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蓄熱用として有望な塩電池

Promising Salt Batteries for Heat Storage

By Radboud University

https://techxplore.com/  より   2023.11.24

 

 塩電池は夏の熱を蓄えて風味豊かなに利用できるが、その目的に最も適した塩はどれか?1219日、Lian Blijlevensはラドボウド大学での蓄熱用の塩の研究に関する博士論文の弁論を行う予定である。

 ソーラーパネルを設置する屋根が増えているが、これらのパネルは太陽からの光を電気に変換するだけである。ソーラーパネル自体も太陽によって加熱されるが、この熱は現在失われている。Blijlevensは、「熱は太陽熱ボイラーで取り出して、家やシャワーの暖房に使用できる。しかし、夏は常に使用するよりも多くの太陽熱を生成し、冬には太陽熱の量が減る。したがって、我々が必要としているのは、その熱を保つための方法である。」

 

塩電池

 しかし、夏の熱を冬に利用するために蓄えるのは困難である。そして、その解決策は塩という予期せぬ形を取るかもしれない。卵に振り掛ける塩ではなく、塩化ストロンチウムなどの別の種類の塩である。

 「塩電池には、結晶中に水が含まれた塩である塩水和物が含まれている。電池は塩を加熱することで再充電され、その結果、結晶から水が抜け出す。熱が必要なときは、結晶に水蒸気を加えて、熱は再び放出される。」とBlijlevensは言う。これはすでに知られていたが、どの塩が家庭で使用するのに本当に適しているかはまだ知られていなかった。

 アイントホーフェン工科大学のBlijlevensと同僚達は、数百の塩の入手可能性、安全性、コンパクト性を評価した。最初の評価を通過した十数個の塩は、その後、研究室でリサイクル可能性についてテストされた。Blijlevensは、「塩を毎年交換する必要はない。」と述べている。

 

加熱スケール

 Blijlevensは、熱分析を使用して塩をテストした。塩を加熱した秤の上に置き、温度を上げた。「塩の重量の変化が分かる。これは塩から水が蒸発していることを示している。その後。より低い温度で再び水蒸気を加えると、どれだけ水が吸収されているかが分かる。」

 塩化ストロンチウムは、この点で有望な候補であることが判明した。価格がそれほど高くなく、よく加熱され、副作用がなくて安定している。「塩電池にも使用される炭酸カリウムは安価であるが、その塩もCO2に反応する。これにより、長期的には電池の効率が低下する。」とBlijlevensは言う。最高の塩の探求は続く。

 しかし、Blijlevensは、塩電池の将来は有望だと信じている。「この方法で家を暖房したい場合、約10立方メーターの資材が必要である。これはタンス23個分に相当する。天然ガスはもう必要なく、夏に貯めた熱を冬にも利用できる。これは大きな問題に対する素晴しい解決策である。」