ナトリウム・イオン・モバイル電池登場 エレコムのNa Plusモバイル電池はリチウムを使わず、約5,000回の充電が可能
Sodium-Ion Portable Power Bank Comes to Market / Elecom’s Na Plus Power Bank Doesn’t Use Lithium and can Be Recharged Nearly 5,000 Times
By Andrew Liszewski
https://www.theverge.com/ 2025.03.18
アクセサリー・メーカーのエレコムは、リチウム・イオン電池ではなくナトリウム・イオン電池を採用した、消費者向けとしては初となるモバイル電池を発表した。NotebookCheckの取材によると、製造工程が環境に優しいだけでなく、9,000 mAhのNa Plusは過熱のリスクが少なく、極端な温度環境でも使用可能で、エレコムによると約5,000回の充電寿命を誇る。毎日充電しても、13年後も電力を供給し続けるはずである。
出力はUSB-Cポート1つで最大45 W、Na Plusに搭載されているUSB-Aポート1つで最大18 Wである。LEDの点灯でモバイル電池の残量を確認でき、フル充電には約2時間かかる。
性能面では、Na Plusは市販されている携帯充電器の中で最も高性能とは言えない。最も注目すべきは、その中身である。1990年代初頭からリチウム・イオン技術は電池の主流となっているが、リチウムは無限の資源ではなく、採掘には(コバルトやニッケルといった電池に使用される他の金属と同様に)エネルギーを大量に消費するプロセスが伴い、地域の生態系を汚染する可能性がある。
ナトリウム・イオン電池は、その名の通り、リチウム・イオン電池と同様の機能を持つが、リチウムの代わりにナトリウムを使用する。ナトリウムはより豊富に存在し、生産もはるかに容易である。また、ナトリウム・イオン電池はより安全に使用できる。エレコムによると、Na Plusは華氏約-30~122度の温度範囲で動作し、過熱や熱暴走による発火のリスクが低いとのことである。
この技術の価格は、サプライチェーンの拡大と生産量の増加に伴い、将来的に低下する可能性がある。しかし、そうした対策を講じても、ナトリウム・イオン電池のもう一つの欠点は解決されないであろう。それは、ナトリウム・イオン電池が、全体的にサイズが大きいことである。これらの電池はリチウム・ベースの電池に比べてエネルギー密度が低いため、同等のエネルギーを蓄えるには、より大きく重くならざるを得ない。例えば、Ankerの10,000 mAhリチウム・イオン電池は約213 gであるが、9,000 mAhのNa Plusは350 gと、はるかにかさばる。
ナトリウム・イオン電池は、再生可能エネルギー源の蓄電システム、バックアップ電源、貨物船などの車両への電力供給など、サイズがそれほど重要でない用途に適しているかもしれない。Na Plusはかさばり効果かもしれないが、この技術がついに消費者に届くのを見るのは楽しみである。