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研究者達は淡水と海水の混合からエネルギーを取り出す技術を開発

Researchers Develop Technology to Harness Energy from Mixing of Freshwater and Seawater

By スタンフォード大学

https://techexplor.com/ より

2019.07.29

 

 塩は電力である。錬金術のように聞こえるかもしれないが、塩辛い海水と淡水が混ざっている場所のエネルギーは継続できる電力の大規模な供給源を提供している。スタンフォード大学の研究者達は、このいわゆるブルーエネルギーを取り出せる入手可能で永続性のある技術を開発してきた。アメリカ化学協会のACS Omegaに最近発表された論文は電池を述べており、それを海岸の廃水処理プラントをエネルギー非依存性にするために使うことを示唆している。“ブルーエネルギーは膨大で、未開発の継続エネルギー源である。我々の電池は膜、稼働部分またはエネルギー入力なしにそのエネルギーを実質的に捕まえることに向けての大きな段階である、”とスタンフォード大学の市民環境工学のポスドク学者である研究共著者のクリスチャン・ドゥブロウスキーは言った。

 高エネルギー効率技術の学際的分野プロジェクトで知られている市民環境工学教授の研究共著者クレイグ・クリッドルの研究室でドゥブロウスキーは研究している。塩濃度勾配を利用する電池を開発する考えは、材料科学者工学教授の研究共著者Yi Cuiと研究時に材料科学者工学のポスドク学者であるMauro Pastaと一緒に始まった。その考え方を海岸の廃水処理プラントに応用することは、廃水処理技術を開発してきた長年の経験から生まれたクリドルの特別な工夫であった。

 研究者達は電池のプロトタイプをテストし、Palo Alto 地域水質制御プラントからの廃水とHalf Moon 湾からの近くで集められた海水を交互に1時間毎に交換して流しながらそのエネルギー生産をモニターした。180回以上、電池材料は塩濃度勾配エネルギーの捕収で97%の効率を維持した。技術は淡水と海水が混合する場所ではどこでも使えるが、廃水処理プラントは特に貴重なケーススタディーを提供する。廃水処理はアメリカの総電力負荷の約3%を占めるエネルギー集約である。社会衛生に必須な工程は送電網のシャットダウンに対しても脆弱である。廃水処理プラントをエネルギー非依存性にすることは電力使用や排出物質を減らすだけでなく、停電の影響を受けないようにする-最近の山火事で大規模な停電が発生したカリフォルニアのような場所では大きな利点である。

 

水の力

 海水と混ざる1立法メータ当たりの淡水は約65 kWhのエネルギーを生産する-平均的なアメリカ人家庭の約30分間の電力供給に十分な量である。世界的には、海岸の廃水処理プラントから理論的に回収できるエネルギーは約18 ギガワット-年間1,700家庭以上の電力供給に十分な量である。

 スタンフォード大学グループの電池はブルーエネルギーを捕まえることに成功した最初の技術ではないが、圧力または膜の代わりに電池の電気化学を使った最初である。大規模に機能させれば、技術はより簡単で確かでコスト効果のある解決法を提供する。プロセスは電池電極から溶液中に先ずナトリウム・イオンと塩化物イオンを放出し、電極から他の電極に電流を流させる。その後、流出廃水と海水の急速な交換はナトリウム・イオンと塩化物イオンを再び合体させるために電極に導びき、現在の流れを逆にする。淡水と海水の両方が急速に流れる間にエネルギーが回収され、先行投資もいらず、充電の必要もない。このことは、エネルギーを入力する必要なく電池が絶えず充放電している。

 

耐久性で手ごろな技術

 実験室テストは、電極面積当たりの出力がまだ低いことを示している一方、で電池の拡大可能性はその小さな足跡、単純さ、不変のエネルギー生成、そして膜または電荷と電圧をコントロールする器機が不要のために、前の技術よりもずっと可能であると考えられる。電極はプルシアン・ブルーで作られており、それは色素や薬として広く使われている材料で、そのコストはI kg1ドル以下であり、電池や他の装置で実験的に使われている材料のポリピロールはバルクで1 kg3ドル以下で販売されている。

 材料が比較的丈夫であるので、バックアップ電池の必要性はほとんどなく、ポリビニール・アルコールとスルホコハク酸被覆は腐食から電極を保護し、可動部はどこにもない。スケールアップするとすれば、技術はどこの海岸処理プラントのために十分な電圧と電流を提供できる。余分の電力生産は脱塩プラントのような近くの工業施設に提供できる。

 “それは複雑な問題に対する科学的に優れた解決法である。拡大してテストする必要があり、地球規模でブルーエネルギーを利用すると言う挑戦-海に流れ込む川-に取り組んでいないが、これらの進歩に拍車をかけられる良い出発点である、”とドゥブロウスキーは言った。

 地方自治体の廃水処理プラントで電池の十分な可能性を調査するために、研究者達は、多くの電池が同時に稼働させたときにシステムがどのように機能するかを見るために拡大した規模で研究している。