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塩摂取量の効果は脳深部の発見で明らかになる

Deep Brain Discovery Reveals Effects of Salt Intake

https://www.technologynetworks.com/

Original Story from Georgia State University     2021.11.12

 

ジョージア州立大学の研究者達が主導したこの種の研究は、ニューロンの活動と脳の深部の血流との関係、および脳が塩摂取量によってどのように影響を受けルカについての驚くべき新しい情報を明らかにしている。

 ニューロンが活性化されると、通常、その領域への血流が急速に増加する。この関係は神経血管カップリング、または機能性充血として知られており、細動脈と呼ばれる脳内血管の拡張を介して発生する。機能的磁気資源イメージングは神経血管カップリングの概念に基づいている。専門家達は脳障害を診断するために血流の領域を探す。

 しかし、神経血管カップリングの以前の研究は脳の表層領域(大脳皮質など)に限定されており、科学者達は主に環境からの感覚刺激(視覚または聴覚刺激)に応じて血流がどの様に変化するかを調べた。同じ原理が相互受容信号として知られている体自体によって生成される刺激に同調したより深い脳領域に適用されるかどうかについてはほとんど知られていない。

 脳深部領域におけるこの関係を研究するために、ジョージア州立大学の神経科学教授であり大学の神経炎症および心臓代謝疾患センター長のハビエル・スターン博士が率いる科学者達の学際的チームが、外科技術と最先端のニューロイメージングを組み合わせた新しいアプローチを開発した。チームは飲酒、食事、体温調節、生殖などの重要な身体機能に関与する脳の深部である視床下部に焦点を当てた。雑誌のCell Reportsに掲載されたこの研究では、視床下部への血流が塩摂取量に応じてどのように変化するかを調べた。

 「我々は、体がナトリウム濃度を非常に正確に制御する必要があるため、塩を選んだ。血液中の塩濃度を検出する特定の細胞もある。」とスターンは述べている。「塩辛い食物を摂取すると、脳はそれを感知し、一連の代償メカニズムを活性化してナトリウム濃度を下げる。」

 体は塩の適切な濃度を維持する上で重要な役割を果たす抗利尿ホルモンであるバゾプレッシンの放出を引き起こすニューロンを活性化することにより、これを部分的に行う。ニューロンの活動と血流の増加との間に正の関連性を観察した以前の研究とは対照的に、研究者達は視床下部でニューロンが活性化されるにつれて血流が減少することを発見した。

 「感覚刺激に反応して大脳皮質で説明されたものとは反応の血管収縮が見られたので、この発見は我々を驚かせた。」とスターンは言った。「アルツハイマー病のような病気の場合、または脳卒中や虚血後に通常、皮質で血流の低下が観察される。」

 チームはこの現象を「逆神経血管カップリング」、または低酸素症を引き起こす血流の減少と呼んだ。彼等は他の違いも観察した:皮質では刺激に対する血管の反応は非常に局所的であり、拡張は急速に起こる。視床下部では、反応は拡散し、長期間にわたってゆっくりと起こった。

 「我々が多くの塩を食べるとき、我々のナトリウム濃度は長い間上昇したままである。」とスターンは言った。「低酸素症は持続的な塩刺激に応答するニューロンの能力を強化し、ニューロンが長期間活動し続けることを可能にするメカニズムであると信じている。」

 調査結果は、高血圧が脳にどの様に影響するかについて興味深い質問を提起する。高血圧の5060%は塩依存性であると考えられており、過剰な塩摂取量によって引き起こされる。研究チームは動物モデルで古代の逆神経血管カップリング・メカニズムを研究し、それが塩依存性高血圧の病理に寄与するかどうかを判断することを計画している。さらに、彼等はうつ病、肥満、神経変性状態など、他の脳の領域や病気を研究するために彼等のアプローチを使用することを望んでいる。

 「慢性的に大量の塩を摂取すると、バゾプレッシン・ニューロンが過剰に活性化される。このメカニズムは、過剰な低酸素症を誘発する可能性があり、脳の組織損傷につながる可能性がある。」とスターンは述べている。「このプロセスをよく理解できれば、この低酸素依存性の活性化を止め、おそらく塩依存性高血圧の人々の転帰を改善するための新しい標的を考案することができる。」