少しの塩を摂るにもしっかりと議論する必要があるかもしれない
Great Debate May Need to Be Taken with a Pinch of Salt
By Kendall Morton
https://www.yourtimemagazine.com.au/ 2023.01.03
食事に塩を入れすぎることを心配していないか?塩は体に悪いのだろうか?Kenndall Mortonが塩に関する議論を新たな視点で取り上げる。
ローマの兵士は塩で給料をもらっていた。給料、敬礼、救済など、塩に由来する言葉がある。
塩は非常に価値のある商品であった。
塩は結合したナトリウムと塩化物の2つのミネラルで構成されている。これらは人間の健康に不可欠なミネラルとして挙げられている。塩は食物の風味を高める。
栄養について話そう。
高齢の家族が食べる量が少ないのはよくあることである。エネルギー消費量も少なくなる。独り暮らしで食事に支度が面倒な人もいるであろう。サンドイッチを食べる方が簡単である。オーストラリアの栄養士協会は、高齢者介護施設や地域社会にいるオーストラリアの高齢者の約50%が栄養失調の危険にさらされているか、栄養失調であると推定している。
オーストラリア医師会の栄養に関する2018年の見解では、不健康な食生活は世界中で5人に1人の死亡の要因となっており、食生活は喫煙に次いで早期死亡の2番目に高いリスク要因であるとされている。
塩は1世紀以上にわたり医療界で議論を呼んでいる。
1904年にAmbardとBeaujardという2人のフランス人医師は、高血圧の患者6人が塩も大量に摂取していることを観察した。これが、塩を多く摂取すると血圧が上昇すると言う考え方/仮説につながった。当時は、ランダム化比較試験は行なわれなかったが、この考え方は定着した。しかし、1900年代初頭のヨーロッパの他の医師は、塩摂取量を制限すると無気力、めまい、吐き気、筋肉の痙攣につながると主張した。高齢者の場合、めまいは転倒、骨折、入院につながる可能性がある。
1950年のレビュー記事で、2人の著者は「ナトリウムと塩化物は哺乳類の生化学的構造の基礎となるため、食事からこれらの物質を排除すると、最終的に望ましくない、あるいは悲惨な結果を招くことは驚くに当たらない。」とまで述べている。
別の展開として、1970年代にアメリカの研究者であるLewis Dahlが、1日500 gのナトリウムを含む食事を与えられたラットの血圧を測定した。(これは1日約1200 gの塩を摂取することに相当する。オーストラリアの平均塩摂取量は1日9 gである。)
ラットは高血圧を発症した。
この研究は、アメリカ国立心臓財団による減塩食の推奨の根拠となった。最近では、研究者達が6250人を対象とした7件の研究をレビューしたが、正常血圧か高血圧かにかかわらず、減塩が心臓発作、脳卒中、死亡のリスクを低下させるという確固たる証拠は見つからなかった。
心臓血管研究科学者のDiNicolantonio博士は、2017年に著書「The Salt Fix」で、塩が高血圧の原因であることを示す確かな科学的証拠はこれまでなかったと結論付けている。1日に小さじ1.5杯の塩を摂取すると、体内でナトリウム利尿ホルモンと呼ばれるホルモン群が生成される。この9つのホルモンは、心臓と腎臓の機能と血管の健康を改善する。食欲を維持し、規則的に食事を摂ることが、健康を維持する鍵である。
適切な食事は、エネルギー、筋肉量、精神の明晰さを維持するのに役立つ。塩を加えると、食事がより美味しくなり、食物摂取量が増える可能性がある。