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新しい塩ベースの電池は電気自動車に革命を起こす可能性がある

New Salt-Based Battery Could Revolutionise Electric Cars

By Joshua S. Hill

https://thedriven.io/より   2021.02.03

 

 中国中の6科学研究機関と共同研究しているノッティンガム大学の研究者達は塩を主成分とした新しいタイプの充電式電池を設計した。彼等は範囲を拡大して完全にリサイクル可能で、環境に優しく、低コストで、より安全であることによって電気自動車に革命を起こすことができる、と信じている。

 イギリスと中国の研究者達は固体酸化物燃料電池と金属空気電池の性能利点を組合わせた新しい電池を開発すること計画した。それにはリチウム・イオン電池に固有の危険性や課題 (時間経過と共にエネルギーや電力が失われる、過熱する可能性があるなど)がない。

 固体酸化物燃料電池は水素と酸素の変換によって達成される化学反応から高効率でエネルギーを引き出せ、耐久性があり、低コストで、製造環境に配慮されているが、それらは充電式ではない。

 他方、金属空気電池は電気を発生させ大気中に酸素だけを放出するために鉄のような安い金属と大気中にある酸素を使う電気化学電池である。しかし、固体酸化物燃料電池と違って、それらは高エネルギー密度を誇り、再充電可能であるにもかかわらずあまり耐久性がなく、リチウム・イオン電池と同じくらいの電力を貯蔵および放電できるが、はるかに安全で安価である。

 固体酸化物燃料電池と金属空気電池の両方の利点を組み合わせる努力で、中国とイギリスの研究者達は電気伝導のために熱で活性化される電解質のタイプとして溶融塩を使う高温、鉄-空気電池設計を調査した。残念ながら、安価で可燃性であり、印象的な貯蔵能力と電力能力 、および長いサイクル寿命を提供する一方で、溶融塩には独自の欠点もある。「極端な熱で溶融塩は激しく腐食し、揮発し、蒸発または漏れる可能性があり、これには電池設計の安全性と安定性に課題がある。」とノッティンガム大学の研究リーダーである工学部のジョージ・チェン教授は説明した。「電池性能を向上させ、将来の電気輸送での使用を可能にするために、これらの電解質特性を微調整する緊急の必要があった。」

 先をかき分けて進みながら、研究者達は固体酸化物ナノ粉末を使用して溶融塩を軟質固体塩に変えることで、技術を向上させた。彼等の研究はEnergy Storage materials誌に発表した。

 この共同研究プロジェクトを主導している中国科学院の上海応用物理学研究所のJianquiang Wang教授によると、結果として得られた準固体電解質は金属空気電池に適しており、それはガソリンまたはディーゼルエンジンからのエンジン排気ガスの温度とほぼ同じ温度の800℃で稼働する。それは、このような高い稼働温度で発生する可能性のある溶融塩の蒸発と流動性を抑制するためである。

 研究者達は、新しく開発された電池のために効果的な作動温度を原則として維持することは充放電のための電流、良好な断熱、および必要に応じて追加の電気加熱によって達成されることを期待している。

 中国科学院の上海応用物理学研究所のCheng Peng博士はノッティンガムの溶融塩電解研究所も率いており、チームの「有望な結果」が高い安定性と安全性を備えた低コストで高性能の溶融塩金属空気電池を設計するためのより簡単で効率的な方法の確立を支援することが出来ることを望んでいる。「改良された溶融塩鉄-酸素電池は電気輸送や再生可能エネルギーなど、家庭や配電網レベルで革新的な貯蔵解決策を必要とする新しい市場で大きな可能性を秘めている。」とPeng博士は言った。「電池は原則として太陽熱と電気を蓄えられ、これは家庭用と産業用の両方のエネルギー需要にとって非常に望ましい。溶融塩はスペインと中国で太陽熱を捉え蓄積し、次に電気に変えられために大規模に現在使われている。