チタン置換によるナトリウム・イオン電池のサイクル性能の向上
Improving Cycling Performance of Sodium-Ion Batteries
through Titanium Substitution
By Songshan Lake Materials Laboratory
https://techxplore.com/ より 2024.07.12
松山湖材料研究所の研究者達は、NaNiO2正極のサイクル性能を改善することで、ナトリウム・イオン電池技術を大幅に進歩させた。この研究は、Materials Futuresのオンライン版に掲載されている。
研究者達は初めて、190 mAh/gの比容量を実現する正極活物質NaNi0.9Ti0.1O2の合成に成功した。高エネルギー密度ナトリウム・イオン電池への応用の候補として位置付けられた。この革新的なアプローチは、電池の安定性を向上させるだけでなく、それを超えた高度なエネルギー貯蔵解決策への道を拓く。
NaNiO2は理論上の比容量が高く、リチウム・エネルギー貯蔵用途を超える03-型ナトリウム・イオン電池材料として大きい可能性を秘めている。しかし、大きなNa+イオンの交換により、深刻な層間滑りや体積変化が発生し、サイクル性能が低下する。さらに、Ni3+によって誘発されるJahn-Teller歪み(イオンの軌道の周りの電子の不均一な配置)は、長期的なサイクル性能に悪影響を及ぼす。
これらの問題に対処することで、近い将来、NaNiO2の実用化が大幅に向上する可能性がある。
カールスルーエ工科大学の研究チームは、NaNiO2のNiサイトに10 mol%のTi4+を導入することに成功した。これにより、Na欠乏相でより大きなスラブ間距離を維持し、Niの平均酸化状態を低下させることでJahn-Teller活性を緩和することができる。
NaNi0.9Ti0.1O2はNaNiO2に比べてサイクル性能が大幅に向上しているが、電池動作中の大きな体積変化と高電位での不可逆な格子酸素損失という問題が依然として残っている。
これらの問題は構造の不安定性と容量低下につながる。電気化学機械的な劣化/故障に対処するためにドーパントをNaNi0.9Ti0.1O2のNaおよび/または遷移金属サイトに導入することができる。
物理的および電気化学的特性評価技術を組み合わせることで、NaNi0.9Ti0.1O2の容量低下の背後にある潜在的な理由に関する洞察が得られ、この有望なカソード活性材料をカスタマイズするための新しい方法が提供される。
この発見は、高エネルギー密度の電気化学的エネルギー貯蔵用途向けの新しい材料を提供することで、ナトリウム・イオン電池に幅広い影響を与えることが期待される。