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ナトリウムを減らし、カリウムを増やすと心血管疾患のリスクが低下する可能性がある

Reducing Sodium and Increasing Potassium May Lower Cardiovascular Disease Risk

https://www.technologynetworks.com/      2021.11.22

Original Story from Harvard T.H.Chan School of Public Health

 

 ナトリウム摂取量の減少とカリウム摂取量の増加は、ハーバード大学T.H.Chan公衆衛生大学院の研究者達が率いる研究によると、ほとんどの人々の心血管疾患のリスク低下と関連している。

 「以前の観察研究における方法論的限界は、食事中のナトリウムの現在レベルを低下させることが心血管疾患のリスクを増加させるかどうかについての混乱を招いてきた。」とハーバード大学Chanスクール疫学部門の研究科学者である筆頭著者のYuan Maは述べた。「我々の研究は、ナトリウムが現在、最も信頼できる方法、すなわち、複数の24時間尿試料によって測定された6つのコホート研究からの高品質の個々の参加者データを組み合わせた。我々の結果は、心血管疾患におけるナトリウムの役割、つまり、摂取量の減少がアメリカを含むほとんどの集団における心血管疾患のリスク低下と関連していることを明らかにするのに役立つ。

 この研究は、20211113日にNew England Journal of Medicineにオンラインで公開された。食卓塩の成分の1つであるナトリウムは、一部の食品に自然に含まれているが、市販の加工食品、包装食品、および惣菜に大量のナトリウムが頻繁に添加される。アメリカ食品医薬品局は最近、食品業界に対し今後2年半にわたって商業的に生産された食品のナトリウム(以前の研究で血圧の上昇との関連している)を徐々に減少させることを奨励する新しい自主ガイダンスを発表した。

 カリウム摂取量と心血管疾患危険率との関係は、研究著書によると、議論の余地がある。無作為化試験からのものを含む包括的なデータは、毎日のナトリウム摂取量が増加するにつれて血圧も増加し、血圧が上昇するにつれて心血管疾患リスクも増加することを一貫して示している。いくつかのコホート研究は、ナトリウム摂取量の減少が心血管疾患のリスク増加と関連していることを示唆した。しかし、これらの研究では、スポット尿や個々の通常のナトリウム摂取量を推定するには信頼性の低い単一の24時間尿試料など、測定誤差が生じやすい方法を使用してナトリウム摂取量を評価した。

 新しい研究では、研究者達は6つの前向きコホート研究のプール分析を実施した:医療従事者フォローアップ研究、看護師の健康研究Ⅱ、Renalおよび血管End期疾患の予防研究、および高血圧予防フォローアップ研究の試験である。研究者達は個々のナトリウムおよびカリウム排出データと、冠状動脈性心疾患または脳卒中を含む心血管疾患の発生率を分析した。このデータはナトリウム摂取量を評価するための最も信頼性の高い方法である複数の24時間尿試料から得られたもので、10,000人以上の一般的に健康な成人から採取され、心血管疾患の追跡調査を平均9年近く追跡調査した。合計571件の心血管疾患がコホート研究中に文書化された。

 広範囲な心血管危険因子を考慮した後、研究者達は複数の24時間尿試料によって測定されたより高いナトリウム摂取量は、約2,0006,000 mgの毎日のナトリウム摂取量で用量反応的に高い心血管リスクと有意に関連していると判断した。ナトリウム排泄量が1日当たり1,000 mg増加する毎に、心血管疾患のリスクが18%増加した。カリウム排泄量が1日当たり1,000 mg増加する毎に、心血管疾患リスクは18%低かった。さらに、ナトリウムとカリウムの比率が高いほど、心血管リスクの増加と有意に関連していた。これらの関連は、年齢、性別、ベースライン高血圧、体重状態、および追跡年齢に従って定義されたサブグループ間で一貫していた。

 「この研究は、習慣的なナトリウム摂取量を測定し、心血管リスクとの関係を評価するために信頼できるバイオマーカーを使用することの重要性を強調している。」とハーバード・チャンスクールの栄養学部長であり、論文の上級著者であるフレドリック J. スタア栄養疫学教授であるフランクフーは述べている。「今日の調査結果は,規制、食品表示、ナトリウム量を減らし、カリウム摂取量を増やすための健康的な食事パターンの促進など、公衆衛生戦略をさらにサポートする。」