ナトリウム・イオン電池対リチウム・イオン電池
Sodium-Ion v Lithium-Ion Batteries
By William Colquhoun
https://worldsustainabilitycollective.com/
特性 |
Naイオン |
Liイオン |
エネルギー密度 |
70 - 160 Wh/kg、200 Wh/kgに達する可能性あり |
リン酸鉄リチウム陽極で約150 Wh/kgからニッケル・マンガン・コバルト陽極で275 Wh/kgまでの範囲 |
製造 |
まだ商業規模で製造されていない |
大規模かつ高性能車で実証済み |
原材料費 |
水酸化ナトリウムは300 - 800ドル/トン |
水酸化リチウムは78,000ドル/トン |
安全性 |
熱暴走の危険性なし |
過熱して発火する可能性がある |
ライフサイクル |
一部の開発者は性能低下を克服しようと奮闘中 |
多数のサイクルにわたって安定した性能 |
低温性能 |
マイナス20℃で90%以上の性能維持 |
低温で著しく低下 |
リサイクル性 |
簡単な回復プロセス |
金属の複雑な分離が必要になる場合がある |
電気自動車やその他の用途の新しい波によって、リチウム・イオン電池が唯一の勝負所なのか?
つい最近まで、答はイエスであった。しかし、現在では、まだ市販されていないが、大きな有望性を示しているナトリウム・イオン電池との競合が存在する。そう、技術者はほぼ毎日、リチウム・イオン電池の新たな改良点を発見し、それを生産するためのギガファクトリーが建設されているが、リチウム・イオン電池にはナトリウム・イオン電池が解決できる問題がある。
供給、価格、安全性の確保
世界のリチウム供給量の約90%は中国企業によって管理されており、アメリカとUEの自動車メーカーはこれを非常に懸念している。そこで、長らく2番目に良いと思われていたナトリウム・イオン電池が注目を集めている。
2019年、水酸化リチウムの価格は1トン当り6,000ドルであった。今なら78,032ドルである!水酸化ナトリウムの価格は1トン当り800ドル以下で安定している。塩の電気分解によって塩素から生成され、豊富に供給されている。しかし、この価格差は将来を保証するのに十分か?
リチウム・イオン電池は発火し、安全上の脅威となることが知られているが、ナトリウム・イオン電池は発火しない。リチウム・イオン電池はエネルギー密度が高いため、性能が向上する。特に電気自動車用でこれらの電池の多くの用途の重要な特性である。
しかし、価格が問題になるにつれて、業界はこの問題を再考しつつある。改めて考えてみると、用途は自動車だけではない。固定用途もある。ナトリウム・イオン電池にはいくつかの利点がある。-20℃の範囲の低温でも非常に良く機能する。
現在のナトリウム・イオン電池のエネルギー密度は約160 Wh/kgで、古いリチウム・イオン電池と同様である。(最近のリチウム・イオン電池は230 Wh/kgかそれ以上に達する)。これらの電力密度では、通常、電池を冷却する必要がないため、これが利点になる可能性がある。
ナトリウム・イオン電池の開発者の1つであるファラディオン社は、自社の電池が今後数年間で190 Wh/kgのエネルギー密度レベルに達すると予想している。今年、ファラディオンはインド企業リライアンス・インダストリーズに買収された。彼等は、低速電気自動車や定置型電力貯蔵などの用途向けに、インドにナトリウム・イオン工場を建設する計画を立てている。
カリフォルニアに拠点を置く新興企業Natron Energyの電池は、短時間で大量の電力を供給できるというユニークな特長を持っている。データ・センターなどの産業用途の補助電源として適している。
スエーデンの企業Altrisは近く商業用ナトリウム・イオン電池工場の建設を計画
ナトリウム・イオン電池はパイロット生産から商業規模の生産に移行しつつある。リチウムのサプライチェーン問題は彼等にチャンス窓を開いた。
中期的にはリチウム・イオン技術よりもナトリウム・イオン電池の開発を支持するか?