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乳房腫瘍の塩濃度はガンの攻撃性を示している可能性がある

Salt Levels in Breast Tumors Can Indicate Cancer Aggressiveness

https://www.technologynetworks.com/      2022.04.26

Original story from the University of York

 

 乳癌腫瘍のナトリウム濃度を分析することで、ガンがどれほど攻撃的であるかを、そして化学療法治療が効果を発揮しているかどうかを正確に示すことができる、と新しい研究が示している。ヨーク大学とケンブリッジ大学による研究で、慈善団体Cancer Research UKBreast Cancer Nowの資金提供を受けて、研究者達はナトリウム磁気共鳴イメージング(MRI)を使用してマウスの乳癌腫瘍の塩濃度を検出する技術を開発した。この技術を使用して研究者達は乳癌腫瘍を調べ、塩(ナトリウム)がガン細胞内に蓄積されており、より活動的な腫瘍がより多くのナトリウムを蓄積することを発見した。

 その後、研究者達は18の腫瘍のグループを取り、それらのいくつかを化学療法治療で標的にした。彼等が1週間後に腫瘍をスキャンしたとき、化学療法で治療された腫瘍ではナトリウム濃度が低下していることが分った。

 

核心

 現在、イギリスでは毎年約55,920件の新しい乳ガンの症例が診断されており、世界中の女性のガン関連死の主な原因となっている。塩濃度の画像化は、乳ガンの診断と監視に役立つ重要な新しい手段になる可能性があると研究者達は述べている。チームは現在、関連研究を実施して、その結果がヒト乳ガン患者で再現できるかどうかを確認している。

 

理解

 この研究の筆頭著者であるヨーク大学生物学部のWilliam Brackenbury博士は次のように述べている。我々の調査結果は、乳癌腫瘍の高濃度のナトリウムが周囲の組織液ではなくガン細胞の内部から来ていることを示している。つまり、健康な細胞よりも多くの塩を蓄積する原因となる代謝活動に奇妙なことがある。

 「現在、全国にナトリウムMRIスキャナーはほんの一握りしかないが、我々の研究は乳ガンを診断し、治療の成功を監視し、患者の生存率を改善するための新しい技術としてそれらを使用する道を開く。」

 

可能性

 研究の著者らによると、ガン細胞のナトリウム・チャンネルを遮断し、腫瘍の成長と拡大を遅らせる薬剤開発の可能性もある。Brackenbury博士が主導した以前の研究では、てんかんの治療に現在使用されている薬剤が特定された。研究者達はまた、通常のMRIスキャンと比較して現在、比較的ピクセル化された画像を生成するナトリウムMRIの解像度を改善する方法を模索したいと考えている。チームはナトリウム・イメージングの信号品質を向上させるために、新しい高周波コイルや関連する冷却システムの設計などの新しいテクノロジーを開発したいと考えている。これにより、成長が最も活発な腫瘍にナトリウム・ホットスポットがあるかどうかを調査するなど、さらなる研究を行うことができる。

 

効果的

 この研究の臨床共著者であるケンブリッジ大学のFiona Gilbert教授は「クリニックでこれらの技術を使用することに興奮している。」と述べている。

 Cancer Research UKの研究情報マネージャーであるCharles Evans博士は次のように述べている。この技術はまた、乳ガンが治療にどの様に反応するかについてのより深い洞察を我々に提供する可能性を秘めている。さらに、これらの手法は他の種類のガンにも適用できる。しかし、この研究は初期段階であり、ナトリウムMRIが患者に利益をもたらすには、さらに研究が必要である。」

 

革新的

 Brest Cancer Nowの研究・支援・影響力所長のSimon Vincent博士は次のように述べている。ナトリウムMRIに関するこの革新的な初期段階の研究は患者のケアを改善し、医療チームにより詳細な情報を提供する可能性を秘めている。この発見に基づいて、クリニックの患者に利益をもたらすために実際にどの様に機能するかを理解する科学者達を楽しみにしている。乳ガンがナトリウムを蓄積する方法も、この壊滅的な病気を治療する新しい方法を発見するのに役立つ可能性があるため、さらに調査する必要がある。