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電池技術が記録的な高いナトリウム金属サイクル速度を達成

Battery Technology Achieves Record High Sodium-Metal Cycling

By Catherine Stephens, University of Maryland

https://techxplore.com/  より   2023.12.20

 

 現在、リチウム・イオン電池が業界で主流を占めているが、これらの電池に使用されるリチウムの入手可能量が限られているという深刻な懸念が依然として残っている。逆に、ナトリウム・イオン電池は、海洋には膨大な量の塩が存在するため、より持続可能な代替手段となる可能性がある。

 現在、ほとんどのナトリウム・イオン電池には液体電解質が含まれており、根本的な引火リスクがある。対照的に、ナトリウム超イオン伝導体(NASICON)材料は、高いイオン伝導率と優れた化学的および電気化学的安定性を備えた不燃性の固体電解質である。

 メリーランド大学のA. James Clark工学部の研究者達は、高エネルギーの陽極としてナトリウム金属ハロゲン化物電池を使用できるという点で、現在のナトリウム・イオン電池よりも優れたNASICONベースの固体ナトリウム電池技術を開発した。密度を高め、記録的な高速でサイクルし、現在の液体電解質のように可燃性ではない、より安定したセラミック電解質をすべて使用している。

 メリーランド州エネルギー・イノベーション研究所の所長で著名な大学教授であるEric Wachsman博士は、「ナトリウムはより持続可能で低コストのエネルギー貯蔵の機会を開き、固体ナトリウム金属技術はより高いエネルギー密度の電池の機会を提供する。しかし、ナトリウムはより持続可能で低コストのエネルギー貯蔵の機会を開く。これまで、我々がここで達成した高い室温固体ナトリウム金属循環速度を達成できた人は誰もいなかった。」

 ユニークな3D電解質構造は最近、Energy & Environmental Science誌に発表され、高エネルギー密度と商業的な実現可能な全固体ナトリウム電池の可能性をもたらす。高電流密度での安定したナトリウム・サイクルと、薄い3D構造のイオン伝導性NASICON固体電解質による完全なセル・サイクルの両方の実証に成功したことは、持続可能でより経済的なエネルギー貯蔵技術に向けた大きな進歩となる。