塩は体に悪いと昔から言われてきた。本当か?
We’ve Long Been Told Salt Is Bad for You. Is It Really?
By Michael Daignault
https://www.usatoday.com/ 2022.05.04
我々は何年もの間、塩が実際に健康に「悪い」のかどうかについて議論を続けてきた。そして健康的な食事や生活様式の選択についての私の救急患者や友人達と議論する際に共通するのは、塩とナトリウムの区別ができていないと言うことである。これらはしばしば誤って同じ意味で使用される。
ナトリウムは周期表では「Na」で表される鉱物および金属元素である。これは体の体液バランスを維持し、筋肉を収縮および弛緩させ、神経インパルスを伝達するために必要な必須栄養素およびイオンである。しかし、これらの目標を達成するために必要な塩は、毎日最小限の量だけである。
塩は、わずか40%のナトリウムと主に60%の塩化物、つまり「NaCl」からなる化合物である。
自分のリスクを知る:激しい運動中に心臓発作のリスクはあるか?
塩は、世代、宗教、文化を越えて何千年もの間、人間の存在の壮大な部分を占めてきた。塩は肉や魚の保存に価値があるため、何世紀にもわたって通貨として使用されてきた。現代では、塩という食物の味付けに使われる「食卓塩」を思い浮かべる。また、海塩やヒマラヤ塩など、多くの普及した形の塩も取りそろえている。
しかし、必ずしも塩が健康に危険であるわけではない。2011年にアメリカ医学協会誌に発表され、合計6,250人の参加者を対象とした画期的なメタ分析では、血圧が正常または高めの人々において、減塩によって心臓発作、脳卒中、死亡のリスクが低下するとい説得力のある証拠は存在しないことが示された。
しかし、過剰なナトリウム摂取量は血圧上昇、心臓病、脳卒中と関連している。最も強力な証拠は、ナトリウム摂取量の増加と高血圧、そしてその逆、詰まりナトリウム摂取量を減らすと血圧を下げることを関連付けている。このメカニズムは複雑である。平均的な健康な人の場合、腎臓は血液中の過剰なナトリウムをなんとか維持することができる。しかし、時間の経過と共に過剰なナトリウムが蓄積すると、ナトリウムを薄め、前述した体液バランスを管理するために、体が水分を保持する時間が長くなる。これにより血液量が増加し、心臓への負担が増え、血管へのストレスが増加し、血圧が上昇する可能性がある。
疾病管理予防センターは平均的なアメリカ人は1日当たり約3,400 mgのナトリウムを摂取していると推定している。これは、1日当たり2,300 mg未満という推奨制限をはるかに超えている。アメリカ人はナトリウムが大好きである。しかし、彼等は毎日のナトリウムの約70%を食卓塩からではなく、加工食品やレストランの食事から摂取している。最大の原因は、ピザ、タコス、コールドカットや塩漬け肉を使ったサンドイッチ、スープ、ブリトー、タコス、塩味のスナック、さらには鶏肉、テーズ、卵である。
かつてないほど多くのアメリカ人が高血圧と診断されている。高血圧は心臓病の主要な危険因子であり、脳卒中と合わせて他の原因よりも多くのアメリカ人が毎年死亡している。高血圧の多くは、加工食品への愛好による過剰なナトリウム摂取量によって引き起こされる。
次はあなたか?かつてないほど多くのアメリカ人が高血圧と診断されている。
肝心なのは、健康的な食事と生活様式を選択して、ナトリウム摂取量を大幅に減らすことができる、ということである。これは主に加工食品を避けるとこで実現できる。食塩や海塩よりもナトリウムが少なく、他の重要な元素が微量に含まれるヒマラヤ塩(訳者注:ナトリウム量はそれほど変わらない)に切り替えることで、さらに削減できる。また、新鮮な果物や野菜でカリウムを増やすことも検討して下さい。食事からカリウムを大量に摂取すると、血管を弛緩させ、血圧を下げながらナトリウムの排泄を助けることができる。