戻る

これらの箸は塩を加えずに食物の味を塩辛くする

These Chopsticks Make Your Food Taste Saltier without Adding More Salt

By Hanako Montgomery

https://www.vice.com/      2022.04.22

 

 食通は、料理が風味を欠いている場合、塩振り出し器に手を伸ばす必要がなくなるかもしれない。日本の科学者達は塩を加えずに食品の塩味を増幅する箸を開発した。研究者によると、これは低ナトリウム食をしている人に大いに役立ち、重要な風味を提供する可能性がある。塩味をシミュレートするために、ほとんど感じられない微弱な電流を使用して、箸を通過するときに食品から口にナトリウム・イオンを伝達する。電流はリストバンドを通って流れ、食べる人は調理器具を使用するときに着用する必要がある。

 日本では、塩摂取量の多さによる高血圧者が人口の25%以上を苦しめており、食品中のナトリウム量は多くの人にとって懸念事項である。世界保健機関の基準によると、成人は毎日約5 gの塩を食べるべきである。しかし、平均的な日本人は毎日その2倍を摂取している。塩摂取量の増加による高血圧は、脳卒中や心臓発作の原因であり、それを日本の厚生労働省は2020年に、推奨されるナトリウムの1日摂取量を2015年の8gと7 gから男性と女性でそれぞれ7.5 g6.5 gに引き下げる理由とした。

 しかし、塩摂取量を減らすための簡単で一般的な戦術である塩を控えると、食物の味が悪くなる可能性がある。そこで、このプロジェクトの主任研究者であり、明治大学のメディア科学教授である宮下芳明は道具を使って塩味をシミュレートすることを考えた。宮下教授は飲料メーカーのキリンと協力して、食品の塩味を高める世界初の箸を作ることに成功した。「箸を使って食物を口に入れると塩味を感じることができる。箸自体を舌に押し付けると塩味を感じることもできる。」と彼はVICEワールドニュースに語った。宮下とキリンは2023年か2024年のどこかで箸を市場に投入する予定である。

 試験では、36人の男性と女性が、通常の食品を模倣したナトリウム量と低ナトリウム食品をシミュレートした1種類のゲルをサンプリングする様に依頼された。次に電気箸で減塩ジェルを試し、塩味知覚の観点から5つのすべての味をランク付けするように求められた。その結果、電気箸は通常の箸で食べるよりも1.5倍塩辛い低ナトリウム・ジェルの味になった。また、減塩味噌汁のカボチャや大根を箸でつまんで実験したところ、旨味や風味が向上したとの報告があった。

 「私は個人的にこれらの箸を毎日使っている。」と彼は言い、味噌汁と甘酸っぱい豚肉が特に美味しいと感じたと付け加えた。同様の方法は、塩味をシミュレートする道具を開発するために使用されてきた。2016年、東京大学の中村宏美研究員は、食品を塩辛くするフォークを開発した。彼女の製品のプロトタイプは日本のポップアップでテストされたが、フォークを購入できないため、あまり注目を集めることができなかった。

 宮下の研究室は以前、技術が人間の知覚をどのように高めることができるかを調査してきた。12月には食物の味を模倣できる舐められるテレビ画面を開発し、視聴者に多感覚の体験を提供することを望んでいた。