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研究によると、ナトリウム・イオン電池はナトリウム・クラスターによりより安全上の大きな危険にさらされている

Sodium-Ion Batteries Face Greater Safety Hazards due to Sodium Clusters,

Study Finds

By Li Yali

https://techxplore.com/  より   2025.01.21

 

 中国科学院青島バイオエネルギー・バイオプロセス技術研究所が主導した新しい研究により、特にリチウム・イオン電池と比較して、ナトリウム・イオン電池に重大な安全リスクがあることが判明した。

 Energy & Environmental Science誌に掲載されたこの研究は、ナトリウム・イオン電池がこれまで想定されていたよりも熱暴走を起こしやすいことを明らかにしており、コストとリソースの優位性にもかかわらず、ナトリウム・イオン電池の安全性に対する認識が揺らぐことを示している。

 過去10年間で、ナトリウム・イオン電池は最大160 Wh/kgのエネルギー密度と4,000回の充放電サイクルを超えるサイクル寿命を実現した。これらの進歩にもかかわらず、安全性は依然として重大な懸念事項である。この研究では、早期の熱暴走を引き起こす可能性のある硬質炭素アノードのナトリウム・クラスターの役割に焦点を当てている。これらのクラスターは、金属ナトリウムをも上回る電子活動を示し、電池内に局所的な「電子嵐」を引き起こす。

 この研究の共同責任著者である    Cui Guanlei教授は、「電池が臨界充電レベルに達すると、ナトリウム・クラスターが自己発熱開始温度を92 ℃まで下げ、リチウム・イオン電池よりもはるかに早く熱暴走を引き起こす。」と説明している。これらのクラスターは触媒として機能し、電解質の分解を加速し、熱暴走を激化させる。

 研究者達は、固体核磁気共鳴分析法を使用して、量子スケールでナトリウム・クラスターを調査した。彼等は、これらのクラスターでナトリウム・クラスターがかなりの金属性を示し、フェルミ・エネルギレベルの伝導電子がバルク金属ナトリウムよりも多く、反応性が高く、熱暴走を加速することを発見した。

 発熱反応が充電状態に依存しないリチウム・イオン電池とは異なり、ナトリウム・イオン電池は反応開始と充電状態の間に強い依存関係を示す。ナトリウム・クラスターは充電状態の上昇で形成され、リチウム・イオン電池で一般的に見られるSEI分解によりかなり前に自己発熱の開始温度を下げる。この研究は、通常の動作中でも、ナトリウム・イオン電池は過充電された電池のナトリウム・メッキに関連するリスクに匹敵する安全リスクに直面する可能性があることを示唆している。

 これらの発見は、セルの安全性とナトリウム貯蔵微小環境の関係を理解する上での重要な知識ギャップを埋めるものである。研究チームは、液体電解質を固体材料に置き換えることで、熱暴走のリスクを大幅に軽減し、将来のエネルギーのためのより安全な代替手段を提供できることを示唆している。