減塩すると二型糖尿病のリスクが下がる可能性がある
Cutting Your salt Intake Could Lower Your Risk of Type 2 Diabetes
By Alyssa Hui
https://www.verywellhealth.com/ 2023.03.30
重要なポイント
● 新しい研究により、食事に塩を加える人は二型糖尿病を発症するリスクが高いことが分った。
● 専門家によると、ナトリウムと糖尿病の関連は、塩が過食を促すためである可能性が高いとのことである。
● アメリカ心臓協会と食品医薬品局は、成人のナトリウム摂取量を1日当たり塩小さじ1杯以下に制限することを推奨している。
新しい研究によると、食事に塩を多めに振り掛けると、二型糖尿病のリスクが高まる可能性がある。この研究では、食事に頻繁に塩をかける人は、めったに塩をかけない、あるいはまったく塩をかけない人よりも、二型糖尿病を発症する可能性が高いことが分った。
塩摂取量を制限すると心臓病や高血圧の予防に役立つことはよく知られているが、新しい研究は、「食卓から塩入れをなくすることも二型糖尿病の予防に役立つことを初めて示した。」と、この研究の主著者であり、HCA Regents Distinguished Chair、チューレーン大学公衆衛生・熱帯医学大学院の教授であるLu Qi医学博士はVerywellに語った。
この研究は、ナトリウム自体が糖尿病を引き起こす可能性があるとまでは言っていない。むしろ研究者達は、食物に「時々」、「通常」、「常に」塩を加えると答えた人は、二型糖尿病を発症するリスクがそれぞれ11%、18%、28%高いことに気付いた。塩を加えるグループで、BMIとウエストヒップ比も高い人は、二型糖尿病を発症するリスクがさらに高いようである。
Qiと彼の研究チームは、この研究結果が、人々がナトリウム摂取量を減らし、おそらく糖尿病のリスクを減らすための介入を裏付ける可能性があると考えている。ここでは、ナトリウム摂取量を減らす方法を紹介する。
研究結果
メイヨークリニック・プロシーディングスに掲載されたこの前向きコホート研究で、Qiと同僚は、2006年3月から2010年10月までのUK Biobankコホ-トの成人402,982人の健康データを分析した。参加者の年齢は37歳から73歳であった。研究開始時点で糖尿病、慢性腎臓病、ガン、または心血管疾患を患っていた参加者はいなかった。
11.9年間の追跡調査の後、13,000人以上が二型糖尿病を発症した。研究者達は、アンケートで食事に塩を加えると回答した人は、食事に「めったに」または「まったく」塩を加えない人よりも二型糖尿病のリスクが高いことに気付いた。
なぜ塩は糖尿病と関係があるのか?
この研究に参加していない専門家は、塩自体が二型糖尿病の原因ではなく、むしろナトリウムが食習慣に与える影響が原因かもしれないと述べている。例えば、塩は人々にもっと食べるように促す。必要以上に食べると、体重が増える可能性がある。体重が増えると、体脂肪率が高くなるか肥満になる。これらは二型糖尿病の既存のリスク要因である。
「塩摂取量が増えると食欲が増し、その結果、主要栄養素の摂取量が増え、カロリー摂取量と体重増加が増加し、発症抵抗力が増すことが分かっている。」と、Atlantic Health Systemの内分泌学者であるElkin Nunez医学博士はVerywellに語った。
Qiもこれに同意し、塩は食物の味を良くすると付け加えた。食物が美味しいと人々はもっと食べたくなったり、量が増えたりする傾向がある。時間が経つにつれて、こうした習慣は体脂肪率の上昇につながり、ひいては二型糖尿病のリスクが高まる可能性がある。
「分析した結果、我々のデータは、塩摂取量に関連する肥満の増加が、これらの関連性の一部を説明する可能性のあることを示唆している。」とQiは述べた。
研究結果では、塩と糖尿病の間に明確な因果関係は示されておらず、研究者達は、二型糖尿病には考慮しなければならない多くのリスク要因があることを知っている。
Nunezは、「潜在的な関連性やリンクは、例えば遺伝的継承や肥満ほど強くはない。これらは二型糖尿病のリスクとのリンクとしてははるかに強い。」と述べた。
塩はどれくらい食べても安全か?
アメリカ心臓協会と食品医薬品局は、成人のナトリウム摂取量を1日当たり2,300 mg以下に抑えることを推奨している。これは塩小さじ1杯分に相当する。塩を摂り過ぎているかどうかは、どうすれば分かるか?食物に塩を振り掛ける頻度に注目してみよう。
「1日に1回以上塩入れを使用している場合、必要以上に塩を摂取している可能性がある。」とNunezは言う。「通常のケチャップなどの製品にも同じことが言える。これらの製品には、通常、塩化ナトリウムの濃度が高いからである。」
包装食品、調理済み食品、レストランの食品を頻繁に食べることも、塩摂取量が多すぎることを示すもう1つの指標となる。もしそうであれば、それはあなただけではない。アメリカ人が摂取するナトリウムの70%以上が、これらの食品から来ている。
塩を減らす方法
塩を控えようと考えているなら、Nunezによると、一番良いのは医療従事者や認定栄養士に相談することだそうである。彼等はあなたの食事ニーズや健康目標に合ったアドバイスをしてくれる。
味の点では、通常の食卓塩(塩化ナトリウム)を再現するのは難しい。しかし、Nunezは食べ物に風味をつけるために試せる代替品は沢山あると言う。例えば、ニンニク、挽いた黒胡椒、レモン汁またはレモンの皮、バルサミコ酸、トリュフ・オイル、パプリカ、玉ねぎ、そしてローズマリー、タイム、クミン、ターメリック、オレガノ、ミント、バジルなどのさまざまなハーブやスパイスで料理の味付けしてみよう。これらの塩の代替品は、パスタ、差かな、エビ、肉、野菜など、さまざまな料理に使用できる。