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当局は、ハリケーン・ヘレンの海水に浸かるとEV

発火する恐れがあると警告している

Officials Warm That EVs Could Catch Fire If Inundated with Saltwater from Hurricane Helene

By Josh Funk

https://techxplore.com/  より   2024.09.28

 

 電気自動車は海水に浸かると発火する恐れがある。ハリケーン・ヘレンのような大嵐の針路沿いに住んでいる所有者は、停電中に車を充電できなくなる可能性に備えて予防策を講じる必要がある。

 

電気自動車所有者は何ができるか?

 フロリダ州知事Ron DeSantisは今週、ハリケーン・ヘレンが到来する前に電気自動車オーナーに車を高台に移動するよう促した。この問題はまれであるが、近年、ハリケーン後に電気自動車が発火する事例がいくつかある。電気自動車を水溜まりから遠ざけることが、火災の可能性を回避する最善の方法である。

 テスラも同様のアドバイスをしており、可能な限り車両が水没しないようにしているが、万が一水没してしまった場合は、整備士が点検するまで、建物や可燃物から少なくとも50フィート離れた場所に車両を牽引することを提案している。

 停電を乗り切る最善の方法は、立ち往生しないようにガソリンタンクを満タンにしておくという、父親から受けたアドバイスと同じことに従うことである。電気自動車を充電しておけば、最も柔軟に対応できる。

 もちろん、電気自動車の所有者は停電中に車を充電できないため、運転距離に注意する必要があるかもしれない。しかし、ガソリンスタンドも停電中に燃料を補給できないため、電気自動車は従来の自動車よりも悪い状況にはならない。

 

浸水後の電気自動車火災はどのくらい頻繁に発生するか?

 2012年にハリケーン・サンディが北東部を襲った後、この問題が初めて確認されて以来、アメリカ道路交通安全局はこの問題を調査してきた。しかし、これがどのくらいの頻度で起きているかについての詳細な統計を持っている人はいないようである。

 2年前、ハリケーン・イアンは5,000台もの電気自動車の電池を損傷し、そのうち36台が発火した。

 昨年、ハリケーン・アイダリアの後、フロリダ州ではさらに数台の電気自動車が火災に見舞われたが、この嵐はイアンよりも弱かった。アメリカ道路交通安全局の研究者は、この嵐の前に多くの人が問題に気付き、車を高台に移動させたことも役立ったのではないかと推測している。

 しかし、このような火災は頻繁に起きるため、フロリダ州当局はハリケーン・ヘレンが来る前から、フロリダ州北西部で最大20フィートの満潮が起こり、壊滅的な被害をもたらす可能性を懸念していた。

 これらの火災は、塩水に特に関連しているように思われる。塩は電気を通すからである。今年始めの大雨が原因のカリフォルニア州の淡水洪水では、同様の問題は報告されていない。

 

電気自動車が火災になる原因は何か?

 リチウム・イオン電池を搭載した電気自転車は、電池がショートして熱くなり始めると発生する可能性がある。アメリカ運輸安全委員会のTom Barthは、電池バック内の異なるセル間で熱が広がり始めると、熱暴走と呼ばれる連鎖反応を引き起こす可能性があると述べた。

 「塩水が電池のプラス端子とマイナス端子の間の隙間を橋渡しできれば、ショートを引き起こす可能性がある。」とアメリカ運輸安全委員会の高速道路安全局の特別調査部門の責任者であるBarthは述べた。

 自動車メーカーは、この問題を防ぐように電池を設計している。電池パック内の異なるセル間には、しばしば分離または絶縁バリアがあり、メーカーは湿気を防ぐ対策を講じている。しかし、電池が熱を逃がす方法も組み込む必要がある。

 「電池が水溜まりに沈んだときに問題が始まる。そこで電池内の湿気シールが破られ始める。」とBarthは述べた。

 電気自動車は、水が引いた後もかなり経ってから発火することがある。水が蒸発した後でも、電気を通す塩分が残っている可能性があるからである。そのため、水没している場合は点検を受けることが重要である。

 「浸水したすべての車両が発火して火災になるわけではない。」とBarthは述べた。

 アメリカ道路交通安全局は、当局が問題についてさらに理解するにつれて、電池の安全性向上に取り組んでいると述べた。同局はリスクを軽減するために、電気自動車の電池の安全要件の一部を更新することを提案している。