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あまりに低い摂取量までの減塩は危険であるかもしれない

Reducing Salt to Very Low Levels May Be Dangerous

By Larry Husten

Forbes 2018.08.09

 

 非常に大規模で行われた観察研究から書かれた新しい論文は、劇的な減塩は有益ではなく、有害であることを証明さえするかもしれないと言う追加的でより強力なエビデンスを提供している。全人口に劇的に減塩を勧める現在のガイドラインは指導を誤っているかもしれない広がりつつある批判を結果は支持している。

 食事中の多すぎる塩は広く広がった世界的な問題ではないことも研究は示唆しているが、非常に高い塩摂取量の幾つかの集団は減塩が利益となりそうである

 大規模に行われている観察研究である将来の都市田園疫学(PURE)研究からランセットの新しい論文は生まれた。現在の論文は、一回の早朝空腹時尿試料から計算されたナトリウムとカリウムの推定摂取量に基づく21ヶ国からの94,000人の成人による血圧と心血管の社会的な結果を報告している。研究参加者は平均8年間現在まで追跡されてきた。

 世界的には塩摂取量は10.2 g/dよりも僅かに少ないが、幅広い地域的、文化的変動がある。世界保健機関(WHO)のガイドラインは、5 g/d以下の塩摂取量を勧めているが、アメリカ心臓協会はさらに進めて3.8 g/dの上限域値を勧めている。これらのガイドラインは塩摂取量と血圧との間の十分に確立された関係に基づいている。血圧を下げることに繋がる減塩は必然的に心血管疾患の重要な低下をもたらす結果となり、減塩が勧められている。

 しかし、増加している数の懐疑論者は同意していない。ランセット論文の筆頭者であるアンドリュー・メンテ(マックマスタ―大学)は、減塩しようとする時、“健康を改善する結果をもたらすエビデンスがほとんどない。”と言った。さらに “ガイドラインで勧められているような低摂取量を美食家が達成しようとする”エビデンスもない、と彼は指摘した。

 PURE研究からの新しい結果はガイドラインで勧められている非常に低い塩摂取量を支持していないが、非常に高い塩摂取量から中程度までの減塩を支持している。心血管の危険率増加は、平均摂取量が12.7 g/d以上の社会でだけ観察された。しかし、先進諸国の約5%だけが12.7 g/d以上の塩摂取量である。7.6 – 12.7 g/dの塩摂取量社会では研究は増加を見出せなかった。

 対照的に、利益を見出すよりもむしろ研究者達は最低の塩摂取量社会で心血管危険率増加を明らかにした。この結果はガイドライン批判者達の展墓を支持している。彼等はある域値以下の基本栄養素であるナトリウムを下げることは危険であるかもしれないことを提案している。

 非常に高い塩摂取量に関連した危険率増加のほとんどは中国で観察された。そこではPURE研究で社会の80%は12.7 g/d以上の平均塩摂取量であった。中国以外の研究でほとんどの他の社会は7.6 12.7 g/dの塩摂取量であった。研究では7.6 g/d以下の塩摂取量社会はなかった。高い塩摂取量結果に対する一つの重要な警告は、12.7 g/d以上の高塩摂取量社会でも、社会が十分なカリウム量を摂取しておれば、危険率増加はなかった。

 “果物、野菜、乳製品、ポテト、ナッツや豆のような食品にあるカリウムの摂取量を増加させている社会や国では、死亡を含めて全ての大きな心血管問題は低下することを明らかにした。”とメンテは言った。カリウムの結果が原因ではないことをメンテは承知していた。高カリウム摂取量は正に健康な生活を作り出すものかもしれない。血圧は危険因子ではないとは彼は言っていないとメンテは強調した。そして高塩摂取量は血圧と脳卒中との関係を説明するのに役立っていることを彼は知っている。しかし、非常に低い塩摂取量で“レニンーアンジオテンシン系の活性が起こり、それが幸U字型曲線を説明している、”と彼は推測している。

 PUREの初期の2014報告書は個別の参加者からのデータに焦点を置いていた。一回の尿試料法の変動性と信頼性のために、個人のデータは疑問に対してオープンであったことを批判者達は指摘した。新しい論文は研究で別の社会、心血管結果のデータを持つ255社会を含むデータを提供している。この方法は個人の解析における不確実性を滑らかにするのに役立つとPURE研究者達は言っている。社会解析も逆相関の問題を最小化するのに役立つとメンテは言った。“彼等が病気で…この問題は社会解析を実質的に最小化しているために、塩摂取量を減らしている”僅かな個人がいるかもしれないからである。

マーチン・オドンネル、論文の共著者は次のように言った。“社会規模の減塩介入は高塩摂取量の社会を目標にすべきで、総合的な食事品質を改善するための方法に包括されるべきであることを結果は示している。中程度の平均塩摂取量の人々が心疾患や脳卒中を予防するために減塩を必要とする確たるエビデンスはない。”

 ダン・ジョンズ(ミシシッピー大学)は低塩摂取量ガイドラインの支持者であった。ごく最近、塩ガイドライン推進者達とランダム化臨床試験を提案する批判者達戸の間で彼はコンセンサスに導く手助けをした。“塩摂取量と心血管疾患との関係を調べるこの観察研究は関係の中に新しいエビデンスを提供できるような研究設計ではない。2013年にアメリカの医学研究所によって勧められたように、臨床試験に基づくイベントが必要である。本報告書は、5.8 g/d以下の塩摂取量を維持するために世界中の科学者グループの勧告を変えるべきではないとしている。”

 詳しく述べるために尋ねてジョーンズは“研究の方法論は何らかの結果の確実性を与える物ではなく、ナトリウム、カリウム、血圧の関係は心血管疾患との関係よりも直接的である、”と言った。食事中のカリウムを増加させることを支持するが、多大な減塩努力を支持しないとジョーンズは言った。“私の意見では、存在するエビデンスは典型的な近代食よりもナトリウムが低く、カリウムが高い食事を支持している。食事中の塩を制限することは12.7 g/d以上を摂取する集団に限定すべきであると言う結論に私は強く賛同する。”

 付随するコメントでフランツ Hメッセルリとルイス・ホフステッター(ベルンの大学病院)とスリパル・バンガロール(NYU)はランダム化比較試験への支持を表明するが、同時に提案の不都合な部分を指摘し、次のように述べた。“そのような試験は密接に管理された環境、アメリカ合衆国の連邦刑務所の受刑者で提案された…減塩効果を調べようとする試験は連邦刑務所の受刑者で行われなければならないと言う簡単な事実は、塩摂取量を減らすことは極めて難しいことを示している。果物や野菜を多く食べることによってカリウムで食事を強化するために人々を動機付けるよう説得する必要はなさそうです。”

 メンテは彼の宿題用のメッセージを要約した:“中程度の塩摂取量でナトリウムは心血管健康に有益な役割を持っているが、摂取量が非常に高い、または非常に低い時には潜在的にもっと有害な役割を持っていることを示唆する増加しているエビデンスに我々の研究は加えている。これは基本的な栄養素と健康について我々が期待している関係である。我々の身体はナトリウムのような基本的な栄養素を必要とするが、問題はどれくらい多くと言うことである。2 g/dまでへの低ナトリウム摂取量への勧告はナトリウム摂取量と血圧との短期間試験と、血圧を下げるいかなる方法でも意図された結果をもたらさない心血管疾患の危険率低下に必然的に資するとの仮定に基づいている。低ナトリウム摂取量は血圧を下げるが、非常に低い摂取量では、死亡や心血管疾患の危険率増加と関係した幾つかのホルモンの悪い上昇を含む他の効果も持っているかもしれない。”