研究者達は高エネルギー、高効率の全固体ナトリウム
空気電池を開発
Researchers Develop High-Energy, High-Efficincy All-Solod-State Sodium-Air Battery
By Pohang University of Science and Technology
https://techxplore.com/ より 2024.05.28
研究チームが、高エネルギー、高効率の全固体ナトリウム空気電池の開発に成功した。この電池は、特殊な装置を必要としないでナトリウムと空気を可逆的に利用できる。研究チームは、浦項工科大学の材料科学工学部のByoungwoo Kang教授とHeetaek Park博士が率いている。
この研究結果は、Nature Communications誌に掲載されている。
二次電池は、電気自動車やエネルギー貯蔵システムなどのグリーン・テクノロジーで広く使用されている。次世代の高容量二次電池は「金属空気電池」と呼ばれ、地球上にある酸素や金属などの豊富な資源から電力を引き出す。しかし、炭酸塩(大気中の二酸化炭素(CO2)と水蒸気(H2O)を含む金属と酸素の反応の副産物)の形成から課題が生じ、電池の効率が犠牲になる。
この問題に対処するために、金属空気電池は、その名前にもかかわらず、酸素を精製するか、大気中の酸素を選択的に使用するための酸素透過膜などの追加装置を通常必要とする。
この研究では、研究チームは炭酸塩の問題に効果的に取り組むために、Na超イオン伝導体であり、固体電解質でもあるNasiconを採用した。Na、シリコン(Si)、ジルコニウム(Zr)などの元素を含むNasiconは固体状態でイオンを移動できる固体電解質として機能し、高い電気化学的および化学的安定性を示す。
この固体電解質を利用して、研究チームはナトリウム金属電極を空気から保護し、電気化学的セルの動作中に形成される炭酸塩の分解を促進した。その結果、炭酸塩を含む可逆的な電気化学反応により、動作電圧が上昇し、充電と放電の間の電圧ギャップ大幅に減少してセルのエネルギー密度が増加し、エネルギー効率が向上した。
さらに、チームの全固体ナトリウム空気電池は、その場で形成された陰極液を通じて優れた運動能力を示した。陰極液は電極内部へのナトリウム･イオンの伝導が速い。驚くべきことに、この電池は酸素ろ過装置を追加するための特別な装置を必要とせず、金属と空気だけで作動した。
この研究を率いたKang教授は、「我々は、高エネルギー金属空気電池の開発における長年の課題であった炭酸塩を利用する方法を考案した。周囲条件で安定し、幅広い電圧範囲を提供する固体電解質ベースのセル・プラットフォームを活用して、次世代の全固体金属空気電池の分野をリードしたいと考えている。」と述べている。
