる機構を制御している。”と彼は言った。

 それらの電気的に帯電したナトリウム・イオンが細胞膜を通るとき、神経系を通して信号を送る電荷を発生させる、と彼は言った。

 そのような重要で繊細な機能で、我々の血流中の塩がゴルディロック・ゾーンに留まっている時、我々の身体は正常に働くことは理にかなっている。しかし、塩は我々のどこにあるのか?

 新しいマックマスタ―大学の尿テスト結果は、ある人々が非常に少ない塩を摂取している懸念を引き起こした。そのことは我々が今やナトリウム欠乏の流行について心配する必要性を意味しているのだろうか?

 必ずしもではない、とストロムは言った。マックマスタ―大学の研究は低ナトリウム食が人々を死なせる原因であることを証明していない。これらの低ナトリウム食の人々は最終的に何らかの方法で栄養不足になるかもしれない。彼等はカリウムまたは他の栄養素も欠乏しているかもしれない。

 彼の意見では、中程度が一番安全な行動であり、中程度の定義を明らかにするためにもっと良い研究が必要である。多くのアメリカ人が既に中程度になっていることは直感に反しているように思える。中程度にすることは可能だろうか?

 可能である、とアルバート・アインシュタイン医学校のアルダーマンは言った。塩辛い加工食品の増加にもかかわらず、アメリカ人の平均摂取量は1950年代の摂取量と現在でもほぼ同じである、と彼は言った。そして、それは中国のような幾分高い摂取量の所でも諸国間で比較的一定である。

 結局、人々が科学敵に行っている方法に混乱があるのではなく、医者達が科学を解釈し、限られた知識に照らして安定性について主観的に判断する方法に混乱がある。一つの答えが全てに決して当てはまらない。しばらくは、中程度の摂取量が今日までの全ての研究をレビューした医者のアドバイスである。どちらにしても心配し過ぎることは健康に良くない。ストレスは血圧を上昇させる、と医者達は言う。