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新しいナトリウム・イオン電池技術により

グリッド・エネルギー貯蔵の経済性が向上

New Sodium-Ion Battery Tech Boosts Green Energy Storage Affordability

 By KeAi Communications Co., Ltd.

https://techxplore.com/  より   2024.04.30

 

 エネルギー貯蔵技術の進歩として、研究者達は室温で性能を劇的に向上させる高イオン伝導性のナトリウム・イオン電池用固体電解質を開発した。この開発は、より効率的で手頃なエネルギー貯蔵解決策への道を開くだけでなく、従来のリチウム・イオン・システムに代わる持続可能な代替手段としてのナトリウム・イオン電池の実現可能性を高める。

 再生可能エネルギーの需要が高まるにつれて、効果的で手頃なエネルギー貯蔵解決策の必要性が強調されている。固体ナトリウム電池は、特に大規模な送電網用途で、コストと安全性の面で顕著な利点を提供する。

 しかし、固体電解質で高いイオン伝導率を実現するという課題により、SSSBの普及が妨げられている。これは、効率的なエネルギー輸入と貯蔵に不可欠な要素であり、高度な電池技術研究の重要な焦点である。

 eScience誌に掲載された最近の研究では、温室で優れたイオン伝導率と電気化学的安定性を示す新しい固体電解質Na4.92Y0.92 Zr0.08Si4O12(NYZS)が紹介されている。この新素材は、室温でのイオンの効率的な伝導を著しく向上させる。これは、実用的なエネルギー貯蔵用途にとって極めて重要である。研究チームは、既存の素材の結晶構造で少量のイットリウム(Y)をジルコニウム(Zr)に置き換えてこの画期的な進歩を達成し、ナトリウム・イオンの移動を容易にする最適化された配置を実現した。

 この方法により、イオン伝導性が飛躍的に向上し、バルク伝導度は最大6.5 mS/cm、室温での全伝導度は3.3 mS/cmに達した。これらの値は、ナトリウム超イオン伝導体でこれまでに記録された最高値の1つである。

 NYZSは高いイオン伝導度を示すだけでなく、Na+/Naに対して10 Vを超える電圧に耐える優れた電気化学的安定性も示しており、さまざまな条件下でより安全な電池操作を保証する。

 カールスルーエ工科大学の上級研究員で、この研究の責任著者であるSylvio Indris博士は、「NYZS固体電解質は、ナトリウム・ベースのエネルギー貯蔵技術の開発における変革的なステップを表している。優れた導電性と安定性をサポートするだけでなく、スケーラブルな製造プロセスにも対応しているため、将来のエネルギー貯蔵解決策にとって非常に有望な材料となっている。」と述べている。

 この研究は、定置型エネルギー貯蔵用のナトリウム・イオン電池の開発における進歩を表している。これにより、より安定的で効率的なナトリウム・イオン電池が実現し、現在の電池技術で一般的に使用されているリチウムやコバルトなどの高価な材料への依存が軽減される。