ナトリウム系材料を用いたリチウム・イオン電池の安定した代替品
Stable Alternative to Lithium-Ion Batteries Created Using Sodium-Based Material
https://www.technologynetworks.com/ 2021.12.07
Original Story from the University of Texas at Austin
テキサス大学オースチン校の研究者達は、安定性が高く、従来のリチウム・イオン電池と同じくらい速く充電でき、現在の電池技術よりも多くのエネルギーを供給する道を開くことができる新しいナトリウム・ベースの電池材料を作成した。
約10年間、科学者とエンジニアは現在のリチウム・イオン電池で使用されているリチウムとコバルトの両方を、より安価で環境に優しいナトリウムに置き換えるナトリウム・イオン電池を開発してきた。残念なことに、初期のナトリウム・イオン電池では、アノードと呼ばれる成分は樹枝状突起と呼ばれる針状のフィラメントを成長させる傾向があり、電池を電気的に短絡させ、発火または爆発させることさえある。
テキサス大学オースチン校の最近の2つのナトリウム・イオン電池の進歩うちの1つで、新材料は樹枝状突起問題を解決し、リチウム・イオン電池と同じくらい速く充電できる。チームはその結果をAdvanced Materials誌に発表した。「我々は本質的に2つの問題を一度に解決している。」とコックレル工学部のウォーカー機械工学科および応用研究所の教授で新材料を設計したDavid Mitlinは述べている。「通常、充電が速いほど、これらの樹枝状突起は多く成長する。デンドライトの成長を抑えれば、突然安全になるので、より速く充放電することができる。
化学科とオーデン計算工学科研究所のグレアム・ヘンケルマン教授は、コンピューター・モデルを使用して理論的な観点から、なぜ材料がユニークな特性を持っているかを説明した。「この材料はナトリウム金属陽極が理論的にはナトリウム陽極の中で最も高いエネルギー密度を有するため、刺激的である。」とヘンケルマンは述べた。
家庭用の固定エネルギー貯蔵システムや電力網上の風力や太陽光エネルギーの潮流を滑らかにするための需要が高まっている。同時に、リチウム採掘は、大量の地下水使用、土壌および水の汚染、炭素排出など、環境への影響について批判されている。リチウム・イオン電池は通常、コバルトも使用しており、コバルトは高価で、主にコンゴ民主共和国で採掘されており、人間の健康と環境に大きな影響を与える。比較すると、ナトリウム採掘はより安価で環境に優しい。
Mitlinはこの新しい革新とエネルギー貯蔵を促進する新しい固体電解質を含むテキサス大学オースチン校の他の革新は、ナトリウム・イオン電池が直ぐに固定エネルギー貯蔵に対する需要の高まりを満たすことができるかもしれないと言う考えに強気である。充電式電池が充電されているとき、イオン(リチウムやナトリウムなど)は、カソードと呼ばれる1つのコンポーネントからアノードと呼ばれる別のコンポーネントに移動する。電池が発電に使用されている場合、イオンはアノードからカソードに戻る。
新しい負極材料はナトリウムアンチモンテルル化金属間-Na金属複合体(NST-Na)と呼ばれ、ナトリウム金属の薄いシートをアンチモンテルル化粉末の上に圧延し、それを折り畳み、何度も繰り返すことによって作られている。「スパナコピタのような層状のペストリーを作ることを考えてみてください。」とMitlinは言った。
このプロセスはナトリウム原子の非常に均一な分布をもたらし、既存のナトリウム金属陽極よりも樹枝状突起または表面腐食を形成する可能性を低くする。これにより、電池の安定性が向上し、リチウム・イオン電池の充電速度に匹敵する高速充電が可能になる。また、既存のナトリウム・イオン電池よりも高いエネルギー容量を有する。
ヘンケルマンは、ナトリウム・イオン電池で電荷を帯びたナトリウム原子が陽極よりも強く互いに結合すると、それらは不安定性、すなわちより多くのナトリウム原子を引き付け、最終的に樹状突起につながるナトリウムの塊を形成する傾向があると述べた。彼はコンピューター・シュミレーションを使用して、個々のナトリウム原子が新しい複合材料NST-Naと相互作用すると何が起こるかを明らかにした。
「我々の計算では、この複合体はナトリウム自体よりも少し強くナトリウムを結合しており、ナトリウム原子が下がって表面に均等に広がり、これらの不安定性の形成を防ぐのに理想的なケースである。」とヘンケルマンは言った。