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塩渇望に押しやる神経

The Neurons That Drive Salt Craving

Original Press Release from Caltech

https://www.technologynetworks.com/      2019.03.28

 

ポテト・チップス、フライドポテト、ポップコーンなど、好みに関係なく、塩が多くの美味しい食品の重要な成分であることは誰もが知っている。しかし、塩の食べ過ぎると健康上の危険性が生じる可能性があり、心血管障害や認知障害を引き起こす可能性がある。現在、カリフォルニア工科大学の研究者達は、マウスの脳への渇望を促進および抑制する神経を特定した。調査結果は人間のナトリウム渇望を調整するためのエントリー・ポイントである。

 研究は生物学の助教授でありChen ScholarYuki Okaの研究室で行われた。研究を説明する論文はNature誌に掲載される前に、327日にオンラインで公開される。Okaはカリフォルニア工科大学の神経科学のTianqiao and Chrissy Chen Instituteの関連教員である。

ナトリウムは心血管野活動、体液バランス、神経の信号伝達など、様々な身体機能に重要な役割を果たす。全ての動物種において、体はナトリウム濃度を厳密に調節および維持している。動物はそれ自体でナトリウムを代謝的に生成することができないため、イオンは外部の食物源から摂取する必要がある。体のナトリウムが不足すると、脳はナトリウムの消費を促進する特定の食欲信号の引き金を引く。これらの食欲信号のメカニズムは完全には理解できないが、研究チームは現在、ナトリウムを消費する衝動を制御するマウス後脳の神経の小さな集団を発見した。

 大学院生のSangjun Leeが率いるチームは遺伝子ツールを使用して、これらの神経活動を操作し、光で刺激できるようにした。研究者達はこれらの神経を人工的に刺激すると、体が完全にナトリウムで満たされている場合でも、マウスが岩塩を繰り返し舐める原因になることを観察した。

 次に、研究者達は、マウスがナトリウムを摂取している間、これらの神経活動を測定した。ナトリウムが動物の舌に当たってから数秒内に、ナトリウム食欲神経の活動が抑制された。しかし、これらのマウスの胃へのナトリウムの直接注入は、神経活動を抑制しなかった。この神経抑制は、ナトリウム受容体が薬理学的に遮断された場合にも発生しなかった。まとめると、研究はおそらく味覚システムによって媒介された経口ナトリウム信号がナトリウム食欲神経を阻害するために必要であることを示している。

 「塩を食べたいと言う欲求は、体野ナトリウムが少ないことを伝える体の」方法である。」とOkaは言う。「ナトリウム消費されると、体がそれを完全に吸収するのに時間がかかる。したがって、ナトリウムの味だけで塩食欲神経の活動を静めるのに十分であるというのは興味深いことである。つまり、味のような感覚システムは単に外部情報を脳に伝えるよりも、体の機能を調節する上ではるかに重要である。」

 興味深いことに、人間を含む多くの種では、ナトリウムを消費することで、さらに食べたいという欲求を駆り立てることができる。将来の研究では、Okaと彼の共同研究者達は、ナトリウム食欲神経が時間の経過と共にどの様に調節されるかを理解したいと考えている。この質問に答えることは、健康上の問題を抱えている人々が食事でより少ないナトリウムを食べるのを助けるための道を開くかもしれない。

 この記事はカリフォルニア工科大学から提供された資料から再発行された。